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台湾で山登り〜奇莱南峰②〜

今日の中国語◆休息

発音 ショゥ シー
意味 休憩、休み

1日目の復習

奇莱南峰という台中から車で2時間ほどの3,358mの山に登るため、息も絶え絶え6時間ほどかけて、山小屋に到着。翌朝の登頂に向けて、身軽なリュックや飲み物を用意して、寝袋に包まって9時半には就寝したのでした。

登山道「能高越嶺」と山小屋「天池山荘」の歴史

実は、今回宿泊した山小屋「天池山荘」とそこに向かう登山道「能高越嶺」は、日本とも関係の深い場所なんです。

そもそも「能高越嶺」は台湾の原住民の交易路であり、西は南投県の霧社から東は花蓮までを結ぶ83kmの古道でした。日本が台湾を統治していた時代、その道を利用して東部で余っている電力を、栄えている西部に送電するための電線を繋ぐための道として整備していました。
その整備された道が、台湾に住んでいた日本人や台湾人の人々に、景色も良く登りやすいトレッキングコースとして大人気だったそうです。
台湾の各所に当時の日本人に人気だったと言われているトレッキングコースがいくつかあり、日本から暑い台湾に移住し、そして山登りをしたいと思った先達の脚力に感服するばかりです。

日本の統治時代に使われていた木炭窯の跡が道ぞいに

その後この送電線を繋ぐ工事は、太平洋戦争の終焉もあり工事が完了することはなかったものの、1950年代にアメリカの支援で台湾電力会社がこの工事を完成させ、東部から西部への送電を実現しました。

宿泊した山小屋「天池山荘」の前身は、1918年に日本政府が建てた、軍事関係者が宿泊する駐在所でした。当時は総檜造の美しい建物で、「能高檜木御殿」と呼ばれていたそうです。

1918年建造の檜木御殿

原住民との争い中で、1930年に焼失しましたが、その後建て直され、1986年に失火でまた焼失するまで、台湾で1番豪華な山小屋と呼ばれていました。
その7年後には、再度建て直されたのですが、利用客が多く収容力が足りないということで、2011年から改築が行われ、今回私たちが宿泊した今の姿となりました。
そして、台湾で1番豪華な山小屋の名を取り戻したのです。

現在の山小屋

2日目朝 山頂アタック?!

2日目はいよいよ奇莱南峰と南華山二つの山頂にアタックの日。
朝の2時過ぎに出発し、奇莱南峰の山頂で朝日を見たら、一度途中まで降りて、南華山にも登頂し、午前11時ごろには山小屋に戻って来る。というのが一般的なスケジュール。そのため、大きなリュックや重い荷物は山小屋に置いておくことができます。

前日の就寝前には、小さめのリュックに荷物を詰め替えて、ヘッドライトは枕元に置いて準備万端です。(山小屋は夜10時の消灯後は電気がつかないので、起きた瞬間からヘッドライトが必須です。)

2時にかけたアラームでなんとか目覚め、ヘッドライトをつけて準備を、、、と思ったら!なんとヘッドライトがつかない、というハプニング。
日の出前の登頂には、必ず1人1個のヘッドライトが安全のために必須。にもかかわらずヘッドライトが何をしてもつきません。

そして眠い、足が痛い、半分夢現な状況の中ウリボをメンバーに託すこととしました。
今でも登れなかったのは残念なのですが、みんなが出発した後の睡眠は、罪悪感が伴う最高に気持ちの良い居眠り状態で、8時ごろまで熟睡していました。
なので、ここからはメンバーからご提供いただいた、ウリボの登山記録をご紹介します。

奇莱南峰の日の出

ウリボは日の出を見れました

山小屋から奇莱南峰の山頂までは、約3時間ほどの登山になります。荷物が軽いので、1日目よりだいぶ楽ちん。そしてウリボは、午前5時半ごろに、無事に3,358メートルに登頂成功!?したのでした。

