エイリアンズ/6
※縦書きリンクはこちらから https://drive.google.com/open?id=1IRVPA_02NDj6IlU9QqFo_789SW7UMwtT
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これは、誰の人生なんだろうと思う時があります。
窓から外を眺めているとき、例えばそこにもう一つ窓があるとしても、その窓の中には絶対に触れられないわけじゃないですか。
でもそこにも、空間があるわけです。人が暮らしていることもあるでしょうし、何か会話が為されていることもあるはずです。でも、何も聞こえないし、全てを見通すことが出来ない。
自分の身体に関しても、そういう感じがするんです。
自分であろうと、自分のことを全部捉えることができないし、ままならない。
こうやって誰かの人生をリアルに思い浮かべているときも、
自分の記憶を遡っているときも、
同じような感じがするんですよ。
鳥が飛んでいます。
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そうか、そんなこともあるかもね。ツムラヤはしみじみと言った。
その団地の話って、俺が車に何も考えずに乗れたって話と繋がってる?
え、そうですそうです。というか今までの話全部繋がってると思って話し始めたつもりなんですけど。
ああ、そうだよね。良かった。
ええー、じゃあ私が急に「私団地そのものなんですよね」って言い出したと思ったんですか?めちゃくちゃ不思議ちゃんじゃないですか。
はははは。不思議ちゃんじゃない、わけではないでしょう。
それだったらツムラヤさんも不思議ちゃんじゃないですか。
島の入り口が見えてきた。本島の光にうっすら照らされている護岸は直線的で、精密な点描画が浮かび上がっているようだ。島の東側に並んだクレーンが、それぞればらばらのタイミングで点滅していた。
じゃあ安心して言うけど、わかるような気がするよ。
タカハシは何と返していいのかわからなくなり、黙ってしまった。微妙な沈黙が漂う。
ああ。この人は、わかってくれようとする人なのだ。
そんなことを判断するのは、まだ早いのだろうか。
いつ判断するのが、適切な距離感というものなのだろうか。
人工島に足を踏み入れた。そこはかつては海だった場所だ。
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