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奈留高校・幻の校歌、荒井由実さんの「瞳を閉じて」

松任谷(荒井)由実の名曲「瞳を閉じて」は、長崎県立奈留(なる)高等学校の為に松任谷さんが作った「幻の校歌」でした。

それはまだ同校が長崎県立五島高等学校奈留分校だった時代の昭和49年、当時の生徒であった藤原あつみさんが、荒井さんのラジオ番組に「オリジナルの校歌がない、私の学校に校歌をつくってほしい」というハガキを送ったことがきっかけでした。

普通に考えれば、「まぁ気持ちはわかるけど、学校の意向もあるからね・・」で立ち消えとなるはずと思うのですが、そうならなかったところに、ロマン(古い表現ですが)を感じますね。

51年に正式に独立し、奈留高校となったのですが、残念ながら校歌としては採用されず、「愛唱歌」というポジションにあるそうです。



63年に同校に設置された松任谷さん直筆の書を彫り込んだ「瞳を閉じて」の碑です。

「愛唱歌」というポジションはどうか、という議論はもういいとして歌詞を読んでみると、あらためてその秀逸さが伝わってきます。


  1. 風がやんだら 沖まで船を出そう
    手紙を入れた ガラスびんをもって
    遠いところへ行った友達に
    潮騒の音がもう一度届くように
    今 海に流そう
     

  2. 霧が晴れたら 小高い丘に立とう
    名もない島が 見えるかもしれない
    小さな子供にたずねられたら
    海の碧さをもう一度伝えるために
    今 瞳を閉じて
    今 瞳を閉じて

1番は奈留島という小さな島にいて、本土へ渡っていった友だちを思う気持ち、
2番は本土から、昔暮らした奈留島の友だちを思う・・・・という、シンプルながらとても情景あふれるものとなっています。

この歌が出来た頃、今のような「急激な過疎・少子化」が進行しているだろうとは誰も予測出来なかっただろうと思うのですが、この「瞳を閉じて」はそのことを静かに見通していたかのようであり、さらに「大切なもの」を贈り物として包んでいたのだ・・と思わずにはいられません。

(画像は上2枚とも県誌より。下は小学校前にある島唯一の、教育のための信号機)



就職や進学で卒業生が島を出ていく時には、港で「蛍の光」とともに流されるのだというこの「瞳を閉じて」。彼らはどういう思いでこの曲を聴いたのでしょうか・・・

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