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【ライブレポート】2024/4/11 Hwyl 2nd EP『K/ERA』リリースイベント@タワーレコード渋谷店

Hwylが、4月10日に発売した2nd EP『K/ERA』(読み:ケラ)のレコ発イベントとなるインストアライブ&サイン会を、タワレコ渋谷店にて開催した。

Hwylにとってタワレコでのインストアライブは初。さらにアコースティックライブも今回が初めての開催となる。

タワレコ渋谷店3Fのエスカレーター付近に設置された特設ステージには、数十人のファンが集っていた。開演の19時を過ぎた頃に、Hwylにサポートメンバーを加えた4人がステージに登場。

あきたりさ(Vo/Gt)は「Hwylでーす」とリラックスを装った平熱の挨拶。そして、事前にアナウンスされていた「撮影禁止」について、「撮影OKにしたいと思います」と告げてから「現在地」でライブはスタートした。クマダノドカ(Gt)のアコギやサポメンによるカホンが生むアコースティック特有の温かいサウンド。ライブハウスでの歌い方とは少し異なる、あきたの柔らかい歌唱も含め、すべてが新鮮に聴こえてくる。

普段、あきたの爆唱やクマダのギターに隠れがちなタケマトモヤ(Ba)も、アコースティック編成だとより鮮明に耳に届く。

「いつもはライブハウスでガンガンやっているので、心臓がバクバクしてます。めっちゃ緊張してる」とあきたが本音を漏らせば、クマダも「(お客さんとの距離が)近いしね」と、インストアライブならではの環境に言及。ギターボーカルなあきたも、今日はボーカルに専念。いつもとは違うライブにHwylもどこかそわそわしている印象だ。

「令和の時代にぶっ刺したいなと思って書いた曲をやります」

そんなあきたのMCとともに披露されたのは、今回のEP1曲目に収録の「近年、平和な日々が続いたせいで」。タイトルからドキっとさせられる楽曲だが、日本、そして世界のあちこちで、現在進行形で起こっている惨状(それは戦争であったり政治であったり、あるいは暮らしの中の出来事だったり)を思い浮かべずにはいられないメッセージソングとなっている。そのうえで、Hwylらしく、大上段に構えることなく、日常目線で歌われているからこそ《知ってても知らぬフリ》の歌詞が胸に迫るのだ。


曲を終えると、ひとつ報告があった。『K/ERA』について、サブスクとCDで曲順が違うとのこと。これは意図的に変えたわけではなく、手違いでそうなってしまったんだそう。それぞれを通して聴き比べてみるのも楽しいかもしれない。ちなみに今日のライブは、CD収録順のセットリストで行っているとのこと。

そんな、ある意味Hwylらしいエピソードの後、3曲目に演奏したのは「普通の顔」。すでにライブで何度もも披露しており、Hwylにしてはかなり激しい楽曲となっている。そんな「普通の顔」を、クマダは激しくギターをかき鳴らし、アコースティックでも楽曲の暴れん坊っぷりを表現。そしてもう一つの特徴として印象的なレゲエパートも、しっかり聴かせてくれた。曲中の変化も含めて、セットリストで良いアクセントになる曲だ。

曲の入りでクマダのギター演奏が乱れてしまった4曲目「結局他人」だが、“アコースティック編成は初めてだから”という優しい空気がステージを包み、自然な流れで仕切り直してのパフォーマンス。

続く「安全地帯」でも、タケマのベースが乱れてしまう。その瞬間、あきたとクマダは、思わず笑顔を浮かべていた。トラブってもピリつかない、こういう雰囲気がHwylの魅力でもある。

すでにライブでお馴染みとなっている「さすらい」ではフロアから手拍子が鳴り、インストアライブらしいささやかで温かい一体感が生まれていた。

曲が終わってのMCでは、4月29日にSpotify O-Crestで開催される自身初のワンマンライブに関する告知も。チケットソールドまであとわずかとのことで、現時点でも嬉しいと言いつつ、なんとか売り切りたいと燃えているメンバーたち。

そしてラストナンバーを前にあきたが最後のMCを。「最後に、尖り散らかして、『凡人』という曲で終わりたいと思います。みんな毎日、お仕事お疲れ様。いつもありがとうね。またライブハウスで会いましょう」

スーツ姿で参加している観客の姿を目にしての、労いと感謝の挨拶を経て「凡人」へ。緊張もほぐれ、インストアながらも伸びやかに力強く歌うあきたの歌声がとても心地よい。今日はこれで終わりという“寂しさ”のフィルターがかかったせいもあって、この「凡人」にはどこか哀愁が漂っていた。

初めてのアコースティック編成によって、いつものバンドサウンドとは異なる表現で楽曲たちを彩ってくれたHwyl。個人的にも数年ぶりにこうしたインストアライブに足を運んだのだが、あらためてこの規模感、この距離感で触れる音楽も素晴らしいものだと感じることができた。

Hwylに限らず、こうした場があればまた行ってみたいと思うと同時に、そう思うきっかけをくれたHwylに感謝したい。

セットリスト

1.現在地
2.近年、平和な日々が続いたせいで
3.普通の顔
4.結局他人
5.安全地帯
6.さすらい
7.凡人

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