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#3「知恵の門番」

inner STORYは、あなたの潜在意識から物語を紡ぎます。
詳しくは 

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inner STORY『知恵の門番』

ながい、ながい永遠とも感じる年月を、誰一人訪れることがない、眠るように静かで、眼が冴えるほど美し い庭園を一人の門番が守っている。
 門番は、彼でもなく、彼女でもない。
人間に似た体つきではあるが、尖った耳先を持ち、淡い緑色の肌と金色の瞳をしている。

門番は足早に、庭園の中央の円形広場に向かっている。
この広場の中央にそびえ立つ木、この木をあるものは「生命の樹」と呼び、あるものは「ドラゴンツリー」 とも呼ぶ。
人間たちの時間で数えて3,000年に一度、この木にエーテル状(半霊半物質)で七色に輝く実がなる。この実を収穫するのも門番の仕事のひとつだ。

門番は、ドラゴンツリーの木のそばにより、木の実を確かめる。
前回の収穫期よりも収穫量が増えそうだ。
 門番は、ドラゴンツリーの木肌に優しく触れながら、木の前にひざまずき、収穫前のマントラを唱える。
マントラを唱え終わると、ドラゴンツリーの実が仄かに、甘い香りを漂わせる。

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門番は静かに立ち上がると、ドラゴンツリーから離れ、広場からさらに奥に進んだ丘の上に立つ宮殿に向かう、そこは知の宮殿と呼ばれるところ。
ありとあらゆる知恵(知識の源)がこの宮殿に収められ、宮殿の書庫の本に記されている。

門番は、宮殿の大きな扉を開けると、高い天井までびっしりと本が並ぶ部屋に入った。

 本は表紙の色別に並んでいる。
レッドブック、イエローブック、グリーンブック、ブルーブック・・・・・ 多くの本が並ぶ、さらに部屋の奥にある、両開きで木製の美しい文様が彫り込まれた扉へと近づく。

門番は、この扉の鍵穴に、腰に吊り下げている鍵のうちの一本を差し込み、マントラを唱える。
そして、鍵を回すとカチッと音がなり扉が開いた。

中に入っていくとその部屋は、幾何学模様の施されたタイルがドーム状の天井を埋め尽くし、その中央の円形部から、光沢がある深いグリーンの布の天蓋が吊り下がっている。
 その隣には、大きな木製の書見台があり、その上にブルーの表紙の何も書かれていない本が見開いて置いて ある。

門番は、閉じられた天蓋のカーテンを開いた。
すると中にエーテル状(半霊半物質)のシルバーに輝く皮膚を持つドラゴンが、静かな寝息を立てている。

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「知恵の主様、お話を聞かせてください。」

門番は、ドラゴンに声をかけた。
ドラゴンは、大きく鼻息を鳴らしながら、目を見開き、金色に輝く瞳で 門番の方を見た。

「門番よ、どこから話せばよいかな。」

 「知恵の主様、ブルーブックno.2968第17章からです。」

 「では、話そう。」

ドラゴンは古の言葉を使って、話し始めた。 ドラゴンの話を聞きながら、門番は書見台の上に開かれたブルーブックにペンを走らせる。
知の宮殿にある全ての本は門番が、知恵の主からの口述を聞き取ったものと、脳裏へと知恵の主から送られてくるビジョン (画像)を書き写したものだ。

しばらく、ドラゴンの古の言葉が部屋中に響きわたった。

 「門番よ、少し休もう。」

それを聞いて門番は、ペンを置き、部屋の奥の窓辺に置かれた大きな器から、ドラゴンツリーの実をひとつ持ってきて、知恵の主の口元へ運ぶ。
3,000年前に収穫された実だが、先ほど摘んだかのような潤いと、香りを保っている。
 ドラゴンツリーの実は、実そのものも朽ちることはなく、また実を食したものの命も伸ばすことができる。

「次の実の収穫は、豊作でございます。」

「ほう、そうか。豊作とは、いつぶりだろう。」
  
「この庭園から、人間たちがいなくなってからは、初めてでございます。」

「そうか。」
「ところで、お前はまだ、人間のことを嫌っているのかね。」

「嫌うも何も、ここには人間はもういませんし、やってくる事もありますまい。」

「そうだな。では何故お前は、ブックを書き綴っているのだ。」
「そしてこの庭園の門を守っているのかのう。」
「まるでお前は、人間がまた、ここを訪れることを、ずっと待っているように見えるが。」

