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2022年8月の記事一覧

「 帰ろう シャドラック 」ジョイ・カウリー著

ニュージーランドは、とっても好きな国。 その国の馬の話で、期待して読み進めた。 後半まではなかなか興味深く読み進めたが、結末はもの悲しさだけが残ることとなった。 馬を実際に飼養したことが無い人が頭の中で創るとこういうことになるのだろう。

奈留高校・幻の校歌、荒井由実さんの「瞳を閉じて」

松任谷(荒井)由実の名曲「瞳を閉じて」は、長崎県立奈留(なる)高等学校の為に松任谷さんが作った「幻の校歌」でした。 それはまだ同校が長崎県立五島高等学校奈留分校だった時代の昭和49年、当時の生徒であった藤原あつみさんが、荒井さんのラジオ番組に「オリジナルの校歌がない、私の学校に校歌をつくってほしい」というハガキを送ったことがきっかけでした。 普通に考えれば、「まぁ気持ちはわかるけど、学校の意向もあるからね・・」で立ち消えとなるはずと思うのですが、そうならなかったところに、

「ひまわりは枯れてこそ実を結ぶ」堀 文子さんの言葉 

早朝にたまたまテレビをつけると、堀さん(故)のインタビューをやっていて、堂々と「政府がまた戦争をやりたがってるんではないか」とか「隣組なんてのは、密告組織ですよ」と言った歯に衣着せぬ物言いが新鮮で、標題の本を購入し読んでみました。 感想を一言で言うと、「この人は圧倒的に裕福な階層の人だな」ということ。 若くして夫に先立たれた後は、大磯に土地を買って転居したり、イタリアに3年間住んだり、軽井沢にもアトリエを持ったりと、あまりにも一般庶民とは次元が違う。 表題の書も、堀さんの

炭鉱マンたちへのリスペクトから生まれた「ヨイトマケの唄」

wikipediaの言葉をそのまま鵜呑みにするのもなんですが、この「ヨイトマケの唄」を美輪さんが作るきっかけとなったのは、ある炭鉱町の炭鉱マンたちと家族の姿へのリスペクト(敬意)だったようです。 wikipediaによると・・・ 『興行主の手違いで炭鉱町の劇場でコンサートをすることになったことに始まる。当時きらびやかな衣装でシャンソンを歌っていた美輪は、炭鉱町でのコンサートに乗り気ではなかったのだが、炭鉱労働者たちが安い賃金をつぎ込んでチケットを求め、客席を埋め尽くしている

ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」は、夢と現実を知る少年期から青年期を描いた名作

カナダ出身のアーティスト、ジョニ・ミッチェルが作った「Both sides, now」は切なくも美しいメロディーで、学生時代から好きな楽曲のひとつでした。 歌詞の内容についてはこれまで深く考えようとも思わなかったのですが、現代の世界の状況やその中に置かれた子ども達、若者のことを考えるようになってから、この邦題「青春の光と影」という楽曲が気にかかるようになり、内容をつぶさに調べてみようと思いました。 やたら韻を踏んでいるのと、やや感覚っぽい内容である為に、直訳することの難しい

クリアー&メロウなGeorge Bensonの「Nothing gonna・・」は、黒煙に覆われたピッツバーグの下町から生まれた

ビリー・ジョエルやリアン・ライムスなどクリアーな英語を使うアーティストの楽曲には心惹かれるのですが、ジョージ・ベンソンの「Nothing gonna change my love for you」(Gerry Goffin&Michael Masser作)もそんな楽曲のひとつです。 初めて聴いた印象は「これだけ発音がクリアーなのは、白人の正統派シンガーだな・・」というものでしたが、あとになってそのイメージはまったくもって見当違いであったことがわかりました。 ジョージ・ベン

ジョージ・ハリスンの最大の名曲「Something]は、元妻パティ・ボイドを想う気持ちから生まれた

ジョージの奥さんが、きれいだというのは、私が小学生の頃から、けっこう有名であった。 ジョージの最大の名曲でもある「Something」のミュージック・ビデオを観ると、元の妻であるパティ・ボイドのその愛くるしい様子がわかり、曲を創るに至った想いが想像できる。 (noteではyoutubeを埋め込むと、途端に強制的に削除を迫られる。MVを貼りたいがそれができない。 この分だと、政府や運営サイトに対する批判を書いても削除される日がくるだろう!) やたらと他を批判し、嫉妬深いジョ

言葉を読めば、その人の人生と価値観がわかる 「オードリーヘップバーンの言葉」

羽田から長崎に戻る時、えらく時間があったので、空港にある小さな書店で買ったのが、「オードリーヘップバーンの言葉」。 他にこれといった本が見当たらなかったので選んだのだが、結果、とってもインスパイアされ、オードリーヘップバーンという人にすっかり惹きつけられてしまった。 映画を観たり、wikipediaを読むだけではまったくわからなかった彼女の人柄や価値観というものが、初めて理解できた気がした。 財産や写真などよりも、「言葉を遺すこと」は、本当に価値のあることと再認識するこ

川瀬 巴水 作 「天草より見たる雲仙」

大正11年に発表された川瀬の作で、最も気にいっているものの一つ。 よくわが郷里長崎の雲仙と馬を組み合わせてくれたものだと思う。 実に長閑な景色だが、ほど近い三池では、多くの馬たちが坑内馬として苦しんでいた時期と重なることを思えば、切なく哀しくも見える。

「見知らぬわが町―1995真夏の廃坑」中川 雅子 著

「見知らぬわが町―1995真夏の廃坑」中川 雅子 著は、1996年(平成8年)に 葦書房から発刊された本。 福岡県大牟田市に住んでいた筆者が、女子高生であった時代のひと夏、ふとしたことから自分の住む大牟田市の炭鉱時代の歴史を調べていくという実録。 高校生らしい、瑞々しい感性でありながら、真実を探求しようとする姿勢は、むしろ一研究者のそれを越えている。 多くの人に読んで欲しい一冊だが、残念ながら刊行した出版社が実質廃業したこともあってか、幻の本となってしまっている。 私