19通目のラブレター
オットが誕生日を迎えたので、今年も腕によりをかけてラブレターを書いて渡した。毎年恒例の誕生日ラブレターは、今年で19通目になる。
きっかけは結婚して最初のオットの誕生日が間近に迫った、ある日の出来事だった。「なにか欲しいものはある?」と聞いた私に、オットは「物欲はもうないから、なにかロマンチックなことをしてほしい」と答えた。
ロマンチックぅぅ?なに、それ、笑いのスイッチが入っちゃうわぁ。
……という私なので、困惑しながら、
「えっと……具体的に言うと……なに?」
そう、単刀直入に、本人(オット)に聞いてみた。
オットによるとロマンチックというのは
「オムライスにケチャップでハートを描くとか」
らしい。すぐさま私の笑いのスイッチがオンになり、けらけら笑ってしまった。
ひとしきり笑った後「それはネタというか、ボケじゃなくて言ってる?」と確認したところ、オットの瞳はキラキラと輝いていて、100パーセント本気だった。これは実行してあげるしかない。
しかし、それだけではさすがにちょっと物足りないかと思って、軽い思いつきで、ラブレターを書くことにした。
これが乙女チックなオットにめちゃくちゃウケが良かった。自宅で使っているパソコンの横に飾って、ニコニコ眺めては「これ、ありがとうね」と繰り返し言うくらい、喜んだ。「軽い気持ちでやりました」と言うのが憚られるレベルに喜んで貰って、嬉しいやら、後ろめたいやら、ツマ(私)の気持ちは複雑であった。
その複雑な気持ちのおかげ?で、その翌年も、翌年も、翌年も、気がつけば19年連続でラブレターを書き続けている。
19年も一緒にいれば、良いことも悪いことも、楽しいこともつらいこともあるのが当たり前で、ラブレターの中身は励ましだったり、お願いだったり、謝罪だったり、いろいろだ。(今年も現在進行形でいろいろあります……はい。)
でも、毎年、変わらないのは、人生のパートナーがオットで良かったという気持ちと感謝である。今年もそれはきっちりしたためた。
そんなわけで。
今年もオットの誕生日にはオムライスを作って、ケチャップでハートを描いて、腕によりをかけて書いたラブレターを渡した。オットは今年もデレデレ、にやにや、照れ笑いして、本気で嬉しそうだった。そういうところが可愛いオットである。
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