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クライアントや客は、あなたを「有能でスマートな店員、或いはビジネスマンかどうか?」と見ているのではない。ただ「自分の存在をリスペクトしてくれる人かどうか?」と見ているのだ

想像してみてほしい。
あなたは数年来の「夢」であった、ヨーロッパ旅行へ家族で行く。
前からチェックしていたパリのおしゃれなカフェに入った。

ところが、家族で店の入り口付近に立っているものの、店員はだれも視線すら合わせてこないし、ずっとほったらかしにされている。
それでは、と窓際の気持ちの空いているテーブルに座り、メニューを見ていると、いきなり店員がしかめっ面でやってきて何やらフランス語で「むこうの席に行け!」と言ってるのが、身振り手振りでわかる。
そこは壁に囲まれた薄暗い場所であった。
しかたなくそこに座ってメニューを改めてみると、メニューは全てフランス語で、何が書いてあるのか、さっぱりわからない。
しょうがないので、適当に注文すると、何やらよくわからない料理が出てきた。
家族は暗い気分で、早々に店をでた。

どうだろう?
この人にとって、この「おしゃれなカフェ」は、憧れ続けた店として、どう感じただろうか?
おそらく二度と行きたいとは思わないだろうし、率直に言えば、間違いなくヨーロッパ旅行の「黒歴史」だろう。

実は、こういう経験をすることは、実際とあまりかけ離れていない。
私たち夫婦は、昔ヨーロッパを旅行した際、パリのレストランで、これに近い体験をしたのだ。
ちなみに、その後ユーロスターでイギリスへ渡り、ポートン・オン・ザ・ウォーターかどこか忘れたが、小さな田舎町を旅した時、小さなレストランに入った。
食事が終わり、店員さんにチェックを頼もうと立ち上がり辺りを見回すと、一人の若い店員さんがこちらに気付き、にっこりと微笑んだ。
その若い女性の店員さんの姿と笑顔は、なぜか四半世紀たった今でも、スケッチできるくらいにはっきりと覚えている。

パリの店員とイギリスの店員。
どちらの態度も彼女らが受け取る賃金には、まったくと言っていいほど違いはでないだろう。
もしかするとパリの方がずっと高い可能性はある。
しかし、前者は四半世紀以上経っても尚、私にこうして記事を書かせているぐらいの大きなものを残したということだ。



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