- 運営しているクリエイター
2021年4月の記事一覧
【小説】別れのための僕の仕事
街灯のオレンジ色が雨ににじんで、夕闇のなか少し遠くに浮かび上がっている。運転席のハンドルを握っている先輩社員の今井侑平に、熊沢真悟はつい聞いていた。
「今井さんは、なんでこの仕事で働こうと思ったんですか」
真悟が今井と乗っているのは、遺体引き取りのための専用寝台車だ。さきほど夕方五時ごろ、遺族から連絡があり、七十代の父親が病院で息を引き取ったから、一連の葬儀をお願いしたいと連絡があった。それで
街灯のオレンジ色が雨ににじんで、夕闇のなか少し遠くに浮かび上がっている。運転席のハンドルを握っている先輩社員の今井侑平に、熊沢真悟はつい聞いていた。
「今井さんは、なんでこの仕事で働こうと思ったんですか」
真悟が今井と乗っているのは、遺体引き取りのための専用寝台車だ。さきほど夕方五時ごろ、遺族から連絡があり、七十代の父親が病院で息を引き取ったから、一連の葬儀をお願いしたいと連絡があった。それで