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法隆寺-春日大社-伊勢外宮~見聞録②

聖徳太子の秘仏 救世観音像

法隆寺は言わずと知れた聖徳太子が建てた世界最古の木造建築で日本で最初に世界遺産となったお寺です。
GWは夢殿の本尊、国宝の救世観音像の特別開扉期間でしたので、ありがたくも拝観する事が出来ました。聖徳太子の面影を伝え、等身大の秘仏とされます。身長が179.9㎝あり、長身で有ったようです。
救世観音像は秘仏なので、法隆寺の僧侶ですら夢殿の厨子の扉を開けることは、禁じられていました。
1884年(明治17)、明治政府の依頼を受けたフェノロサと岡倉天心が450mもの長い長い包帯(木綿)で巻かれ、ミイラのように封印された救世観音像を発見し、祟られると恐れ慄く僧侶達をよそに封印を解いた様です。
彼らは廃仏毀釈の中、日本の文化、美術品の価値を認め守った方達です。

訪れた誰かがGHQが大丈夫だからと封印を解かせたとか話していましたが、間違えてましたね。何事も自分で確認が大事です。
近年の研究で、当時、等身の像を造るのは、その人物が亡くなったときであることが明らかになっています。また、八角堂は通常供養塔なので、供養を目的に作られたことになります。


法隆寺参道
西院伽藍 飛鳥時代の建築様式

五重塔の中には今噂の?宇宙人さんがいらっしゃいます。世界最古の木造建築の中で釈尊の入滅を悼んでるなんてロマンがありますね。

聖徳太子は日本書紀には兼知未然(起こる前から、そのことを知っている)と書かれていたり、太平記にも聖徳太子の未来記について記載があります。聖徳太子は未来が予見できた様です。だからこそ法隆寺や四天王寺など今日まで残っているとも言えるのかもしれません…。

また、人望があった様で、平安時代には聖徳太子を観音の化身とする信仰が広まっていたようです。太子2歳像とか7歳像とかまでありました。
また、京都の広隆寺でも秘仏の聖徳太子像があり、歴代天皇がご即位の大礼に着用された黄櫨染御袍(こうろぜんごほう)の御束帯が、即位ごとに送られて、太子像に着せられています。現在、太子像が御召しになっている御束帯は現天皇陛下(今上天皇)から贈られたものです。
聖徳太子は実は今も皇室から畏敬の対象となっています。
1882年に興福寺、薬師寺、法隆寺の三寺が法相宗の大本山となりましたが、1950年に法隆寺は「聖徳宗」を名乗って離脱、独立した様です。
聖徳太子を宗祖とし、所以の経典は聖徳太子が撰したとされる「三教義琉」です。三教は「法華義琉」「勝鬘経義疏」「維摩経義琉」でそれぞれのお経の注釈書となります。論語からの引用が有ったりと学識の広さが伺われます。私も論語や維摩経を学んでいたりするので親近感を感じます。

御朱印帳 法隆寺オリジナル

初めての御朱印帳を法隆寺で購入したのですが、始めのページに聖徳太子の十七条憲法の一条が書かれていました。表紙は藍色で、外のカバーは朱色で気に入っています。

一に曰はく、和(わ)を以て貴しと為し、忤(さから)うこと無きを宗(むね)とせよ。人皆党(たむら)有り、亦(また)達(さと)れる者少なし。是を以て或いは君父(くんぷ)に順(したが)はず。乍(また)隣里(りんり)に違(たが)ふ。然れども、上(かみ)和(やわら)ぎ下(しも)睦(むつ)びて、事を論(ろん)ずるに諧(かな)はば、則ち事理自(おのず)から通ず。何事か成らざらむ。

十七条憲法第一条 佐伯定胤校訂より

仏教を本格的に日本に齎した太子の供養を思いつつ、その場を後にしました。

美しき春日大社と清らかな伊勢外宮

春日大社には祭神に武甕槌命(たけみかづちのみこと)と経津主大神(ふつぬしのおおかみ)がいらっしゃいます。武甕槌命は鹿島神宮の祭神でもあり、記紀神話で大国主命(おおくにぬしのみこと)に国譲りを迫る話にも出てくる、強力な国家鎮護の神様です。

春日大社

春日大社は参道がとっても長いですが、気持ちの良い春の陽気でした。急いでいたので、汗をかかない程度に小走りして参拝しました。朱の社殿は美しく、絵になります。表題の写真も春日大社です。朱色は魔除けや厄除けの力があるとされ、硫化水銀の粉末である辰砂(丹砂・朱砂)が原料です。水銀は防腐効果があり、『神農本草経』では、上薬に分類、丹砂(たんしゃ)と記され“無毒、精神を養い、魂魄を安んじ、元気を益し、精魅・邪悪な鬼を殺す”とあります。水銀中毒がちょっと怖いですが。。
御朱印は残念ながら書置きのだけでしたが、それを頂きました。春日大社三千社の総本社ですから場所自体が気持ち良く、山や参道を含め神聖な気持ちを頂きました。

次に伊勢地方を経由し伊勢外宮を参拝しました。昔は二年連続で行けていた事があったので、また直ぐ来れると思っていたら十数年経っていました。今回たまたま車での出張だったので良かったです。本当はゆっくり伊勢内宮や他の神社も寄りたかったのですが難しかったので仕方ありません。外宮を選んだのは、GWだけど内宮ほど混んでいないだろうという事と、実は隠された根源の神様を祀る神社だからです。だから内宮より先に外宮から参ることなっています。
前回来た時の体験も大きいです。それは参拝後、駐車場で車に乗ろうとした時に非常に綺麗な清々しい雰囲気に包まれている事に気づいたのです。基本私は感謝の参拝だけなので、それが鏡の様に時間差で反射したのかなと思いました。こういう事は先ずない事なので驚きました(内宮も良いのですが、前回人が多くもみくちゃ状態でした)。さて、今回どうなるのか・・・

豊受大神宮(外宮)
豊受大神宮(外宮)

外宮の心地よい参道を経て白馬の神馬さんにも会え、懐かしき外宮にお参りしました。
参拝で眼を閉じて手を合わせていると、瞑想が深くなるような透明感のある所だと感じました。こういう所で瞑想したら素晴らしいだろうなと思いつつ、多賀宮、風宮、土宮にも参拝し、車に戻りました。
眠気による軽い頭痛も有って、参拝後の感覚が余り分からないなあと思いつつ、車の中で自分の頭の中の感覚が少し変わっている事に気が付きました。そこから透明感のある清々しい感覚が来ており、外からのものではなかった事が今回分かりました。何であれ、良く反射する(と思われる)素晴らしい神社です。こういう所ではただの欲望を願うと不敬で罰が当たったりすると聞くのでお勧めしません。
前回は早朝で気が良い時間帯で、体調も良かったのでそういう時に行けたら良かったと思いました。

春日大社と外宮の御朱印

御朱印は仏教系に比べると簡素で、それもまた良いと思いました。
見聞録はここまで。と思ったのですが、GW明けに数日また奈良に出張しており、物見遊山をするつもりはなかったのですが、時間が取れたので奈良の神社仏閣に行ってきました。次回は、石上神社と薬師寺の予定です。
(つづく)

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