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【ライブレポート】2020/9/5 LACCO TOWER 【黒白歌合戦~電波極まる真白の変~】

コロナによる情勢変化のために各種ライブやツアーが延期・中止を余儀なくされてから約半年。この期間にメンバーの自宅から配信するリモートライブを何本も実施してきたLACCO TOWERですが、本日ついにメンバーが集まって無観客でのライブを行う運びとなりました。しかも「黒白歌合戦」という、本来周年記念で開催するはずだったLACCO TOWERにとっての大事なイベントです。

※黒白歌合戦についてはこちらをご参照ください。

会場はなんと伊勢崎市文化会館。2021年に開催されるI ROCKSの舞台となる場所です。

※2020/9/12までアーカイブ配信があるようですので未視聴の方はぜひ。


久しぶりに集う5人は一体どんなライブを見せてくれたのか。さっそく振り返ってみましょう。



開演時間から少しして画面に映し出されたのは、伊勢崎市文化会館のステージ…ではなくロビーに円形で設置された各種機材。ほどなくして拳を高々と上げた重田さんを先頭に、真一さん、啓示さん、大介さん、ケイスケさんの順番でメンバーが登場します。

白の日ということでSEも白の日仕様、衣装も白で統一。襟付きシャツやジャケット着用でフォーマル感あるなか、真一さんだけオーバーオールでちょっと陽気なお兄さん感あり。

メインとなるカメラから見て正面にケイスケさん。そこから時計回りに大介さん、重田さん、真一さん、啓示さんの並び。ふと見るとメンバー間を仕切るアクリル板に家紋が。ディティールにこだわるLACCO TOWERらしさがこんな小道具にも表れている。


「LACCO TOWERはじめます、どうぞよろしく」と丁寧に挨拶すると、「若者」からライブが始まりました。美しくドラマチックなイントロからもうたまらない。うっすらと笑みを浮かべながら歌うケイスケさんも印象的。ギターの見せ場で大介さんの指先からその表情までしっかりとカメラが捉えてくれていて、リモートライブとの違いを感じました。


「黒白歌合戦~電波極まる真白の変~へようこそ!」
「LACCO TOWERあらためましてどうぞよろしく!」

ケイスケさんの挨拶を皮切りに、最初のMCタイム。

メンバーが集まるのはなんと225日ぶりなんだそう。ラッコの故郷ともいえる伊勢崎市でライブができること、また久しぶりのライブをここでできること、そして仲間が集まるきっかけを与えてもらったみんなへのお礼を言いたいと話すケイスケさん。

気持ちのこもった語りにも楽器隊が反応できず、話を〆るタイミングで音を鳴らした方が良かったか、と戸惑う場面も。そんなぎこちなさが、しばらくぶりのライブであることをあぶり出します。


久々にやっている感じもないし、とはいえいつもやってる感じでもない。奇妙な感じだというケイスケさんの話から2曲目「夜鷹之星」。イントロのギターリフが好きだなあ。ラッコならではともいえる、サビで入ってくるコーラスもいい。早くも額に汗かいてドラムを叩く重田さんの姿も。

クレーンカメラが映り込んでいたけれど、今回の配信はかなり大がかりな撮影です。円形配置の中央にもカメラがあり、360°回転カメラでメンバーを映し出します。

「夕化粧」は重田さんのドラムから始まり、真一さんのピアノと啓示さんのベース、そして大介さんのギターと音が重なっていくオープニングがたまらない。色数を押さえた照明はメンバーの白が際立つ映像を作り出している。


再びのMCタイムでは今日のライブの諸々について説明があり、リモートライブ時のように頻繁に視聴者コメントを紹介することはできないが、換気タイムを設けているのでその際にまたコメントを拾っていくとのこと。

投げ銭に関しても言及されていましたが、以前のようなユニークなメニューではなく、シンプルに好きなメンバーへの投げ銭になるそう。人気投票に近いかたちになりそうでメンバーにもちょっと緊張感が漂います。

