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【ライブレポート】2021/10/6 SHELTER 30th Anniversary Look back on THE 1991-2021 LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS “01-man show”

下北沢SHELTERの30周年を記念した企画イベント『SHELTER 30th Anniversary Look back on THE 1991-2021』。

スペシャルなライブがズラリ揃ったラインアップの中で、イッチャンワンマンを申し込んでみたものの、見事落選。完全に諦めていたものの、前日に友人からチケットを譲ってもらえることになり、急きょ参加することができた。

行けなくなったその友人にためにも、ライブ後に残したメモとおぼろげながらも残る記憶を引っ張り出して、今日のライブをレポートしたいと思う。かなり短めかつざっくりした内容になっているのでそこはご容赦を。

コロナ前であれば、入り口付近の階段までぎっしりと観客で埋め尽くされたであろうフロアも、ひとりひとり仕切られたマス目のある床が目立つ今日のシェルターは視界も良好。モッシュやダイブは厳禁ながら、“ライブを観る”環境としては整っている、そんな状況だ。

フロア後方にはシェルター30周年企画に出演しているアーティストたちの直筆コメントが書かれたフラッグも。まだ6日目ということで白いスペースが目立つ。シリーズ終了時のフラッグ、あらためて確認したいところだ。

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開演時間を過ぎて場内暗転するとイッチャンをはじめとするLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSの面々が登場する。

個人的に、彼らのライブをリアルで観るのは2020年11月のWWWX以来。イッチャン自身も小さいハコでのライブは久しぶりかもしれない。

「会いたかったよ!」と嬉しそうに声を出すと、「心の中で あ・ば・れ・ろー!」と叫んでライブスタート。

いきなりSuper Stupid時代の名曲「WHAT A HELL'S GOING ON?」で幕を開けると、そのまま「Thorn in My Side」「T.O.A.S.T」など時代の壁を軽々と超える5曲を披露。イッチャンのバッキバキなベース、フルカワユタカのキレッキレなギター、ハッピーなオーラに包まれるダゼのドラム、3人の息もピッタリで最高のスタートダッシュを決める。

最前にいる観客のひとりが泣いていたようで、イッチャン思わず「一発目からもう!俺だってうるうるしちゃう!」とグッと来ている様子。

コロナ禍でやることがなくなって、何をしていたかを話すイッチャン。酒を飲むでもなく、くだをまくでもなく、実はワンマンに向けて家で練習していた、とまさか(?)の告白にフロアからは拍手が。

「BRAHMANはそんなことばっかりやっている、練習の鬼だから」とさっそく仲良しTOSHI-LOWに言及しつつ、コロナ禍のこの時間を有意義に使うなら、ミュージシャンにとって練習しかないと力強く語るイッチャンの姿が頼もしい。

ユタカに話を振ると、「コロナ前から一日9時間ギター練習してます」「友達いないんで」とこれまたユタカ節炸裂。

「その割には間違えるね」とツッコミ入れながら、やりすぎは良くないと話す場面も。

MCブロックも終わり、再び演奏スタート。以前ならフロアにサークルができて肩を組みながらぐるぐるまわる景色が広がる「WAY IT IS」を皮切りに、「Rules」「Got Lucky」「Swear」といったライブ常連曲たちが観客に笑顔をもたらしていく。

続いて2016年発売のミニアルバム『THE BOP』収録の「Snowman」から、隙を与えない見事な流れで2017年発売のアルバム『Stories Noticed』収録曲「luster」へと繋ぐ。

キャリア20年を超えるアーティストのライブで、新しい曲たちが主軸として育ってそのポジションを獲得している。近年のアーティスト・LOW IQ 01がいかに充実しているかの証左ともいえるだろう。

2つ目のMCブロックでは、主にシェルターの30年について語っていた。30年前、イッチャンはAPOLLO'Sというスカバンドで出演を果たしており、これまでに嫌なこと、いいことなどたくさんあったと話す。

当時ハイスタの横山健らと昼の12時までシェルターで飲んでいて、外に出たらOLがランチしていた、という驚愕のエピソードなども披露。(渋谷でのエピソードとごっちゃになっているかも)

また、1ヵ月しかないこの30周年記念シリーズの中にLOW IQ 01を呼んでくれたことに感謝の言葉を述べるイッチャン。

ここでユタカが、シリーズ最終日にはダゼやバンアパ荒井らと出演する旨を告知すると、拗ねたイッチャンは「キングオブ部外者!」と吐き捨て、「イチさん呼ぼうってなかなかならないですよ…」とユタカを困らせていた。いや、もちろんこれはふたりのじゃれあいであり、フロアは終始和やかな空気であったことを付け加えておこう。

ライブ後半は「Delusions of Grandeur」から。昨年のライブ会場から販売開始していたと思われる最新曲「Big Little Lies」も投入。こちらも最近のライブではよく顔を出している一曲だ。

「So Easy」では、ステージ袖にスタンバって写真を撮るカメラマンに向かい、演奏中にもかかわらず笑顔を向けてポーズを決めるイッチャン。彼はバンドマンであると同時にエンターテイナーでもある、そのことを感じさせてくれるワンシーンだ。

