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甘味と塩味~18~

甘いものを摂取しないと恐らく死んでしまう親友がいる。1月末から2月にかけて、サロンデュショコラの期間は互いの家の冷蔵庫がチョコレートで埋め尽くされる。まさに恍惚。普段は物欲とは離れ離れの生活を送っている私も、この期間はお金に糸目をつけなくなる。正月を過ぎ、自分の誕生日を超えたあたりから、脳の50%はチョコレートで満たされて、たまに溢れる。
業界の人間だったので有名人と写真を撮ることを忌み嫌っていたけど、来日したショコラティエやショコラティエールとだけは、チョコレートが溶けるほどのデレ顔で記念写真を撮り、いまも大事に保管されている。親友も同じ。ヨーロッパにチョコレート巡りの旅に出ている時点でチョコレート愛の敗北感が襲ってくる。釈然としない。そんな互いの相乗効果も相まって、私は真剣にチョコレートと向き合おうとチョコレートソムリエの本を紀伊國屋で手にとったことがあるけれど、飛びこんだら引き返せない予感がしてそっと棚に戻した。

高価で高貴なチョコレートだけを愛しているわけではない。サロンデュショコラが特別なだけで、チョコパイも心から愛している。信じてほしい。トッポも大好きだ。ポッキー極細ならば永遠に食べてられる気がする。「チョコレートを食べれば幸福度が高まり体温があがり代謝もあがって実質0kcalだ」とのサンドウィッチマンの伊達さんの金言があった気がするが、我が家の掛け軸に飾りたいほどの金言だと思う。

前書きが長すぎた。チョコレートが好きということを書きたかっただけなのに気を緩めたら500文字を超えていた。本筋に戻そう。
妻とお付き合いするようになり、互いの好きなスナック菓子やチョコレートが随分違って、その違いを楽しんでいることを書きたかったのだ。

ポテトチップス。私はピザポテトや堅あげポテトなど塩味で口内が満たされるハード系を好んで食べるのに対して、妻はしあわせバター味という、蜂蜜が含まれた甘みを含んだポテトチップスを実に美味しそうに食べる。私はいつも思う。塩味が口いっぱいに広がるからこそ、その後のチョコレートやプリンの甘味が引き立つのではないかと。そのメリハリ、リフレインこそがお菓子と向き合う正しい姿勢ではないだろうか。妻が好きなものを私も好きになりたい気持ちはあるし、喜びを共有したいという思いはあるけれど、しあわせバターだけはどうしても受け付けられなかった。

ただし救済もあった。じゃがりことベビースターラーメンへの愛情は同じ方向性を示し、妻を抱き締めることができた。最近はその抱擁に娘も割りこみ、じゃがりこを美味しそうに食べる姿はなんと可愛らしいものであろう。
また、妻に美味しいスナック菓子を教えてもらったこともある。ベジたべる・チーズビット・ピックアップ・そして徳用チョコ。
既に生産中止になってしまったり、近所で買い求めることができない商品もあるけれど、「これ美味しいじゃん」と私が素直に認めると、誇らしげな顔でにっこり笑う妻はとても可愛い。

お菓子との出逢いは一期一会。気になる商品を見つけたらその場で購入しないと、次に訪れたときはもう取り扱っていないことも多い。これから本格的な夏を迎える。そうすると私はポテトチップスののりしおと、堅あげポテトのブラックペッパー味を希求して近隣を彷徨うようになる。
病院食の薄味に慣れてしまい、胃も収縮しているけど、いまはDEMELのザッハトルテの5号に顔を埋めながら食べたい衝動に駆られている。
退院したら食べたいお菓子をきちんとリスト化しているから、気持ちを強く保持しできているし、絶対に退院できるものと自分を信じている。「背に腹はかえられぬ」。先人たちは美味いことをいったものだ。
退院したらコージーコーナーのモカエクレアと、ヒロタのシュークリームから徐々に強度をあげていこうと思っています。

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