小学校の教科書に載っている、斎藤隆介作、滝平二郎絵の「モチモチの木」という童話をご存じだろうか?
山奥で、爺さまと二人で暮らす「豆太」という子どもは、夜になると、家の間にある大きなトチの木が怖くて、厠にもひとりで行けなかったのだが、ある夜、急病になった爺さまの為に、一人山道を走って医者を呼びに行くという話。
「もしかしたら、爺さまが死んでしまうかも」というモチベーションが、豆太をそれほどの行動に駆りたてた。
これは、「火事場の馬鹿力」という言葉もあるごとく、人間はいざとなったら、想像もつかないような底力を発揮する、ということを示している。
普段、ここまで追い込まれる状況には、なかなかならないが、「看病する人が、病気になりにくい」「席を譲った人が、疲れにくい」といったことは、誰もが身に覚えのあることだろう。
この理由の説明としては、「モチベーションがあがるから」であるが、もっと言うならば、「他人の(他の存在への)役に立つ行いをすることによって、人間の遺伝子が活性化するから」と言い換えてもいいのだろう。
科学の進歩は目覚ましいものがあるが、それでも「遺伝子や生命そのものをゼロから創り出すことはできない」。
遺伝子額の権威であった、故 村上 和雄 氏は「生命の暗号」の中で、次のように述べています。
体調の悪さに苦しむ人、世の中に希望を見出すことができない人は、この『「イキイキ、ワクワク」する生き方こそが、人生を成功に導いたり、幸せを感じるのに必要な遺伝子をONにしてくれるー』の言葉に注目されるとよいと思います。
私流に言わせてもらうならば、「イキイキ、ワクワク」する生き方とは、「他人や他の存在にとって役に立つ行動をすること」が生命の素である遺伝子を活性化することなのでしょう。