「Makin' Magic」を演奏する前には「世界が平和でありますように!」と叫ぶ。私自身にとってイッチャンの中で最も幸せを感じる曲のひとつでもあるこの曲にこんな言葉を添えてくれて、ただただ感動しかなかった。

最後のブロックを前にしたMCのタイミングだったと思うが、ここまでイッチャンが喋り続けていたのでダゼに「なんかない?」と話を振る。これを受けてダゼは「ありがとうございます…」と言い始めるが、次の瞬間「ホント“ありがとう”しかないのよ~」と話を奪っていくイッチャン。ダゼに話を振っておいて、そのままトークを続ける様にユタカもダゼも、そして会場全員も苦笑する、そんな迷場面も飛び出した。

ラストは《あのとき気づかなかった鍵となるストーリー》《ページをめくる手が止まり めぐりめぐる》という歌詞がしみる「MI-O-TO-SHI」、そして毎回ついついハスキンのイッソンが出てくるのでは、とうっすら期待してしまう「Little Giant」の2曲を披露して本編は終了となった。

ステージを去る直前、イッチャンは別のLOW IQ 01ライブの際、アンコールの手拍子が鳴る中でもしのっぴが余裕たっぷりにタバコを吸っていたというエピソードを話すと、親指と人差し指で軽く合わせるようなジェスチャーを示しつつ、疲れちゃうからアンコールの手拍子はこの程度でいいよ、とフロアを気遣っていた。

しっかり手拍子してもらうと楽屋で少しゆっくりしたくても罪悪感が生まれてしまうから、という理由が一番だとは思うしその気持ちもよくわかる。しかしそんなイッチャンの思惑もどこへやら。フロアからはガッツリと手拍子が鳴り響き、イッチャンたちの再登場を促す。

数分ののち、衣装チェンジして戻ってきたイッチャンは、「慌てて着替えたよ!」と先ほどの手拍子指導の甲斐がなかったことを残念がっていた…が、それはもちろんポーズであることは皆わかっている。

今年開催された川崎のクラブチッタでのライブ映像が配信されるという告知があり、その日のライブにはクレイジーなしのっぴがいて面白い映像になっているのでぜひ観てほしいとのこと。こちらもぜひチェックしたいところだ。

アンコール、1曲目に披露されたのは「Every Little Thing」。個人的にイッチャンのライブにおいてはダゼやしのっぴのコーラスが特に大好きなのだが、この曲ではダゼが大活躍。自身のコーラスパートではもちろんマイクに向かって歌うのだが、コーラスではない部分でも、マイクから離れながら思いきり歌っている。ダゼは仕事としてコーラスしているのではなく、ただただ楽しいから歌っている、そんな風に見える。事実、1曲目から最後まで、ダゼはずっと笑顔だった。ただの笑顔ではなく、まさにはちきれんばかりの笑顔。

こんなに楽しそうに叩くドラマーが支えるバンドが、楽しくないわけがない。

アンコール2曲目は「WHAT'S BORDERLESS?」。オープニングとクロージングをSuper Stupidで〆るという粋な構成でライブは幕を閉じる。

しかし、まだまだ宴は終わらない。ダブルアンコールに応えて再び衣装チェンジ、今度はキャップを被って登場するイッチャン。

最後となるMCでは、30年前のパンクやハードコアシーンに言及する。FunkadelicというPファンクバンドからSuper Stupidの名前を付けたというエピソードも。当時の界隈にはBad Brainsというバンドがいて、Bad Brains→BBに対してSuper Stupid→SS。自らのこのセンスの良さをアピールするイッチャンであった。

正真正銘、ラストとなる一曲。「今日は水曜日」というひと言で誰もが察する次の曲。そう、「Hangover Weekend」だ。水曜日の歌ではないが。

「シェルター30周年おめでとう!40周年までいこうぜ」
「(2年前20周年だった)俺も30周年がんばるよ!」

そんな叫びと共にLOW IQ 01曲の中でもトップレベルにアグレッシブな名曲を投下して、『SHELTER 30th Anniversary Look back on THE 1991-2021 LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS “01-man show”』は終幕を迎えた。

コロナ禍での苦境の中でライブとライブハウスを大事にしていくんだというイッチャンの覚悟も感じる場面もあった今日のステージ。少しずつではあるものの、声を出して楽しめる日が近づいていると思う。その日がくるまで気を引き締めながら、「できる範囲において」という条件のもとで、それでも存分に楽しんでいきたいとあらためて思わせてくれる、そんなライブでもあった。

ライブ終了後、イッチャンのはからいで写真撮影タイムが設けられた。こういうサービス精神もさすがだ。

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レコーディング中だという新曲も楽しみに待ちつつ、これからのイッチャンの活躍を引き続き追いかけていきたい。

セットリスト
01.WHAT A HELL'S GOING ON?
02.Thorn in My Side
03.Never Shut Up
04.Go
05.T.O.A.S.T
06.WAY IT IS
07.Rules
08.Got Lucky
09.Swear
10.Snowman
11.luster
12.Delusions of Grandeur
13.Big Little Lies
14.So Easy
15.Peace Balloons
16.Makin' Magic
17.MI-O-TO-SHI
18.Little Giant

EN.
19.Every Little Thing
20.WHAT'S BORDERLESS?

EN2.
21.Hangover Weekend

セットリスト再現プレイリスト


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