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SHOKUNIN @京都伝統産業ミュージアムで見て欲しい三者三様の継承

京都岡崎の都メッセ内地下一階、京都伝統産業ミュージアムで現在開催中(8月2日まで)の「SHOKUNIN」という展示のご紹介をさせて頂きたいと思います。

2016年、中川木工芸の中川 周士さんと開化堂の八木 隆裕さんが、ミラノサローネで展示された「SHOKUNIN」展。
craft、工芸、職人。我々が培い継承してきたものの本当の価値は何なのか。
そこを見つめる為の、今、自分達がやっている活動の転機であり、原点となるその展示を、今回、日本で再現する試みです。
この試みは単なる再現ではなく、我々の取り組みを、さらに進めていくための一歩。
そのため、ミラノでの展示にはなかった朝日焼の展示も加わりました。

工芸の職人、それはただ伝統的な技術でモノを作り生み出す。という存在に留まらす、その技術やモノとともに、そこにある種の非言語的な哲学のようなものを、世代を越えて継承していく存在ではないか。

そういった考えを、展示の中で体感して頂きたい展覧会です。

開化堂は、その150年程の歴史の中で、ずっと同じ茶筒を作り続けて来ました。修理に戻ってくる先祖が作った茶筒のために、その技法を根本的に変えることなく、その間ずっと同じ寸法、同じ素材で作り続けてこられた茶筒が、今回の展示では100本以上、約12mに渡って並び、開化堂がやり続けてきたこと。を象徴します。時代が変わっても、同じモノを作り続けて行くために、如何にあるべきか。開化堂の継承は、そのモノを変えずに伝え方を変えていくことで、時代に合わせていくということでした。

中川木工芸は、桶の技術を継承してきました。しかしながら、桶そのものは生活のなかからどんどんと失われていき、桶屋は昔、町内に一つというほど数多く存在しましたが、現在は京都で数軒という状況です。その為、中川さんが行ったことは、桶の技術、構造を他の用途に転用し、次々と新しいモノを生み出していくことでした。シャンパンクーラーや、スツール、酒器などの違う用途へ桶の構造、技術を応用して桶という形よりも、その技術を生かし続けることによって今まで桶作りで継承されてきたものを未来へ継承していく為の試みが続けられています。

朝日焼は、宝瓶と茶盌という二つの象徴的なアイテムのみを約150年の時間軸で展示しました。九世長兵衛の頃から現代に至るまで、様々に作られてきた宝瓶と茶盌をそれぞれに時系列に並べて展示をしています。
茶盌=茶の湯=非日常的な茶の象徴=作家性を帯びた唯一無二のモノ
宝瓶=煎茶、玉露=日常の中の豊かな茶の象徴=繰り返し作られる職人性の強いモノ
という二つの軸で、その朝日焼の中での150年分の歩みを見ていただけるようになっていますが、そこには朝日焼のアイデンティティとしての「茶の文化」に寄り添って作ってきた歴史。そして、同じように作られながらも各代の特色を反映しながら、らせん状に中心軸の回りを回りながら継承されていく様を、感じ取って頂けるのではないかと思っております。

三者三様の継承のあり方を、一つの展示の中でご覧頂くことで、工芸の継承とは如何なることか。それぞれ違う形でありながら、やはり工芸の根っこの部分での「継承」というもののあり方が重なって見えてくるのではないかと思います。

7月12日(日) 15時~ トークライブも開催いたします。
ぜひ、ご参加ください。
https://peatix.com/event/1539050/view
詳細
「SHOKUNIN」トーク展覧会タイトルである「SHOKUNIN」には3人の職人である意思が詰まっています。これからの工芸、これJからの職人について語ります。また、トークの様子は生配信を予定しています。
|出演:八木 隆裕、中川 周士、松林 豊斎
|日時:7月12日(日)、15:00-16:00(最大90分)
|場所:京都伝統産業ミュージアム内
|参加無料、定員30名(完全予約制)

展示会場
企画展 :「SHOKUNIN」
開催期間 : 2020 年 7 月4日(土 )~8月2日(日) 
9:00~17:00(入館は16:30まで)
会    場 : 京都伝統産業ミュージアム 企画展示室
住   所 : 京都市左京区岡崎成勝寺町 9-1
      京都市勧業館みやこめっせ 地下 1 階
観 覧 料 : 無料
主   催 : 京都伝統産業ミュージアム、京都市


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