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【エッセイ】少しずつ学びたい

自分がものを書くとき、こういう文章を書けたらいいなあと憧れるのは、たいていもう鬼籍に入られた方か、年配の女性作家の方が多くなってきた。先週本屋で新潮文庫を数冊仕入れたが、そのラインナップは「杉浦日向子/お江戸でござる」「白州正子/私の百人一首」「塩野七生/イタリアからの手紙」といった顔ぶれだ。

清冽な岩清水のような、味わいぶかい清酒のような、心の奥底まですうっと染みていく文章を書ける方々ばかりだ。そうして、そういった方たちは、総じて深い教養があり、歴史や芸術に明るい。

私は昔から、年齢を重ねるのが嫌だと思ったことはほぼないのだけれど、それは、齢を重ねるにつれ人間としての器を広げ、鋭い見識を持ち、努力の末深くて広い海のような教養を身に着けた女性作家の方々が、上記の御三方に限らず、たくさんたくさん目の前にいてくれたからだろう。その方たちは本当に素敵で、私は強く憧れ、いつかほんの少しでも近づきたいと願っていた。上記の人たちは、本当にとんでもない才をお持ちの人なので、凡人の私が、そう思うことすら、ひどくおこがましいのだけれど。

成人してだいぶ経つうちに、齢だけ大人になっても、自分で努力して勉強していかなければ、本当に深みのある何かは身につかない、と思ってすごく焦っていた。あんなに学生時代逃げ回ったり理由をつけてやらないでいた勉強が、自分がほしがっていた「教養そのものの土台」だということに、遅まきながら気づいて愕然とした。

学生時代勉強もっとやっておけばよかった、という人と、勉強なんてやらなくても、ちゃんと社会人やってるからいいじゃん、という2種類の人が世の中にはいて、後者の人はそれでもちろん良いと思う。だけど、私は、自分の本当になりたい姿になるために、もっとまじめに勉強しておくべきだった、と今更ながらしみじみ思っている。

上記の理由もあって、前々からときどきたまに見ていたが、最近真剣に見始めたのが、リクルートの授業動画サイト「スタディサプリ」だ。月額980円で、高校・大学受験の5教科の総内容を、プロ講師の先生が授業形式でレクチャーしてくれる。私が大学受験のとき、これがあったら、もっと勉強が楽しかったに違いない、というくらい充実の内容だ。もちろん問題集も並行してやるべきだけれど、基礎固めには十分な内容だと思う。小学・中学講座もあるので、もしいつか自分に子どもができたら、一緒にやれたらいいな、なんて思ったりもする。

今は、日本史と漢文古文を特に学びなおしたいので、朝起きて仕事に行くまでの間見ている。図書館で、いくら日本史の研究書や古典文学を、将来の自分のために読みたいと思っても、基礎知識が土台としてしっかりないと、理解していくことができないのだ。というわけで、亀の歩みではあるけれど、いつか良いものを書けるようになるために、その分野の本を読むことと並行して、少しずつ勉強をはじめたというお話でした。高校レベルからやりなおさなければならない、というのが、少々ふがいなくもあるけれど、一歩一歩がんばりたいと思う。

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