「演奏している前、横にメンバーがいるって最高」と大介さん。リモートライブでは部屋の壁しかなかったので、隣にメンバーがいることの喜びを話してくれました。

「久々の5人、堪能してください」
「俺らも楽しみます」
そうケイスケさんが告げると「折紙」を披露。ギターを替えた大介さんのソロプレイが響き、粒だった真一さんピアノの音色も鮮やかに鳴る。気持ちが昂ったのか、ラストで「フォウ!」と叫んだのはケイスケさん。

続く「遥」は青一色の照明が目を引きます。穏やかな笑みを浮かべる啓示さん。ギターもベースも音がとても柔らかく感じます。カメラのスイッチングまでも柔らかいような気がしてくる。それがまた「遥」という曲にピッタリで穏やかな気持ちで楽しみました。

MCでは伊勢崎文化会館での思い出トークが。真一さん、啓示さん、重田さんの3人にとっては地元中の地元。昔、裏の公園でしめられたと重田さんが話せば「俺も!」と啓示さんの声。真一さんはここで成人式をやったんだそう。


「演奏しながらたまに目が合うとニヤニヤするのやめて」と啓示さんがめちゃくちゃ恥ずかしそうに言っていた姿、良かったなあ。円形ゆえにいつもよりも目が合うんだそう。メンバー同士でトークする姿も楽しそうです。


ライブは早くも中盤戦。「花弁」の冒頭、アカペラ部分でカメラはケイスケさんのみを映し続ける。歌とともにピアノを奏でる真一さんがちょっとだけ映るも、ほぼケイスケさん。そしてアカペラが終わり、バンドサウンドが合流して曲のグルーヴが完成。MC明けからの導入として理想的ともいえる立ち上がり。

「告白」では全体の照明がオフとなり、ピンスポットな真一さんのピアノソロ。なだらかな指捌きから始まるバラードにしっとり酔いしれるも、後半で展開が一転します。劇的に高まる演奏、テンポも上がり観ているこちら側のテンションも曲に引っ張られる。「画面の前の皆様もご一緒に」と<ラララ~♪>のひとりシンガロング。ラストでモニタースピーカーの上に立ち上がって両手を上げる啓示さん。前半戦の手ごたえを表すかのようなパフォーマンスです。


換気タイムを挟んでの後半戦。まずはMCで再開です。


ロビーでの円形布陣によるライブについて、今までにない感覚だと大介さん。視聴者サイドとしても、リモートライブに続いてLACCO TOWER的にかなりレアなライブを観ているなという実感があります。

換気明けは本来SNSでのコメントを拾って紹介する時間なのですが、あまりに楽しいためかコメントチェックもそこそこにメンバー間でのやり取りに帰結してしまいます。そのたびに「コメント読めや!」とケイスケさんや啓示さんが引き締める。ひたすら楽しそうな5人が微笑ましい。

メンバーへの人気投票的な位置づけとなっている今日の投げ銭について、途中経過では1位が大介さんだと発表されると、「なんだよふざけんなよ」と文句が口をついて出るケイスケさんです。これからのプレイで巻き返しなるか!?


後半戦1発目は、「歩調」。こんな状況になる前に作った歌ですが、いろんな人に刺さりやすい曲になったんじゃないか、という語りからライブスタート。

ピアノソロから始まり、真一さんの指先がアップで映し出される。ケイスケさんが歌い出すタイミングで、手に持つマイクを追いかけるようなカメラワークが美しい。喉の奥まで見えそうなくらい大きく口を開けて歌う、そんな姿が目の前で見られる贅沢な瞬間。サビで世界が広がっていくイメージが浮かび、なんだか心が軽くなる。この曲は広い空間が似合うなあ。白曲にもかかわらず、大きめのアクションとともにベースをプレイする啓示さん。いつもは正面からしか見られないけど、今日は横からその演奏を味わえる、重田さんのドラミングも貴重です。


後半戦2曲目となる「蛍」でロビーは暗転。ギターの音が鳴りだすと大介さんに照明が降りそそぐ。長めの、静かなソロ。そして「ワン,トゥ,ワントゥスリー」とケイスケさんが囁くようなカウントを告げて歌が始まります。音数ひとつないしふたつで始まり、やがて全楽器隊が合流して楽曲がグンと熱を帯びていく、ラッコのライブでも特徴的な演出のひとつです。目をつぶってドラムを叩く重田さん。酔いしれるかのようにギターを弾く大介さん。ミュージシャンそれぞれの姿を追いかけるのが楽しくて全然飽きません。


