安原さんの「ものを見る眼」についてー『美を求める心』より
安原喜弘さんと小林秀雄さんは中原中也を語る上で欠かせない人物である。安原さんは中也が一番孤独な時期である「魂の動乱期」に近くで支え、『山羊の歌』の出版へ向けて尽力した人物である。そして小林さんは「奇怪な三角関係」に陥ったものの詩の本質を理解し、中也から『在りし日の歌』の原稿を託された人物である。安原さん、そして小林さんとの間にはそれほど大きな繋がりは無かったようにみえるが、安原さんが書いた文章に興味深いものがあった。
『私には君はなにしてるんだというから、京都の大学で美学を