べにてん

20代、出版社勤務。読書や映画を中心に投稿します。

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最近の記事

伝えなければ、伝わらない|『カセットテープ・ダイアリーズ』(ネタバレ少なめ)

文章を書くということは、自分の思いを誰かに伝える行為だ。同じ趣味の人たち、物申したい相手、友人、自分自身だっていい。「こんな嬉しかったこと、悩みがあるんだ。どうか聞いてくれ」と文を綴る。思いがストレートに伝わったとしたら、それは幸せなことだろう。 僕がこうしてnoteに文章を投稿しているのも、誰か、というより今文章を読んでくださっているあなたに僕が感じた思いを伝えたいからだ。だけど同時に、自分をさらけだすのにはかなり勇気がいる。 誰にも読んでもらえなかったら、非難されたら

    • 僕だけのための本 | 『迷うことについて』

      この広い世界には、あなただけのための本がある——。こんな話を聞いたことはないだろうか。「これは僕のことを言っているんだ」と思ってしまうような、考えや気持ちを丸ごと代弁している本のことだ。 実を言うと僕は去年、そんな一冊に出会ってしまった。 ●『迷うことについて』(レベッカ・ソルニット、左右社) 『迷うことについて』は、僕のように迷子好きの著者が「私にとって迷子になることはなぜ魅力的なのか」について綴ったエッセイだ。 「趣味は迷子になることです」。こんな自己紹介をしたこ

      • 僕にとっての『AKIRA』は、校舎から飛び降りた少年の物語だ

        TOHOシネマズ新宿で、『AKIRA』のリバイバル上映を見た。2019年を舞台にした、今や古典になりつつあるアニメを4Kで上映するという。Twitterでは大盛り上がりで、僕はタイムラインに連なる興奮の文章に誘われて、映画館へと繰り出したのだった。 ●教師から聞く、飛び降りた少年の話『AKIRA』を観るのはこれが3回目だろうか。一度目は京都で学生をしていたころ、Amazon Primeだった気がする。二度目は博多で学生をしていた時だ。韓国人留学生と一緒に、大学の研究室で。い

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