この日は若干の雲がかかっていましたが、なんとか朝焼けから少し登ってきた日の出を見ることができたそうです。

この山頂に登って行く道が、珍しい背の高い草の生えた草原で、とても美しくインスタグラムでもよく紹介される場所。
3,000m以上の山の上とは思えないこの光景、ぜひ自分の目で見たいので、いつか再チャレンジしに行こうと思います。

奇莱南峰ピークへ

奇莱南峰と南華山の分かれ道

奇莱南峰で日の出を見た後は、一度中間地点まで降りてきて、南華山の山頂へ再度登ります。分岐点まで降りてくるのに約1時間ほど。そして分岐点で小休憩を取ったのち、1時間半ほどで、3,184mの南華山に山頂に到着です。ウリボも無事登頂していますね。

南華山登頂!

下山開始と落石事件

午前11時ごろ下山をゆるゆると開始します。
ゆっくりと休んだおかげと標高にも慣れたのか、登りの時にはあまり楽しめなかった景色や山の空気も楽しむ余裕ができて、ウリボと一緒に鼻歌まじりで軽々と歩くことができました。

このコースの特徴長い岩壁の道

道々にある剥がれるように取れる岩も面白く、割ってみたり石器のように紙が切れるか試してみたりと童心に帰る時間も過ごせました。(そういう幼児期を過ごしていました)

岩の様子たちが面白すぎて
カメラロールが岩ばかり

登りの時にもドキドキしながら通ってきた崩落している岩壁の迫る道を通り抜け、小さな滝を楽しんだり、鳥のさえずりやマイナスイオン感溢れる森林浴でお散歩気分の4時間です。

そしてゴールまで残り1kmを切った、最後の岩壁で事件が起こります。

「落石注意 立ち止まらないで」の看板

この落石注意の看板が見えたあたりで、急に男性の大きな声が聞こえました。
何かと思って見渡してみると、道の反対側に2人の男性がいて、何かを言っています。
よくよく聞くと、「停(止まれ)、走(歩け)」というのを、私に向けて言っていました。なんと、まさにこれから通り抜けないといけない道で、落石が起こっていました。しかも一つ二つの石ではなく、中小の石がバラバラと断続的に落ちている状態。その状況を見ながら、「今歩け、今は止まれ」というのを教えてくれていたのです。

完全に石で埋まってしまった道

正直通るのに足がすくみましたが、ここを通らないと下山もできないという場所だったので意を決して指示に従いながら、歩き始めます。
登りの時にはあった道が、完全に大小の石で埋まり、歩いている間も小石が落ちてきます。それまでは楽しく観察していた岩たちが、とても怖く思えた瞬間でした。

なんとか通り抜けた後に声がけをしてくれていた男性たちに話を聞くと、山小屋方面に物資を運ぶ人たちでした。朝から落石が始まっており、ミニトラクターが取れなくなり、ここで登下山客たちに注意を促していることのことでした。
この方々が指示を出してくれていなかったら、正直怖くて通れなかったと思うので、本当に感謝しかありません。

この落石はこの後も続き、この日の夜から雨が降って人を巻き込む事故が起きたことによって、数時間路線が封鎖されました。
良い天気の日に歩くことができた運に恵まれたことにも感謝しつつ、山の怖さも身直に感じる機会となりました。
山の整備や管理という部分で、日本に比べると台湾は良くも悪くも少し大らかです。
もし台湾で登山を計画されている方は、山の状況をしっかり確認していきましょう。

2日間の山登り(登りきれなかったけれど)いつかはリベンジ登山をと思わせてくれる素敵な体験でした。
ぜひ台湾に旅行の際には、都市だけでなく自然を楽しむ時間も作ってみてくださいね!
ちなみに、星のやグーグァンは山々に囲まれており、快適な宿泊をしながら山の景色が楽しみ放題です。ぜひ登山のベースとしてもご利用ください。
台湾の山々が皆様をお待ちしています!

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