「ダスカロスの教え」と「東洋医学」を融合させる試み(10)
手の少陰心経
“心” の機能
「心」が君主の官と呼ばれるのは、「心」が「神」(しん)を宿しているからです。「東洋医学」では、「神」が心身の活動と現象のすべてを統括する とされます。
Noel は “臓腑” は臓器であると同時に、エーテル・センター でもあると捉えていますので、「心」(ハート・センター)がすべてのエーテル・センターを統括すると考えるのが「東洋医学」……と解釈しています。
「東洋医学」と「ダスカロスの教え」では扱う “次元” の範囲が異なる
「東洋医学」における「脳」(ヘッド・センター)は「奇恒の腑」(脳・髄・骨・脈・胆・女子胞)のひとつであり、さほど重要な扱いは受けていません。「東洋医学」では「心」(神)が、思考・感情・肉体を統括する最高位のものなのです。
一方「ダスカロスの教え」では、「ヘッド・センター」が媒介する ノエティック体・コーザル体(6~7次元の体)が、ノエティカル体(5次元の体)・サイキカル体(4次元の体)・肉体(3次元の体)を統括すると考えます。
この違いは、どの「次元」で人間を観るかの違いに由来するものと思われます。「東洋医学」は霊的存在としての人間について学ぶ学問ではなく、肉体の健康を維持するための「医学」ですから、基本概念に違いがあっても当然なのです。
「ハート・センター」には、現在のパーソナリティー・肉体・サイキカル体・ノエティカル体の設計図となる「永遠の原子」が宿っています。
その意味でも、分離の次元(3~5次元)における「心」の重要性は確かなものなのです。
もちろん、エーテル・センターとしての「心」と同様、臓器としての「心臓」も重要です。なので、「心臓」のしくみと働きについても知っておきましょう。
“気” と “物質” を媒介する “熱・水・電気”/受肉という試練
わたし達の肉体を創り、維持しているのは “気”(エーテル・バイタリティー)です。そのうちもっとも物質寄りの “気” は、血液やリンパ液に含まれる “熱“ と ”水”……および神経が伝える “電気的信号” によって、体の隅々に運ばれていると Noel は考えています。
“気” は、肉体の エーテル・ダブル から肉体に補充されます。
“気” を “物質” に変換する作業は 基本元素の大天使たち が担っています。ミカエルが火(熱)、ガブリエルが水、ラファエルがエーテル・バイタリティー(電気)、シャマエルが固体を主り、ウリエルは全体の調整役として、休みなくわたし達の身体の中で働いています。が、肉体の所有者である人間が協力的でないと、たちまち健康を損ねてしまいます、、、
肉体を持って地球3次元を生きるのは、ほんとに大変です。
赤ちゃんが、じぶんの肉体を思い通りに動かせるようになるまでの労力について考えてみてください。肉体というのはひじょうに馴染みにくく、扱いづらいものなのです。サイキカル体やノエティカル体は、肉体ほど厄介ではありません。体外離脱によって肉体を離れたら、3次元的な制限がない世界にじぶんがいるとわかります。
“少陰心経” の走行と特徴/“心系” と “目系”
「心」ではなく、「心系」と書かれている点がミソです。そして「心系」が “経脈” を通じて「目系」と繋がっている点も重要です。
「系」とは多くの脈・管・神経が集まるところを意味していて、「心系」は太い血管やリンパ管が集まる「大動脈弓」周辺、「目系」は頭蓋中心部の「蝶形骨体」(蝶形骨を構成する3つのパーツの中央部)周辺を指すそうです(吉田啓 著『経絡と解剖学』93ページ)。
「心系」にある大動脈弓から、腕頭動脈・左総頚動脈・左鎖骨下動脈 が分岐します。
そして「目系」は、「蝶形骨体」(蝶形骨中央部)の周辺部になります。
「目系」にはウィリス動脈輪(大脳動脈輪)があります。ウィリス動脈輪は、内頚動脈、前大脳動脈、前交通動脈、後交通動脈、後大脳動脈が 吻合 してできた「動脈」の輪です。
「心」(ハート・センター)と「脳」(ヘッド・センター)と「動脈」には強い関係性があります。「心の 募穴」の「巨闕」(こけつ)が「大動脈裂孔」があるT12の高さにあることも、それを裏づけているように思えます。
横隔膜には3つの孔が開いていて、「大動脈裂孔」はその1つです。
「少陰心経」の走行は「動脈」に沿っています。
心臓の拍動をコントロールする「延髄」も、汗(発汗)をコントロールする「視床下部」も、前述の「目系」の領域にあります。
「東洋医学」では汗は、「心血」(心陰)が転化したもの……と捉えます。汗をかきやすいひとは「心気」を消耗しやすく、「心神」が正常に働いているときはサラサラした質の良い汗が、「心神」に異常があるときはねっとりとした質の悪い汗が出るとされます。
