自分の歌詞を分析する

たまに歌詞を書かせて頂いたり、する。


ご注意

先にお伝えいたしますと、今回の記事はあまりお楽しみいただけないかもしれません。
なぜなら、この記事内でフルで楽曲を聴けるものがほぼ皆無だからです。

また、私が私の分析をするので、「はあそうですか(よくわからんが)」となる可能性が高いのです。いつものことか。まあいいか。


作るとき

歌詞を書く時、だいたい曲が先にあがるので、そのデモ曲を聴きながら口ずさみながら街を歩く。
そのうちに何となくばっちり合う景色に出会う。もしくは、景色が浮かぶ。ドラマみたいにカット割が決まる。絵を描くように色や構図が定まる。

ぶつぶつ歌ってたメロディに舌が慣れてくると、ようやく言葉を乗せる。
類義語を大量に書き出して、パズルのように組み換えて、完成。


ことばをつなぐ

たくさん書かせてもらってた、「ぬるぽっぷ楽科」から抜粋して考えてみる。

渋谷系音楽フォロワーで、可愛くてお洒落な楽曲を作っていた音楽サークル。2015〜2017年くらいが精力的で、いまは久しく稼働していないけど、休止、っちゅーことになっている。
私はメンバーではなくてゲストの立ち位置だったのだけれどほぼ毎回参加させて頂いていた。
今でもTwitterをエゴサすると素敵な感想が出てくる。
全然まだまだ聴いててくれてるんだよね。ありがとうございます。

当時、ボーカルメロに対して歌詞の割り方が不思議だねとか言われた記憶がある。そうかな。

◆耳から入る情報なので、意味は通じなくても良いとさえ思ってしまう。
母音と子音のリズムを大切にしている。と書くと大げさだが、多分そうで、言われたことには「日本語ラップが好きだからでしょうね」と答えた。はず。

◆1音に2つ以上の言葉のオト(文字数)を入れたくなる。
2音以上使って喋ってもいいはずなのに、畳み掛けたがる。
「フレーズはきっと」という歌詞では、「フレー」「ズはー」「きーっ」「とー」になった。
口に出すと何となく理解しやすい。「フ」は息を吐けば、「は」は口を開けば出る。「っ」はハネればいいだけ。
母音と子音が蛇足のようにくっついてくるのがきっと好きなのだ。

◆ドラマーやベーシストがリズムを口に出すように、言葉にもリズムがある
舌の筋肉や頬や顎の使い方があって…t、s、r、n、pの置き場所、b、d、z、gからの母音の流れ…
単語には音が備わっていて、重さや質感が乗る。喋るように作ってる、ってだけだと思っている。

◆そんでもって英語科の進学校を出たのに英語ができないので、申し訳程度に装飾に使っている。
しかし英語は便利だ。1音に何文字も入っちゃってるんだもん。そりゃミュージカルも流行るよ。英語で聞けば単なるボーイミーツガールだって、情報量が多くなるもんな。


組み立てた音の例をひろう

これはメモみたいなもの。
私にはこういうふうに音が見えている、というだけ。自分で自分を分析したい。

●例1
FLOUR MILLER HOUSE /ぬるぽっぷ楽科に提供

試聴の一曲目0:00~0:40まで。
この部分↓は一瞬聴けます。歌はORI姫さん。

・未来は 偉大なる絶望に 砕けて…
iaia iai a-r-z-t-b-n k-d-k-t
→母音から急に子音に走る

・透かした 肥大する劣情に
s-k-s-t h-d (ai) s-r-r-t-jyo-n
→軽い音の合間に重い音を混ぜる

・意外なる独占欲 泡になった…
iai au d-k-s-n-y-k a-(w)a-n.na-(tt)a
→意外性のある言葉だけ子音で立たせる

●例2
SASSY/ぬるぽっぷ楽科に提供

1:07からの2曲目です。1:07~1:45
↓この部分ないですが。歌はケツマンちゃん(名前!笑)

・何遍だって愛してあげる 口だけってそりゃ決まってんじゃない
n-b-d-t ai-s-t a-g-r
c-t-d-k-t-s-r k-m-tt-n jya-n(ai)
→跳ねる子音で軽やかさ、口を開く母音でグーパン

・なんてったって見え透いてる キスだけってそれ気取ってんじゃない
nan-te-tt-a-tte m(ie) s(ui) t-r
k-s-d-k ttes-o-r k-d-tt-n jya-n(ai)
→口の端で喋るような細かい子音

●例3
あの子はポーカーフェイス/ぬるぽっぷ楽科に提供

1:32からの2曲目です。1:32~2:50 歌は星澤

・早足1人で
(h)a-ya-a-s (h)i-t-r-d-e
→はやあし、という言葉にねちっこい音を乗せることで逆の意味合いに

・チクタク 世界は体の外にある
t-k-t-k (s)e-(k)ai-wa
k-r-d-n s-t-n a-(r)u
→歯音を多めにして世界という言葉の野暮ったさを立てる

…こう見ると色々考えて歌に反映するように作ってる気が…してくる…!
その他、言葉のアクセントとメロはズレのないように。依頼者の欲しいイメージには勿論合わせつつ。
今ならもうちょっと覚えやすくてイメージ「してもらいやすい」ものを作れそうだけど、ボーカルをリズム楽器にしたい気持ちは変わらなそうだなあ


おわりにする

こんな感じで、ちょいちょい歌詞を書いたりしている。日本語は面白いなあ。

ぬるぽっぷの曲はイベント限定販売でサブスクも登録していないので、CDもしくはデータをご購入いただいた方だけが聴ける状態なのです。
私が書いてない・歌っていない曲も素敵なので、機会があれば聴いていただきたいもんです。
(私が働く下北沢のバーにいらっしゃれば流します。自粛明けたら!)


◆「ぬるぽっぷ楽科」で書いた歌詞一覧をあげています。
詩を読む趣味のある方はこちらからどうぞ。


歌はたのしみのひとつ。
みんな歌いながら暮らしていけばいいね

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