道に落ちていた失恋|ショートショート
ある日、会社からの帰り道に、失恋が落ちていた。
それは、植え込みの下に隠れるようにあった。遠くから見ると、手袋が落ちているように見えたが、近づいてみると、失恋だった。
どうしてそれがすぐに失恋だとわかったのか、今から説明しようとしても、難しい。でも、その時の僕には、すぐにわかった。
次の日の朝、同じ場所にまだ、失恋は落ちていた。昨日と同じ格好。
昨日は夜だったので暗くてよく見えなかったが、明るい時に見ても、やはりそれは失恋だった。
それを通り過ぎて会社に向かいながら、