汗腺は超小型の エーテル・センター ですから……汗腺から気化する汗(水)には当然 “気”(エーテル・バイタリティー)が含まれています。汗腺の働きは「肺」が主り、「心」と「肺」は汗や血液やリンパ液に含まれる “気” を共同して全身に送り出し、コントロールしているのです。
“少陰心経” の経穴
【HT1 極泉/皮枝はT1・T2】
【HT2 青霊/皮枝はT1】
【HT3 少海=心経の合穴/皮枝はT1】
腋の下(腋窩)にある「極泉」の下には、腋窩動脈 と 腋窩 リンパ節 がありますので、「極泉」~「少海」を軽く撫でると血液とリンパの流れが良くなります。
「少海」(心経の 合穴)には、滞った “気” や過剰な “気” を正常に戻す働きがあると感じます。
肘の内側(陰の領域)には「肺経」・「心包経」・「心経」、肘の外側(陽の領域)には「小腸経」・「三焦経」・「大腸経」の合穴があり、それぞれ “陰気” と “陽気” に対して似通った効果を持っています。
「関節」は “気” が滞りやすい部位ですから……関節周辺の経穴は “気” の流れを促し、整えてくれるものに自然となっています。
【HT4 霊道=心経の経穴/皮枝はC8】
【HT5 通里=心経の絡穴/皮枝はC8】
【HT6 陰郄=心経の郄穴/皮枝はC8】
【HT7 神門=心の原穴、心経の兪穴/皮枝はC8】
「少陰心経」の経穴は総じて「神」(思考や感情)に起因する病に効果があります……が、先ずは「厥陰心包経」にアプローチし、症状の緩和を試みてください。「心臓」や「動脈」への急激で強い刺激は、極力控えなくてはいけません。
【HT8 少府=心経の榮穴/皮枝はC8】
【HT9 少衝=心経の井穴/皮枝はC8】
「少府」は、手のひらにあるAVA血管の近くにあります。
AVAは 動静脈吻合(Arteriovenous Anastomoses)の略称で、AVA血管の主な役割は体温調節であると「西洋医学」ではいわれています。
AVA血管の近くに、「少陰心経」の「少府」と「厥陰心包経」の「老宮」があるのは偶然ではないでしょう。
“心気” の虚実の判断は「心の 原穴」の「神門」と共に、AVA血管の近くにある「少府」と「老宮」を使うとよいと思います。手のひらには心神の状態が表出します。挨拶のときに握手したり、親しい者同士が手を繋ぐのは、手のひらに「心神」の “気” が流れているからではないでしょうか?
そして指先(動脈の末端部)には、3つの陰経と3つの陽経の「井穴」がそろっています。
「井穴」は “気”(エーテル・バイタリティー)が出るところで、「井穴」の主治は心窩満(心窩部の膨満感や緊張)の改善です。
手足の先から “気” が自然に流れ出ないと、“心気” に乱れが生じるのだと思います。“気” は留めず流すのが自然なのです。わたし達の「3つの体」は、絶対無限の存在(神)から日々与えられる “気” によって養われています。無償で与えられたものは無償で与えましょう。それが自然な在り方です。
【太陽小腸経への連絡】
「少陰心経」は小指の末端で終わり、小指の末端で次の 「太陽小腸経」に繋がります。
手の太陽小腸経
“小腸” の機能
“太陽小腸経” の走行とデルマトーム
「陽明大腸経」・「陽明胃経」・「太陽小腸経」・「少陽胆経」では、「大椎」(督脈)で左右の経脈が交わり(注:交叉ではありません)、「欠盆」(胃経)で経脈が分岐します。
“太陽小腸経” の経穴
【SI1 少沢=小腸経の井穴/皮枝はC8】
【SI2 前谷=小腸経の榮穴/皮枝はC8】
【SI3 後渓=小腸経の兪穴、八総穴/皮枝はC8】
【SI4 腕骨=小腸の原穴/皮枝はC8】
【SI5 陽谷=小腸経の経穴/皮枝はC8】
「太陽小腸経」の腕の走行部は、C8由来の 尺骨神経 の皮枝や筋枝の支配領域です。
肘(小海あたり)をぶつけたときジーンとなるのはこの神経で、「後渓」・「腕骨」・「陽谷」などを押さえても、尺骨神経に響く感じがわかると思います。尺骨神経は骨や筋肉などによって守られてないので、ダメージを受けやすいのです。
兪穴 の「後渓」の主治は体重節痛(体の重怠さや節々の痛み)の改善です。八総穴 でもあるので、「太陽膀胱経」の「申脈」(しんみゃく)と合わせて用いると、頭・腰・手首・肘・肩・首などの神経痛によく効きます。
原穴 の「腕骨」も、適切に押さえると心地よいツボです。このへんは「手相」でいうと月丘のエリアになります。
手のひらには「心身の状態」が如実に出ますので、「手相占い」(調べてみたら インドが発祥の地)が当たるのでしょう。手相でいうと「後渓」は第二火星丘で、心身を酷使すると痛みなどの反応が出てきやすいことに合致します。「少陰心経」の「少府」と「厥陰心包経」の「労宮」は火星に関係する領域ですから……「心の火」が放たれる場所として相応しいネーミングと思います。
