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【ライブレポート】2023/8/26 『サワー#1』@下北沢近道&おてまえBAR


下北沢Garage跡に新しくオープンした、下北沢近道&おてまえBAR。地下がライブハウスなのは変わらずで(ただし内装や配置などは変わっている)、これまで事務所や楽屋として使われていた2Fではなく、1FをBARスタイルにしての営業。

ここで開催された、音楽と落語が融合したイベント『サワー#1』にて、少年キッズボウイのライブ、そして落語を観てきたので簡単に振り返っておこう。

少年キッズボウイ

「わちゃわちゃ」というキーワードで浸透しつつある彼らだが、もう少し掘り下げると「自由なスタイルでただひたすらに楽しく賑やかに音楽(と自己)を表現していく集団」とでも言い表せるだろうか。

加藤マニディレクションのMVが話題となった「なんてったっけタイトル」や、まさかのいち飲み屋さんとのコラボを実現させた「中野シャンゼリゼ-麦酒大学のテーマ-」など、続々と話題を提供し続ける少年キッズボウイ。

アキラ(Vo)とこーしくん(Vo)とのツインボーカルを筆頭に、全員つなぎの衣装で統一した彼らは今日もラフでナチュラルなスタイルからフロアを盛り上げていく。

オープニングを飾る「スラムドッグ・サリー」からきもすのトランペットが鳴り響き、GB(Dr)と服部(Ba)による軽やかなリズムとも相まって陽気なサウンドが近道を包み込む。

曲が終わり、一斉に敬礼ポーズをすると「夏なので海の曲を」というアキラの言葉から「海を見に行く」へ。フロアに手拍子を促しながら、観客を巻き込んでライブを作っていく。こーしくんとアキラのラップや歌唱の掛け合いも聴きどころのひとつだ。

MCではこーしくん作のオリジナル漫画の宣伝なども挟み込みつつフロアとの距離感を探りながら、中野にある麦酒大学というお店のあまりの素晴らしさに作ったという曲「中野シャンゼリゼ-麦酒大学のテーマ-」を披露。きもすのムーディなトランペットに服部のベースが絡み合うイントロから癖になる。「中野レンガ坂」というごくごく狭いスポットが歌詞に組み込まれたのは、もしかしたら世界初ではないだろうか。地元民としてはこれだけでも推し曲にせざるを得ない。

続く「なんてったっけタイトル」での開けた空気、高らかに響くトランペットがフロアの雰囲気をますますアゲていく。サウンドチェックの際にも様子がヘンだったこーしくんのマイクだが、この曲の際にマイクオフ状態になってしまい、急きょアキラのマイクを使って歌う場面も。曲中にライブハウススタッフがテープ(?)を巻き付け応急処置にて対応するハプニングも発生するなか、ライブは早くも終盤へ突入。

GBが「ミラーボールガンガンにしてもらっていいですか?」と照明スタッフにオーダーかけて派手な演出が舞い降りると、これに勢いを得たかのようにグルーヴ&バイブスがグンと加速。「最終兵器ディスコ」という少年キッズボウイの中でも屈指のアッパーチューンで、ライブは圧倒的クライマックス感があふれ出す。2番突入時、こーしくんが「バース2!」と叫ぶという斬新な演出も飛び出すなど、これぞ少年キッズボウイ!というまさにわちゃわちゃなステージが繰り広げられた。

ラストナンバーとなった「ぼくらのラプソディー」の、盛り上がりながらもどこか寂しさも帯びた楽曲で短くも楽しい彼らのライブは終わりを告げる。

前回のライブから少し時間が空いていたらしいが、「安定」という言葉とは真逆の、何をするかわからない、どうなるのか先が予測できない、そんな不安定さもまた彼らの魅力と言えるのかもしれない。

個人的にもちょっとした縁がある少年キッズボウイ、今後も期待大なライブが控えているとのことなのでこれからの活動を楽しみにしたい。

セットリスト
1.スラムドッグ・サリー
2.海を見に行く
3.中野シャンゼリゼ-麦酒大学のテーマ-
4.なんてったっけタイトル
5.最終兵器ディスコ
6.ぼくらのラプソディー

落語(立川志の太郎 / 林家けい木 / 桂紋四郎)

少年キッズボウイのライブの後はおてまえBARにてクラフトコーラを飲みながらまったり過ごし、約30分の落語タイムを楽しんだ。

トップバッターの立川志の太郎は、落語未経験の人が多いであろう観客たちに向けて、音楽ライブにゲスト出演した際のエピソードを交えた枕で場を温める。ロックバンドに挟まれたタイムテーブルで落語を披露したという話にBARの客席からはしっかり笑い声が。

続く林家けい木は、少年ジャンプ連載の『あかね噺』にて落語監修をしている期待の落語家だ。冒頭に枕トークを連発すると、後半には「鶴」をモチーフにしたショート落語で「落語の入り口」をさらに広げる語りで客席を沸かす。

ラストを飾った桂紋四郎は、上方らしい勢いのある喋りで、高倉健らが登場する仁侠映画の世界に気持ちが入りすぎて、現実でも仁侠な振る舞いをしてしまう登場人物を生き生きと表現し、落語の魅力を存分に披露してくれた。

また、桂紋四郎の落語中、たまたまおてまえBARの炊飯器(?)が炊き上がるメロディが流れてしまい、BARの店員も(あちゃ~)という表情を浮かべていたが、偶然なのか敢えてなのか、その音をかき消すかのごとく(内容的にもまったく不自然ではない)声量大のセリフで客席の戸惑いも消し去ったの、凄かった。

異なるカルチャーを一度に味わえる、こうしたイベントは今まで触れてこなかったジャンルとコンタクトできる貴重な機会だ。音楽とお笑い(落語)は相性がいいと思うが、それ以外でもエンタメの枠を超えて、様々なコラボイベントが開催されるといいなと思わせてくれた『サワー#1』だった。

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