【連載小説】優しい嘘からはじまるふたり 第14話「そばにいてほしい」
遥が総合病院に駆け付けた日から、二週間が経った。滋之からの連絡はないままだったが、遥は自分からは連絡をせず、彼のメッセージを送ろうとするペースを大事にしようと思っていた。
カレンダーは八月に入り、じりじりと暑い日が続く。厨房で立ち働いていると、汗が出てくるが、調理をしているとまたぬぐうのも一苦労なのだった。
レジにも立ち、遥があるお客様におつりを渡していると、ドアが開いて、作業服姿の男性が入ってきた。一瞬滋之か、とどきりとしたが違って、彼よりもひとまわり年上の社員のようだ