【SI6 養老=小腸経の郄穴/皮枝はC8】
【SI7 支正=小腸経の絡穴/皮枝はC8】
【SI8 小海=小腸経の合穴/皮枝はC8】
「養老」は 郄穴 で、ごく狭い隙間のようなところ……橈骨と尺骨をつなぐ 下橈尺関節 にあります。
肘を固定し(=上腕骨を動かさない)、手のひらを上向きから下向きにする動作を回内といいます。「養老」は前腕を回内すると尺骨頭が盛り上がって、はっきりわかるようになります。
「支正」は腕の後面にある「伸筋」と腕の前面にある「屈筋」の境界にあります。「養老」から「小海」の間の尺骨に沿ったラインは尺骨神経が通っていて、とくに「小海」は尺骨神経溝上にあるので強く押すとジーンと響きます。
【SI9 肩貞/皮枝はC5~C6】
【SI10 臑兪/皮枝はC4】
【SI11 天宗/皮枝はT3~T5】
【SI12 秉風/皮枝はT3~T5】
【SI13 曲垣/皮枝はT1~T3】
上記の取穴には、「肩甲骨」の構造を覚える必要があります。
ついでに、肩周辺の「関節」も頭に入れておきましょう。
肩甲上腕関節(肩関節)は、人体の中でもっとも可動域の広い関節です。
それゆえ不安定でもあり、ローテーターカフ(回旋筋腱板)と呼ばれる筋肉群(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)が肩関節を支えています。
肩関節の痛みの多くがローテーターカフに絡むものなので、以下の “経穴” を使って改善を図ってみてください。
「肩貞」~「曲垣」はすべて、肩こりに関係する筋肉の上にあります。そのうちもっとも表面積が広いのが僧帽筋です。
“経穴”(エーテル・センター)は “気” の消耗・乱れ・滞りなどが生じやすいポイントでもあります。“気” の消耗・乱れ・滞りは “血” や “津液” の消耗・乱れ・滞りを引き起こし、最終的に物質体としての肉体に問題を引き起こします。 たかが肩こりと侮らず、 症状が軽微なうちに治しておきましょう。
【SI14 肩外兪/皮枝はT1~T2】
【SI15 肩中兪/皮枝はC8】
「肩外兪」と「肩中兪」は僧帽筋(中部)の起始部にあるので、僧帽筋をほぐして肩こり・首こりを改善するのに使えます。
【SI16 天窓/皮枝はC2~C3】
【SI17 天容/皮枝はC2~C3】
【SI18 顴髎/皮枝は三叉神経の第二枝(上顎神経)】
【SI19 聴宮/皮枝は三叉神経の第三枝(下顎神経)】
「天窓」は、「扶突」(陽明大腸経)と「人迎」(陽明胃経)と同じ高さにあります。
このへんは 総頚動脈 が通っていますので、強い刺激はご法度。
総頚動脈は、甲状軟骨の高さで 外頚動脈 と 内頚動脈 に分かれます。ちなみに、鎖骨下動脈 から分岐する 椎骨動脈 は左右が吻合して脳底動脈になり、前述のウィリス動脈輪につながります。また、内頚動脈の後ろには 迷走神経 が通っています。つまり、「人迎」・「水突」・「天窓」は、「動脈」と「迷走神経」に同時にアプローチできる経穴群ということになります。
「小腸」も「心」と同様、「脳」との密接なつながりがあります。
「迷走神経」は12対ある 脳神経 の中で唯一「腹部」にまで到達し、多数に枝分れした複雑な経路を持っています。首から腹(消化器における下端は 横行結腸 右1/3)までのほとんど全ての内臓の 運動神経 と 副交感性 の 知覚神経 を支配し、心拍数 の調整、胃腸の 蠕動運動 、消化腺の運動と分泌、発汗、発話(声帯)、大動脈小体 における血中ガス分圧の感知、外耳 道の 体性感覚 などに関与します。
「迷走神経」が外耳道の体性感覚を支配している件は、「太陽小腸経」が「耳中」に伸びていることと関係があるとみています。
ちなみに、耳の穴を使った蝶形骨の調整法はとても効果が高いです。
「太陽小腸経」の「顴髎」と「聴宮」はそれぞれ、三叉神経の第二枝(上顎神経)と第三枝(下顎神経)の支配領域にあります。
「顴髎」と「聴宮」は、歯痛の治療穴でもあります。
三叉神経痛や歯痛の原因が ヘルペスウイルス のことも多いです。虫歯の兆候はないのに歯が痛むときは、ヘルペスを疑ってみてください……といっても、歯痛で抗ヘルペスウイルス薬を処方してくれる歯科医は少数派です、、、それで、無駄に歯を削られ、危険な薬剤で神経を壊死させられてしまいました。Noel は失ったものを再生できるレベルの働き手ではありませんので、それっきりサヨナラです、、、
【太陽膀胱経への連絡】
頬の「顴髎」から分岐して鼻から目頭(「睛明」)に行き、足の太陽膀胱経 につながります。
つづく