【小説・雑感】匿名性のラクさ―『箱男』安倍公房
まだきちんと考え切れていないけど,いや少しも熟考できていないけど,
感じたことを書いておく.
『箱男』において,「見ること/見られること」が
大きなテーマとしてあることは誰しもが読めば分かるところである.
箱男は段ボールという箱で自分を覆うことにより,
自分の情報を周囲に開示することなく他者を見ること,言い換えれば他人の情報を取得することができる。
方や見られる側は,自分を見ている人間が一体何者なのかという情報を得られないまま,一方的に自分の情報を見知らぬ人に盗まれるの