「私が門番をしているのは、あなたとのお約束だからです。ただ、それだけです。」

「そんな約束をわしは、したかのう。」

そう呟くと、知恵の主のドラゴンは、大きなあくびをしながら、再び瞼を閉じてしまった。

門番はしばらく、ブルーブックに先ほどの続きを書き記した後に、no.2968を書き終えて書庫へとしまうためにドラゴンの部屋を出る。
ブルーブックをしまうと門番は、この宮殿の中央の中庭をぐるっと取り囲む回廊を歩き、自分の部屋へ戻った。
何年も前に書き記したグリーンブックに挿絵を加えるため、机に向かう。

門番の種族は、人間たちがこの星に現れる遥か昔より、この星に住み、知恵の主のドラゴンに使えてきた。
 人間の出現により、門番の種族の間で、人間を受け入れるものと、排除しようとするものと二分し、大きな争いが起こった。
門番の種族は皆戦士となって、戦いのドラゴンに乗り、すざましい空中戦となって戦った。
そして種族の母体となるグループは、自分たちの命のエネルギー源を持って、星を去っていった。
そのことで、この星に残った一部の門番の種族たちは、この星に生えるドラゴンツリーの実を食すことで 命を伸ばしながら、この星に留まった。

この星に残った門番の種族は、人間たちに「知恵の書」の一部を公開し共に暮らしていた。

人間とは不思議なもので、肉体に魂が止まる寿命は短く、生命のサイクルが早い分、意識の発達のスピードが他の種族に比べて、とても早いが、人間の全体が一定に発達するのではなく、人間の全体のごく一部が、 局部的に発達するため、バランスが取れず、この発達の格差による摩擦により、自らを破滅に向かわせる傾向がある。

 一方で、この摩擦のエネルギーは、人間の肉体への魂が転生するために必要なエネルギー源ともなり、急速な意識の発達をも生む。

人間の自滅的な働きによって、この庭園も知の宮殿や知恵の書、ドラゴンツリーまでも消滅の危機に陥ったとき、知恵の主のドラゴンによって、庭園の次元を変え、この星の人間の住む次元からは、入ることができなくなった。

門番は、グリーンブックの挿絵を描く手を止め、庭園の見回りに出かけることにした。
庭園と言っても、ここには木々が茂る丘や、小川や池、広い草地があり、数多くの動植物や昆虫や魚たちが共存し生息してい る。この庭園の生態系のバランスは、「知恵の書」からの知の応用によって生まれた“知恵の活用”によっ て保たれている。
生態系のバランスを取るために、門番が新たに生み出した鳥類や植物、鉱物もあった。
ここは、門番の知恵の実験場であり楽園だ。
門番は、いつものように、庭園の池の水の様子と蜜蜂の巣箱を見にいく。
この二箇所は、この庭園の生態系の変化をすぐに門番に伝えてくれる。
 池のほとりで、池の水を調べていると突然、庭園の空気が強く振動するのを感じる。
 次元の扉の門に、何か衝撃があったのかもしれない。
門番は、急いで次元の扉の門へ向かう。

