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熊止め林(くまどめりん)

武田鉄矢のラジオ番組を聴いていて、「熊が里に降りてくるのをふせぐ熊止め林」というものが、昔の日本にはちゃんとあったという話を聞いて、「やっぱりな!」と思った。

その放送を、わざわざ文字に起こされた方のブログがあったので、ちょっとお借りして、下に貼ったので、それを読んでもらえば合点がいくだろう。

そもそもが、スギばかりの薄暗い単純な森ばかりにしてしまったことが元凶であることに間違いがない。

その生態系を無視した、「カネ目当ての」植林は、多くの動植物の棲息地を奪っただけでなく、花粉症という形で、未来に生きる人間を苦しめ続けている。


武田)
 昨日は「ギンパチ」銀座のミツバチの話でありますが、
これね不動産をやってらっしゃる若社長でね、なかなかある意味ではバブリー紳士みたいな方なんですけども、別の視点を持っちゃったんだなあ人生で
蜂の目で見てみたらどうなるだろうっていうね、発想がどんどんどんどん変わるんだって。
で、お話してると「私不動産やってるんですけど、ハチと知り合ってから考え方が変わりました」って。
私はこの映画のためにこういう人に会ってお話を聞かなきゃいけない。
 その次に紹介されたのは熊森協会の人たち。まぁ世の中には色んな人がいますよね。
兵庫県の武庫東中学校。こういう呼び方でいいのかな? 間違えたらごめんなさいね。
武庫川の「武庫」に「東中学」。東中学の、マァこれ先生方なんでありますが、とある日のこと、但馬地方のツキノワグマがエサを求めて里山に降りてきたと。
ほんで、まぁ「駆除」ということで、クマを次々射殺しているというニュースを知った子供たちが「なんとか救えないだろうか?」と担任教師に
珍しく子供たちがやる気になったんで、その女先生も理科の授業からツキノワグマの勉強を開始したそうです。
よく調べたらツキノワグマってのは基本的にはベジタリアンで肉食をしないんだと。
危険な里山、人間が住んでいる里山まで下りてきたっていうことは、奥山、その里山の奥の方の奥の山。
クマの住んでいる山の方が非常に環境が荒廃してると。
それで食うに困ってツキノワグマが下りてきたということを知った子供たちが先生の指導で、環境庁に掛け合うのかな?
環境庁のお役人さんがまた良い人だったんでしょうね? ニッコリ笑って「頑張るのよ!」もう底抜けに明るい笑顔で、
「環境庁はねツキノワグマの命をね守れないの。ね? だから君たちで頑張るのよ!」っていうね。
「環境庁はねクマ殺す方」ってはっきり言ったんだ。立派なお役人さんですよね?
で「そこまで言われるんだったら」つってこの東中学の生徒さんたちがやる気になって「ツキノワグマを守ってみせようじゃないか」と色々努力するんです。
でね、このね熊森協会の人たちから教えてもらってね、つくづく感心したんだけど・・
加奈、わりと田舎の子?

水谷)
 どっちかっていうと都会ですね。田舎を知らない人間です。

武田)
 私ね九州博多で・・まぁ今大都会になっちゃったけど、
昔けっこう農村の田んぼが近郊農業地帯、農業地帯に生まれたんだよね俺は
でね、「そう言われてみると」って思い当たるんだけど
あのね、山なら「山」があるでしょ? で、農家のお家があって田んぼがあるでしょ?
里山ね。ため池かなんかあって
で、ため池過ぎるとドーッと緑が濃くなって、マムシが出たりするっていうのがある。
その里山が終わって奥山になる所にね、そういえばね柿の木が植えてあったのよ。
それを持ち主が居ないつって盗みに行って、食ってたのよ。
それはね、どっかの適当に生えた柿の木だろうと思ってたら、その持ち主の居ない柿の木っていうのは何の事はない、「人間の知恵」だったんだって。
あ、もう気づいた。

水谷)
 あ、そこでクマをせき止める・・

武田)
 そうなの! その柿の木をズーッと並列で植えてあって、それを「クマ止め林」って言ってたんだって。で、そっから草を刈るんだって。
そうするとクマはその柿の実を食いに来るんだけど、そっから下の草を刈ってある所には出歩かなくなるんだって。
昔の人の知恵って凄くって、射殺することでなくてクマにプレゼントすることによってラインを、サバイバルラインを教えたっていう。
このクマ止め林っていうのがね凄い発想だよね。なるほどなあと思ってさ
で、この熊森協会の人たちは、「こんだけ知恵があった」って言うわけ
で、「里山」っていう人間が稲作なんかをやったりなんかする農業地域としてのグラウンドとケモノたちが共存する知恵っていうのを、もう持ってたって言うわけ。
それを失くしたのは戦後のことで、そのクマ止め林を全部切っちゃって、実の成らない木、杉の木を植えたところからクマの大混乱があって
クマ止め林の柿の実の味を覚えた熊が人ん家の庭の柿に上っていくのは「熊としては当然ではないか」っていうね。
知恵あるよなあ。
ガタガタ「自然を守ろう」とかって言ってるわりには、山分け思想を失くしちゃったっていうね。
クマが生息する地域っていうのはものすごく自然の環境がうまくいってるんだって。
クマが柿を食う。腹ん中に種が入る。で、うんこになって出て、それがまた野趣の柿の木になるっていう。
そういう営々と繋がる食物連鎖の運び屋を生き物がやってる。そのことを生き物は忘れちゃだめだっていうね。


おそらく、シカやイノシシに対する問題も根本は同じだろう。

今度はこれを何とかするために銃を使って命を奪うことを奨励し、税金から報奨金まで支払っているが、その猟銃を使って殺人事件まで起きたりして、結局は問題を良い方向へと向かわすことができていない。


少数であり、弱い立場であろうが、良識と英知を持つ人々が各地で草の根的に運動・活動を広げていくしかないのであろう。




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