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五月の星々(140字小説コンテスト第2期)応募作 part5

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月ごとに定められた文字を使った140字小説コンテスト。

五月の文字「歩」は5月31日をもって締め切りました!
(part1~のリンクも文頭・文末にありますので、作品の未掲載などがありましたらお知らせください)

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そして六月の文字「流」です!
応募方法や賞品、過去のコンテストなどは下記をご覧ください。

応募作(5月27日〜31日・投稿順)

春歌(サイトからの投稿)
いつもの駅で着信。ごめん、今日行けない。僕の患者が飛び降りた。乾いた声。大丈夫?大丈夫。電話切った背中覆いかぶさる接触遅延のアナウンス。接触?そう表現されたのはいつからだっただろう。もうたくさんだ。改札口を出て歩く。ビニール傘を叩く大粒の雨音に包まれて、泣けない彼にも届けと歩く。

春歌(サイトからの投稿)
はい、カァットー!!。カチンコが2回鳴り、張り詰めていた空気が緩む。炎天下の草叢で力いっぱい鬼ごっこしていた子役達が休憩場所へとゆっくり歩き出す。監督も、ヒメジョンの大群が揺れている絵が欲しい、風待ちだな、と呟いて陰を求め建物へ。風待ち。私はひとり風を待つ。あの日と同じ静寂の中。

春歌(サイトからの投稿)
歩道の垣根に蛾が止まっている。気づいた人は眉を寄せる。通り過ぎて蝶に出会う。思わず笑みになる。
僕はこっそり聞いてみた。
これって不公平だと思わない?
キミは悔しくないのかい?
ふふ。ボクはボクに満足さ。人に好かれる為に生まれてきたんじゃない。そう言って蛾は思いっきり羽を広げた。

なつ(サイトからの投稿)
ぽつぽつと雨音が聴こえて目が覚める。頬を伝う雫。「好き」と表現出来ること。何て熱くて強いんだろう。最近は「興味がある」に置き換えてしまう。怯えている。雨足が強くなる。伝う雫を拭う。またもう一歩、踏み出す言葉を探った。大丈夫。それは確かに此処に灯っているんだ。それは確かに在るんだ。

Kana(サイトからの投稿)
歩めど消える、雪景色の足跡。
雪が降り出すまでは一応消えないのだけれど、降り出した途端に、姿形全て消えてしまう。それがわかっていても、また今日も足跡を残す。無駄じゃない、誰か私のことを見てくれると信じて。

……ついてない足跡を見れる人はどこにもいないのに。かわいそうな幽霊さん。

ちる(サイトからの投稿)
子供の頃、隣に住んでいた自称発明家のおじいさんから、万歩計のような機械をもらった。振っても数字は増えない。人に優しくしたら増えたときもあったが、変わらなかったときもあった。一日中ごろごろしていたら、すごく増えたこともある。これが一体何を測る機械なのか、大人になった今もわからない。

(サイトからの投稿)
あのひとに言いたいことがあるの。言えるかな?あなたは2人で歩く夕焼けの道の途中震える声で言った。あまりに言葉を詰まらせるので、また今度にしますか?と言うと今度がいつかわからないと頭を振り口を開いた。嫌いなところもあるけど大好きなの。あなたのこどもで幸せです。涙と一緒に零れ落ちた。

ちる(サイトからの投稿)
散歩をしていたら、初夏なのにコスモスが一輪だけ、咲いていた。きっと、前世で「生まれ変わったら会おう」と約束していた相手に早く会いたくて、こんな時期に咲いてしまったのだ。相手もコスモスに生まれ変わっているだろうけれど、このコスモスは秋に相手が咲くのを枯れずに待っていられるだろうか。

月街夢子(サイトからの投稿)
ガラスペンに碧海色(マリンブルー)のインクをつけて手紙を認めた。外に出てひんやりした夜にふれながら空にうかぶ三日月と歩く。ポストが見え握りしめた手紙をそこに手放した。手紙は静かに箱の中へ落ちてゆく。来た道を戻って帰宅し、ベッドに潜りこみ海の見える街に住む彼を想いながら瞼をとじた。

月街夢子(サイトからの投稿)
目の前に銀世界がひろがっている。ひんやりとした光景にうっとりとする。3歩進むとそこには常夏の青空がひろがっている。あの日の夏を思い出し眩しく想った。また3歩進むと花束を持った女性が微笑みながらこちらを見ている。潤んだブルーの瞳におもわず吸い込まれそうになる。私は歩く。額縁の前を。

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