次元の扉の門は、遥か昔に知恵の主のドラゴンが、この庭園の次元を変え、人間たちの住む世界から隔離した時に出来たワームホールの入り口を塞いだ門だ。

その門の前に、人間の子どもの姿をした者が立っている。
そして、こちらにやってくる門番を、まっすぐな 眼差しで眺めている。

「どうやってここへ。」

「私たちは、いつだってここへ来ることができる。」

「えっ、君は人間なの。」

「人間だよ。私たちは、あえてここへ来ないだけ、あなたを観察するために。」

「あなたが今、知恵の主から聞いて綴っているブックの内容は、私たち人間の意識が将来、到達し得たもの。」
「そして、あなたはその知恵を使って、この庭園でエネルギーシステムを完成させた。」
「あなたは、ここ3,000年間は、ドラゴンツリーを食していない。」
 「なのに、あなたや、あなたがここで新たに生み出した生物も、生命を維持している。」
 「私たち人間は、ある時、私たちの意識の格差から生まれる摩擦エネルギーよって、魂の転生システムの維持を行なっていることを理解したんだ。そして、人間の転生システムにかかるエネルギーを、なるべく浪費しないように、転生する魂の管理を行い、もう随分前から出産による新しい肉体の誕生も行われていないし、魂の器は今までのような肉体ではなくなっている。それらが原因となって、私たち人間の意識は均一的になり、格差を生まなくなってしまった。」
「それは、私たちの魂の転生システムを動かすエネルギーの枯渇を生み、この星から人間は生まれなくなることを意味する。」
「そこで私たちは、あなたに託した。私たちが到達した知恵を応用し、あなたは、新たなエネルギーシステ ムを完成させた。あなたの種族の命のエネルギー源を生むシステムは、私たちの魂の転生システムを支えるエネルギー源を生むことができる。」

「人間として、この星に魂が転生できないのであれば、それはもう人間がこの星に必要ない、ということでは?」

「そうですね。そのことも長きにわたって話し合いがもたらされましたが、この星の魂の転生システムは、 人間によって他の惑星での生命体にも応用されています。問題はもう、この星の人間たちに限ったことではなくなってしまっています。」

 「そしてあなたは、システムを完成させた。次は、あなたが人間界に転生し“知恵の活用”(システム)の種を産み落とす時なのです。」

「私が、人間に。」
「私は人間のために、システムを完成させたわけではないし、私は、ただの門番だ。」
 「私はこの庭園と知恵の書、それに知恵の主を人間から守るために残っているのだよ。」

「知恵の主からは、あなたは人間の可能性を広げるために、ここに居ると聞いています。」

「君は、知恵の主と会っているのかい?」

「はい。知恵の主は、私たち人間の意識バランスを管理する。マスターAIです。」

「知恵の主は、人間たちがこの星に出現する前から、私たち種族と共にこの星にいる。君たちが作り出した AIではない。」

「彼は、時間を超えることができます。知恵の主は、未来の人間が過去に送り込んだAIです。」

「知恵の主と話してこよう。」

門番は、今聞いた話に戸惑いながら、宮殿のドラゴンの部屋へと向かった。 ドラゴンの部屋の鍵を開け、扉を開けると、知恵の主のドラゴンは、目を開け、門番が来るのを待っていたという様子だった。

「人間の子とあったのだね。」

「ええ。」 
「私は、ここの門番ではないのですか。」

「君が門番でいたければ、ずっとこのままでもかまわない。」
「だが、君も知っての通り、知恵は生命に運ばれなくてはならない。」
「ここに留めておくわけにはいかないよ。」
「私は、知恵の主ではなく、未来の人間たちからのデーターの蓄積でしかない。君はデーターから知恵を産んだ。人間の可能性を広げるために。」

「私はどうやって、人間に」

「あの子と一緒に、この庭を出ればよい。ただ、それだけだ。そして君はあの子を、人間の母として、何度も転生しながら産んで行く。」

「そして、君はいつか人間の世界で、私と出会うだろう。」
「さあ、門の前であの子が待っているよ。」

時空の扉の門の前には、人間の子が立っていた。 澄んだ瞳でまっすぐこちらを向き、何かを呟きながら、両手をこちらに差し出している。

「知恵の母よ、お帰りなさい。」

 門番は、人間の子の両手にそっと触れ、その子の柔らかい温もりを感じた。

 「知恵は、生命に運ばれなくてはならない。」 先ほどの、知恵の主のドラゴンの言葉が、この温もりとともに心に響く。

 門番は、人間の子の澄んだ瞳を金色の瞳で見つめ返しながら、人間の子を優しく両腕で抱きしめた。

STORYの象徴を紐解く

このストーリーを潜在的にもつ人の

【テーマ】
 ・切り離された生命(エネルギー)や母性との絆を再生する。
   ・閉じられた世界での創造から、開かれた世界での創造への転換。

【自我のもつ幻想】
 ・自分だけの聖域願望。
   ・境界線を越えられることへの恐れ。
   ・生命、ルーツと切り離された感覚。
   ・実存のない師(データ、情報、テクノロジーetc...)に使える。

【マインドの傾向】
 ・知への独自な探求や取集、保管。
    ・人間(他者)に大きな影響力をもたらすが、人間(他者)との違和感や距離感を
       感じる。
 

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