雨雲ろうそく|ショートショート
「くそぉ、またお天道様が顔を出してらぁ」
ここ数ヶ月の日照りで、じいちゃんの畑は危機に瀕していた。青い空には白い雲がぷかぷかと気持ち良さそうに浮かんでいる。
「おい、お前。ヒマなら向こうの神社に行って、雨乞いでもして来い」
僕は鉛筆を放り出して外に出かけた。セミの声がうるさい。田舎はこれだから嫌だ。
別に雨乞いなんて現代で通用するとは思っていなかったけど、宿題を中断する口実ならなんでもよかった。
外に出たものの、特に行くところはないので、本当に神社に向かった。
鳥居近くの