【ライブレポート】2024/9/16 TOKYO CALLING2024@渋谷
『TOKYO CALLING 2024』最終日、会場は渋谷。昨年はGOOD4NOTHING観たりBUZZ THE BEARS観たりといろいろ思い出深い渋谷編だが、今回も初めましてのハコやバンドと出会うことができた、思い出に残るサーキットとなった
初日に続いて、短めに各アーティストを振り返ろうと思う。
INKYMAP@Shibuya Milkyway
私の周辺でよく目にする名前。それがINKYMAPだった。ずっと気になっていたが、今回やっとライブを観ることができた。
リハーサルの段階ですでに「間違いない」ことは伝わってくるのだが、本番が始まってそれが本物であることを確信。楽曲の強さやライブパフォーマンスの熱量、そして何よりKazuma(Vo/Gt)が発するメッセージがめちゃくちゃ刺さる。
スタート直後からライブハウスの出入り口付近が込み合っていて、前に詰めるよう促す場面があったのだが、その時の表現が
「前に詰めてくれ!」
「全員の顔が見たいんだ!」
「事情」じゃなくて「感情」を伝えるKazumaのその姿勢にグッときてしまった。
「様子伺いにきた奴も入って来いよ、そういうライブだから」と、遠巻きのオーディエンスにも声をかける。
さらに「今がどうしようもねえ、情けねえって奴も、今が一番最高だって奴も、最高を塗り替えていこうぜ」というメッセージも。
そうなのだ。ライブハウスは、ダメな奴ら「だけ」の場所じゃない。今、人生が楽しいって奴も、そうでない奴も、いろんな人が一緒に楽しめる場所。誰だって受け入れる、受け止めてくれる場所なのだ。
序盤のフロアはおとなしめだったが、「I'm Here!」あたりでダイバーが発生し、「Mantis」ではKazumaが観客の上を転がりながらフロアへ突入するなど、ライブが進めば進むほど、盛り上がりは加速していく。
人が生きている、その体温を心で感じることができるような胸熱なライブだった。
01.Shine
02.Beginning
03.Easy Easy
04.I'm Here!
05.Time Loop Stories
06.Mantis
07.Flash Back Summer End
08.Flying Feather
09.Goodnight And Goodbye
10.Boys Will Be Boys
11.I'm Here!
12.Teardrop
Hwyl@WONB
久しぶりの東京でのライブとのことで、個人的にもちょいご無沙汰。RSRへの出演も果たし、成長した姿を堂々見せつけてくれたステージだった。
寂しいフロアと向き合う、あの頃のHwylはもういないのだ。大勢の観客を前に、めちゃくちゃ頼もしい立ち居振る舞いでライブを彩っていく。
さらに力強さを増したようにも思えるあきたりさ(Vo/Gt)の歌声、カッコよさとチャーミングさを兼ね備えたクマダノドカ(Gt)、今や欠かせないメンバーとして音だけでなく観客との(言葉を介さない)コミュニケーションで場を盛り上げていくタケマトモヤ(Ba)、そしてここ最近はレギュラーとも言えるサポートドラム岩本斗尉。3人+1人のパワフルな歌と演奏が、どんどん逞しくなっていく。
新曲「あらすじ」も、「遠回り」「物語」「ものわかり」といったフレーズを連発するあきたらしい韻のぶち込み具合が気持ちいい。
フロント3人横並びの景色が、めちゃくちゃ絵になっている。まだまだこれから、もっともっと大きくなりそうだ。
1.さすらい
2.普通の顔
3.暮らし
4.あらすじ(新曲)
5.結局他人
6.安全地帯
7.凡人
8.近年、平和な日々が続いたせいで
Jam Fuzz Kid@O-Crest
リハーサルの段階では、お世辞にも「人が入っている」とは言えなかったO-Crest。ただし、Jam Fuzz Kidは観客の数が少ないからと言ってモチベーションが下がるようなバンドではない、むしろ燃えるタイプかもしれない。一人ひとりに向かって「ブチ上がろうぜ」と誘ってくる、そんな5人だ。
タイテの関係もあったのだろう、ライブが始まると続々と観客がやってきて、ステージに負けじとフロアの準備も整っていく。
9月27日に13曲入りのフルアルバム発売、そして29日には新宿MARZでワンマンライブを控えているということもあってか、Riki(Vo)の歌声めちゃくちゃ良い。高音域でもしっかり伸びやかな声がO-Crestに広がっており、これはだいぶ仕上がっている感じがする。
敢えてなのか(ニューアルバムを意識してのことか)、2022年以降の曲だけを並べたセットリストに攻めの姿勢を感じた。(個人的には2021年以前の曲も大好きなので、ワンマンではいろいろ聴けることを楽しみにしている)
アサイリュウ、ヤマザキタイキというツインギターの咆哮も、Jam Fuzz Kidの大きな魅力。ギターロック、そしてギターリフってこんなにカッコいいのか、ということを証明してくれるこのふたりのサウンドにも聴き入ってしまう。
ライブ終盤、Rikiがとても丁寧にアルバム発売、ワンマン、そしてグッズ販売の告知をした。自分たちでレーベルも立ち上げ、DIYでバンドを走らせている彼らにとって、こうしたアナウンスはとても重要だ。アパレルグッズのサイズにも気を配りながら情報発信する姿勢は、めちゃくちゃカッコいいと思う。
そんなRikiの大事な告知が終わった直後に、告知漏れてますよと言わんばかりにアサイリュウが「それとね…アルバムが出ます」と言い放った瞬間、会場キョトン笑。
