雨の記憶 page5 section 2−1
7月中旬になった。
あれからも何度か深川さんは店に来た。
相変わらず、大した話はできてないが、ちょくちょく注文をもらって、届けては少し勉強を教え、マスターも気を使ってなのか頻繁に休憩をくれるようになり、少し距離が縮まったと思っていた。
それが1週間ほど、日程で言うとテスト最終日の前日まで続いた。
そんな日々を過ごして、ある晩に家で疑問が頭に浮かんだ。
それまで浮かばなかったのも不思議なくらいだが、なぜ深川さんは雨の日にしか店に来ないのか。
何か雨の日じゃなきゃい