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【小説・レビュー】吉行淳之介『暗室』と『菓子祭』―吉行淳之介について少し―

最近,吉行淳之介の小説を読む機会が増えたので,少し思うことを書いておく. 私はすぐ忘れてしまうので. 吉行淳之介は『暗室』から入ったのだが,この作品は非常に良かったと思う. 賛否両論あるようだが,私は好きだった. 『暗室』は,「こういう話で,こういう結末だ.」と言えるような作品ではなく, まさに”暗室”にいるようで,暗い部屋の中に迷い込んで,出口が見つからないまま暗室の中に漂う… そんな作品のように思う. つまり,オチはない.吉行淳之介自身,自分との向き合いの中で答え

    • 【小説・雑感】匿名性のラクさ―『箱男』安倍公房

      まだきちんと考え切れていないけど,いや少しも熟考できていないけど, 感じたことを書いておく. 『箱男』において,「見ること/見られること」が 大きなテーマとしてあることは誰しもが読めば分かるところである. 箱男は段ボールという箱で自分を覆うことにより, 自分の情報を周囲に開示することなく他者を見ること,言い換えれば他人の情報を取得することができる。 方や見られる側は,自分を見ている人間が一体何者なのかという情報を得られないまま,一方的に自分の情報を見知らぬ人に盗まれるの

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