三味線

landing on blue/船団虚構

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 やっぱり藤子F不二雄先生の残した「すこし、ふしぎ」という言葉はすごい影響力を持っていて、僕にとってSFは「すこし、ふしぎ」でしかないです。スターウォーズとかはめちゃくちゃすぎますよ。あんなもん摩訶不思議ですよ。MFですよ。マナルファックですよ。SFは現実世界や社会問題の誇張だなんて言葉もあって、これはこれでどうかなと思うこともあるんですけど、やっぱり「とりあえず星ごと爆破しまーす」みたいなのよりも、なんかすげえ気持ち悪い宇宙人がセサミストリート見てるみたいな奴の方が、かえって夢がある感じがしますよね。この三味線だけで作られたアルバムは、そんな僕の理想的な「すこし、ふしぎ」を与えてくれるアルバムです。

 三味線の音というのは宇宙的であると思いませんか?ボタンおしっぱでもそれなりに成立する電気楽器が跋扈するこの世の中で、簡単に「浮遊感」みたいな言葉を褒め言葉として使っちゃダメですよ。男は黙って打弦楽器!しかも三味線って、ボサノヴァで他人の曲をカバーして飯を食ってる女が飼ってる猫の革を使って作られていますからね。ハードコアな音がするのも頷けます。ちなみにこのアルバムの三曲目(TOM & JELLY)は、その猫を追いかけているときのBGMです。

 このアルバムは、まるで三味線のワンストローク毎にひとつ惑星が生まれていくようで、最後まで聴き終わった時には、あなたの心に巨大な銀河系が編み込まれていることでしょう。しかもパッケージが畳で作られているので、おばあちゃんちの匂いまで嗅げるんですよ。逆に超ふしぎ!GCFですよ!

 レッチリとかが来日した時にOAで出て、ジャパニーズスラップを見せてやってほしい。それからあのしゃもじみたいなピックを客席に投げ込んで欲しいですよね。
 ただ、個人的にボーナストラックはいらなかったかも。もうひと笑い取っとこう、という欲が見えちゃいましたね。彼らなりの照れ隠しなのかもしれませんが。

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