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本当の子育ての時期とは


明後日の3月1日、ほとんどの公立高校で卒業式が行われるようです。
式後の教室では、一人一人の挨拶の時に、後ろに立っている親(特に母親が多いようです)に向って、「今まで育ててくれてありがとう」と言う光景がよく見られます。
そしてその一月後に、高校を卒業した若者たちは、進学や就職の為に家を出ることも多いでしょう。
そのことを持って「子育てが終わった」或いは「子どもが、親の手を離れた」とする親・保護者がほとんどだと思うのですが、私はむしろ「ここからが、本当の子育ての始まり」だと考えます。



巣立ち」の語源にもなっている鳥の子育てにおいては、雛がかえってから、巣を離れる巣立ちまでの期間の後、重要な「独り立ち~子別れ」という、それまでの2倍にわたる期間が存在します。

いったん巣を離れた若鳥も、実際はそのまま遠くへ旅立つわけでは無く、巣から数十メートル離れた場所で過ごします。

その間、最初の頃は親鳥に餌を運んでもらって食べさせてもらいます。
そして「飛び方」から「餌の捕り方」「調理の仕方」を親鳥から教わります。

そして、秋が過ぎ、冬を迎える頃に、「子別れ」という段階に入り、親鳥は、自分のテリトリーから、若鳥を追い出しにかかります。
たとえ子どもであっても、一羽の成鳥とみなし、何度も何度も追いかけまわし続けます。
追いかけられても、巣の近くへ帰ってきていた若鳥は、やがて自分の生息域を求めて、遠くへ旅立ちます。


人間の世界の子育てには、この「巣立ち」の後の、「独り立ち~子別れ」が、そっくり抜け落ちてしまっているように思えてなりません。

たとえ遠方にいようとも、まだ若者は、社会の中で十分に羽ばたける力をもっておらず、むしろ自分が飛んでゆく方向性にすら自信が揺らいでいることは、まず間違い無いでしょう。

「どうやって、広い世間の中で、自分にできる職能を見つけ、人の役に立ち、人の中で信頼を築いていくか」。
こういうことは、学校では、教えてはくれません。進路学習等とはまったく違う次元のものです。
また人生の中で、「いかに心の通う友を見つけ、またパートナーに巡り合うのか」も。
それらは、失敗の連続の中で、いつか自分で獲得してゆくものなのですが、時に若者は心を痛めたり、病んで舞い戻ってくることもあるはずです。そこで親がどういった言葉や態度を用意してやれるかは、非常に重要となることは言うまでもありません。

教科書にはない、ましてや試験の点数などにはまったく関係の無い「力強く生きてゆくにはどうすればよいか?」ということについては、たとえ激動や苦難の日々であったとしても、親が性根を据えて子と向き合う、本当の子育ての時期であり、その時期こそが子育ての本分なのだと思います。

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