上手くなりたいっていうただそれだけの気持ちで

ときどき、実際に言われてもいない架空の批判を想像して、気持ちがめげそうになるときがある。

「下手」「甘いよね」「人物造形がなってない」「展開がおかしい」「痛くない?」「よくこんなだっさいの書くよね」などなど。

誰かに向けられた悪意ある批判が、簡単に可視化されるこの世界では、知らない誰かに向けられた言葉の刃が、簡単に自分のほうに向くのを知ってる。

私が小説を書き続けるのは「自分の人生でできる限り小説が上手くなってみたいから」と、シンプルな思いが根底にあるから。その気持ちを心の芯に持つこと。そういうときはこの想いに立ち返ることにしている。

私に「下手だ」と言葉をつきつけるのは、たぶん私自身の中にある厳しさだ。

知らない誰かや、ほかならぬ自分自身に痛烈に批判されるときに「下手だなんて自分では百も承知のこと、それでも上手くなりたいからあがいているんだよ!」と、啖呵を切れたら、そんな強さがほしい。

はじめて300枚の小説を書いた。

隙も、粗も、見えまくりで、まだまだブラッシュアップが必要だけど、でも書いた。はじめて、この枚数を書いた。

私が走る長距離走のトラックは、前や後ろに比べる誰かがいるわけじゃない。たんたんと、黙々と、一人で走る長い長いトラック。

もっといいタイムを出せるために。
もっと、小説を書きつづけるために。

上手くなりたいっていうただそれだけの気持ちで、私は。

2020年は自分自身を超えていきたい。


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