「雨後晴」は真一さんのピアノ始まり。まるでソロリサイタルかのようなスケール感と迫力で演奏する姿に圧倒されます。

「画面の前の皆様にどうか届きますように」
「画面の前の声がこちらにも届くように」

「聴こえないと思うでしょ」
「聴こえてるんですよ」
「声は振動になってここまで届いているはず」

そんなケイスケさんのメッセージも挟んで<WOH WOH WOH WOH>とメンバーが歌う。腕を上げながら、歌う。

「同じ時間を共有することができたら」
「それは同じ場所にいるってことよ!」

いかにも白な、希望溢れる曲。「隣の人と手をつなごう」とまるでライブハウスにいるかのような言葉を吐くケイスケさん。真一さんは立ち上がって演奏し、大介さんはタッピングでギターを奏で、重田さんはどっしり構えてバンドを支えるリズムを生み出し、啓示さんは大介さんに視線飛ばして笑顔を浮かべる。

一体何台のカメラがあるんだろう、というくらいたくさんの画が楽しめる、本当に贅沢なライブ配信です。

「今年の夏はどうでしたか?」
「でもまだまだ外は…夏やなあおい」
「ちょっと暑すぎませんか、白の日にしては」
「夏やなあおい!」

「これやらんと夏終われないでしょ」

この流れで披露されるのはもちろん「藍染」。エンジン全開な啓示さんはスピーカーに足をかけ、真一さんはまたまた立ち上がって鍵盤を弾く。アームも使ったギターソロを炸裂させる大介さんも大活躍。竿のふたりが自分のエリア内でなかなかに躍動する姿が楽しい。ラストは全身全霊感たっぷりな表情を浮かべる重田さんのドラムで〆!


夏の次に迎えるは、春。「薄紅」の頭サビをピアノ伴奏だけで大介さんや啓示さん、真一さんが歌う。ケイスケさん以外の歌声がここまで響く機会は貴重です。歌詞あやふやになって思わず笑ってしまったのは大介さん?

「やがて春は来るからよ、そのときまで笑っとけよ!」とケイスケさんの檄も飛ぶ。

「薄紅」は大介さんのギターソロがカッコいいなあ。テンション上がったケイスケさん、思わず「フォウ!」と叫びます。本日2度目。ギターソロと歌の間に一瞬挟み込まれた真一さんのジャズチックなピアノもたまらない。スピーカーの上に立つ啓示さんと大介さんの勢いはライブの充実感を物語っているようです。めちゃくちゃ楽しそうな啓示さんの笑顔も最高!

「春は来るから絶対、大丈夫よ!」

ケイスケさんの叫びは安心感を与えてくれる。

あとは2曲を残すのみ、というタイミングで言葉を紡ぐケイスケさん。

今日が本当に嬉しくて、それはライブができたことはもちろん、自分たちを手伝ってくれている人たち、さらにその周りにいる、力を貸してくれている人たち…そんな自分たちの仲間と揃ってこういう日をもてたことが嬉しいんだと語ります。

そして、全部嫌になることもあるだろうけど、無理して前向きになるより健全だと言い、今できることをみんながやってくれているように自分たちも返せれば、いつかみんなのギザギザがいい形になって、また笑い合えるんじゃないか。そういう思いが伝わるように…と言葉を添えて、13曲目「組絵」を披露します。

「薄紅」とは対照的で、ひとつひとつの音は激しくとも、アクションとしては静なスタイルでじっくりと演奏するメンバーたち。白のセットリストの中でもメリハリをつけて、ラストに向けて弓を引き絞るような、グッと内へと向かってくる一曲です。また、曲中にも緩急が生まれるよう拍に変化を与えているのも聴きどころ。