天然アサイに会場が一つになった瞬間でもあった。
1.DFY
2.KABUKI
3.SPINE
4.Greedy Stray Dogs
5.Little Spark
6.Sleepless
7.Nightwalker
meiyo@Star lounge
2021年、コロナ禍における新宿LOFTでのIMALAB配信限定ライブに出演してくれたmeiyo。その後、あれよあれよとその名を日本中に轟かせ、ナショナルクライアントとのタイアップや大ヒットアニメの主題歌を手掛けるなど、一躍ヒットメーカーへと躍り出た。
彼のステージは観るのは、あの配信ライブ以来、しかもリアルでの鑑賞は初。リハーサル中のタイミングで会場となるStar loungeを訪れると、すでに楽しそうな雰囲気が漂っていた。
愛らしく親しみやすいキャラクターを出しながら、フロアとほんわかしたコミュニケーションを取るので、自然と観客も気持ちが緩んで、気付けばmeiyoワールドに誘いこまれていた、という印象。
今回はバンド編成ということで、もともとデジタル感の強いmeiyoサウンドながら、より一層、演者の息遣いも感じられるライブとなっていたのではないだろうか。
meiyoが生み出す曲はどれも耳がウキウキするような楽しさがある。いろいろなところに仕掛けもあって、飽きさせずオーディエンスを楽しませてくれるのだ。
今日のために、三三七拍子のリズムに合わせて「TOKYO!」「CALLING!」「TOKYO CALLING!」という掛け声を用意して観客も一緒になってライブを盛り上げる、そんな遊び心も。
これでもかと押し寄せるポップでキャッチーなメロディの波に楽しく乗れた、そんな気がするmeiyoのザッツエンタテインメントなステージだった。
1.STICKER!!!
2.クエスチョン
3.HOPE!HOPE!HOPE!
4.PAKU
5.っすか?
6.なにやってもうまくいかない
7.ビートDEトーヒ
SPRINGMAN@TAKE OFF 7
以前、IMALABのプレイリストでピックアップされていた「いないふり」がめちゃくちゃ良くて、いつか生で聴いてみたいと思っていたのだが、やっと今日実現。
そんな「いないふり」の疾走感溢れる演奏ももちろん良かったのだが、この曲に限らず、SPRINGMANのパワフルでグルーヴたっぷりなパフォーマンスに痺れた。
時々しゃがれるような歌声がまたワイルド&セクシーな雰囲気を漂わせており、それが曲に勢いをもたらし、ついついこちらの体も揺れてしまう。
短い持ち時間の中で、スピードとパワーだけではない、じっくり聴かせる曲も入れ込むなど、いくつもの顔を見せて観客を楽しませてくれるSPRINGMAN。
ライブ終盤に披露した「さよなら北千住」。初めて聴いた曲ながら、その歌詞ともあいまって強く印象に残った。北千住を歌っているのはあいみょんだけじゃない…!
東京初期衝動@WONB
その名は何度も目にしつつ、一度もライブを観ていなかったのでこの機会にしっかり目撃してみようと思い、東京初期衝動のステージへ。
リハーサルから自由な空気を振りまくしーなちゃん(Vo/Gt)。一足先にサウンドチェックを終わらせると、もう少しチェックしておきたそうな3人に向かい「3人でやって!」とステージから去っていく。
メインボーカル不在の中で、あさか(Ba)が、自身のコーラスパートである《BAKAち○ぽ》を連呼しながら3人でリハーサルを続ける絵からしてもう最高。
そして迎えた本番は、しーなちゃん筆頭にステージから繰り出すとんでもないエネルギーと、たくさんの観客で埋まったWONBから沸き立つ熱気がぶつかり合い、迫力満点だ。
しーなちゃんはライブ序盤、そして終盤でもフロアへと飛び込み、観客たちの上で仁王立ちしながら熱唱する。それはまさに「初期衝動」ともいえるような、強烈なパワーを感じさせるシーンだ。
持っているものを真っ直ぐ観客にぶつけるような、ある意味ピュアなライブ。見終わった後、なんだか清々しい気持ちになる、そんな30分だった。
※撮影OK
板歯目@WONB
熱狂的阪神ファンである千乂詞音(Vo/Gt)。チームの好調が関係あるのかないのか、溢れるエネルギーを容赦なく、存分に解き放つ板歯目の真骨頂のようなライブが展開していた。
リハーサルでは、PAと丁寧なやり取りで音を調整していく3人だが、まるで野生動物のごとく暴れまわるライブ本番とのギャップも楽しい。
海外からとおぼしき観客もフロアの前のほうでガッツリ拳を上げながら楽しんでいる姿に、ちょっと嬉しくなってしまう自分がいる。
阪神ネタに触れながら、いつものように短くあっさりしたMCをライブ序盤に入れ込んで、早々に「ありがとうございました」と挨拶し、言葉じゃなく歌と演奏で伝えるんだとばかりに、怒涛のプレイで息つく暇なく駆け抜ける。
千乂が17歳の頃から板歯目のライブを観ているので、今月21歳になったという事実にこの数年のあれこれを思い出す。紆余曲折ありながら、こうして2024年の『TOKYO CALLING』、WONBのトリを任せられているということが、板歯目がこれまでやってきたことの成果を証明しているのかもしれない。
1.ラブソングはいらない
2.オリジナルスクープ
3.ちっちゃいカマキリ
4.地獄と地獄
5.オルゴール
6.dingdong jungle
7.Ball & Cube with Vegetable
8.芸術は大爆発だ!
EN.
9.沈む!