【連載小説】梅の湯となりの小町さん 3話
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ひえっと身をすくめ、湯の中で跳び上がりそうになった。
「すすす、すみません!」
私をしかりつけてきたのは、先に同じ浴槽に入っていた、小柄なおばあさんだった。おばあさんは「ほら、ここに書いてあるだろ」と、壁に貼ってある注意書きを指さす。たしかにそこには「湯に髪を浸けないよう、束ねるなどしてください」と書いてあった。
「銭湯、すごく久しぶりで、ルールを知らなくて……」
私がしどろもどろ言い訳すると、おばあさんは「フン」と言って「次からは気を付ける