最後のMCでは、これからについてを語るケイスケさん。

この情勢下で、いろんなことを始めたり進めたりすることの怖さと対峙してきたけれど、みんなと面白いことをやりたいから必死だったと話します。

いろいろと諦めざるを得なかったなかでも、楽しむことまでは諦めていないでしょ?と問いかけ、どんな形だとしても、これからも一緒に楽しんでいこうと力強く語りかけてくれます。

楽しみは自分たちが作るから任せておけと。電波の上、画面の向こうかもしれないけれど、会えるからと。


そして、うまい飯が食えて、好きな人が隣にいて、笑い合える時間があるのならそれを大切にしてほしい。ないものばかりに目を見張らず、あるものを大事にしていこうと諭すように言葉を続けていく。

明るくいこうぜ、暗い俺が言うのもなんやけど、と自虐も挟みながら。

ここでいよいよ本日のラストナンバーへ。メンバーそれぞれの名前を出して「いこうか」と促すケイスケさん。

「ないものばっかりやけど」
「欲しいものばっかりやけど」
「もしかしたら今、横には」
「同じものを好きな大切な人がいるかもしれんし」
「携帯見れば大好きな人に繋がるかもしれん」

「こんな壁一枚で俺らの絆は壊れへんし」
「電波に乗っかればなんだってできるはず」
「それを教えてもらいました」

「これからも楽しいこと作るからよ!」
「うまい飯食って」
「好きな人といて」
「笑って帰ろうぜ!」

「すげえ楽しかった!」

ケイスケさんが語る後ろで鳴り続ける演奏。正式イントロ前の、位置づけ的にはアイドリング…でも内容はめちゃくちゃグルーヴィーでテンションの上がる前奏がまたカッコいいなあ!

「本日この夜に、一夜!」の合図で「一夜」イントロへ突入!すべてを出し切るかのような歌と演奏にこちらの体温も上昇する。手拍子を煽るケイスケさんにはちゃんとカメラの向こうが見えている。こちらの思いもきっと届いている。

ステップを刻みながらベースを弾く啓示さんは、スピーカーの上からジャンプして5人の中央エリアへと降り立つド派手なアクション炸裂。アクリルボードを無効化しつつソーシャルディスタンスは保つ荒業です。

同じくスピーカーの上に立って弾くギターソロを大介さん。もはやお立ち台扱いとなったモニタースピーカーも今日のライブの立役者のひとつ。

14曲目でも迫力満点なドラミングで魅せてくれる重田さんも頼もしい。

「電波極まる真白の変、これにて終了!」

「俺たちがLACCO TOWERです」
「あなたたちがLACCO TOWERです」
「どうもありがとう!」

最後にケイスケさんがしっかり〆て、黒白歌合戦の初日は無事、終了となりました。

映像が終わる直前、カメラに向かって手を振るメンバーたち。ところがどのカメラが自分たちを映しているのか把握できず、視線を泳がせ「どこ?」を繰り返しながら、バイバイして映像終了。

なんだかこういう、ちょっと抜けているところも含めてラッコらしいライブでした。


黒と比べると白のほうが聴かせる曲、ゆっくりじっくり楽しむ曲が多い印象ですが、その中でもイントロ等で様々なアレンジが施され、メンバーがアクションたっぷりにプレイする場面もあり、動的な面でもじゅうぶんに楽しむことができたライブだったと思います。

言葉の端々にこの自粛期間における葛藤や苦悩が伝わってきましたが、今日こうしてメンバーやスタッフ、そしてファンが皆、体と心にいい汗をかいてライブを楽しめたことがひとつの答えと言えるんじゃないでしょうか。


翌日には黒が控えていまして、結論から言えばこれがまたすごいライブだったわけですが、その内容はまたのちほどまとめたいと思います。


何はともあれ、【黒白歌合戦~電波極まる真白の変~】をやり終えたメンバー、スタッフ、そして観賞したラッ子のみなさま、お疲れさまでした。


セットリスト
01.若者
02.夜鷹之星
03.夕化粧
04.折紙
05.遥
06.花弁
07.告白
~換気タイム~
08.歩調
09.蛍
10.雨後晴
11.藍染
12.薄紅
13.組絵
14.一夜


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