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ちょっと聞いて欲しい嬉しかった話

昨日の話です。

わたしはいつも通り美容室に出勤していました。
私の勤務は19時まで。
18時に最後のお客様が来られました。

私の勤めるサロンはビルの3階。
少し急な階段を登った先にあります。

お客様は18時ちょっとすぎ、
少し息を切らしてご来店されました。

急いで来られたのかな?
まあ階段やもんな〜

それくらいに思って、
カバンと上着を受け取り、席へご案内。

いつも通り、カウンセリングを始めます。

『〇〇さん、こんにちは。
今日担当させて頂きます、星宗果歩です。
よろしくお願いします。』

私がいい終わるか、終わらないかくらいで

『ショートにしたいんです。』
と、おっしゃったお客様。

そうなんですね!
と、どんなショートにしたいか、もう少し詳しく話していきます。

よくあるショートの画像を見せ、襟足の形や、全体のシルエットの違いを説明するも、
なんだか違った雰囲気のお客様。

あれ、これは別のイメージがあるのかな?

『もっと短くすると、こんな感じですよ〜』とベリーショートにイメージ画像を見せます。

『もう、これくらい切ってもいいかな、と思ってるんです』

『実は、抗がん剤治療をしていて、どうせ抜けちゃうんです。でも抜ける時に毛が長いと処理が大変だし、落武者みたいになっちゃうから、切ろうと思ったんです。』

そして、最後に『暗い話をして、ごめんなさいね』
と。

その方は50代くらいの、可愛らしいお母さんでした。
そんな治療中だとは思えない程に、とても丁寧で優しい喋り方の方でした。

こんな短くしたいわけじゃないけど、
仕方なく。
みんなに迷惑かけちゃうから。

と、髪を切ることに前向きにはなれていない様子でした。

私は美容室はみんなが癒しと感動を感じられる空間であるべきだと思っています。
そして、美容師は髪を通して、寄り添ったり、時には背中を押したり。

家族でもないし、親戚でもない、
でも他人よりも近い、特殊な存在だと思います。

私はこのお客様を絶対に可愛くしたいと思いました。

この病気が辛くて大変だっただけの思い出にならないように。
これがいいきっかけになって、髪を切ってよかった!と少しでも思えるように。
また美容室に行くのが楽しみに思ってもらえるように。


髪を切りながら、お客様はいろいろな話をしてくれました。

この治療の前に手術をしたこと、
先月まで横になるのもしんどかったこと、
こうやってシャンプーしてもらえるのが本当に嬉しいこと、
病院でのことや、治療に関すること、

色々なお話をしました。

そしてお話をしている間に
襟足はぎりぎり、耳も少し出るくらいで、前髪も眉毛少し上。
すっきりとしたベリーショートに仕上がりました、

人生初めての短さだそうです。

自分で言うのもなんですが、
本当に可愛い、いいショートが切れました。

ショートヘアのお客様は本当に素敵で、
来られた時の髪型が思い出せないくらいに
とても似合っていました。

お客様は
『美容室に来る前は憂鬱でした。
まさかこんなに嬉しい気持ちで帰れるなんて。本当に嬉しいです。』
と、私との写真も撮ってくださいました。

辛かったことは髪の毛と一緒に切り落としておきました!
きっといいことが起こりますね!

そう話をすると、少し涙ぐみながら手を振って帰っていかれました。

私にできることは髪を切ることと、
話を聞くことくらいです。

勇気を出して来てくださったお客様に、
頑張れ!!!
と応援するんじゃなくて、
ありがとう。少しでも日常が楽しくなりますように。
と思いをこめて髪を切ることだけです。

でもそれだけで、こんなに元気になってくださるなんて。
ああ、いい仕事ができたなあ。
やっぱりこの仕事が好きだなあ。

そんなふうに思えた瞬間でした。


いつか私がどこかに落ち着いて、場所づくりをしたくなった時、
みんなのサードプレイスであり、
みんなの話し相手になれるような、
そんな空間を作りたいなあ、
と思いました。
忘れないように、ここに書いておこっと。


これの終わり方がわからないので、
この辺で(笑)

最近の嬉しかった話でーした◎

多拠点美容師を目指しております。私からお客様に会いに行けるnewスタイルを作りたい!よかったらサポートお願いします🥺