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【ホラーとギャグは紙一重】映画『サユリ』を観てきたついでにホラー漫画遍歴を語る(長文)

押切蓮介の漫画を原作のホラー映画『サユリ』を観てきた。
押切蓮介は全作ではないがコミックを持っているくらいの好き。私は『ミスミソウ』から入っているのでホラー漫画家との認識であるが、一緒に観に行った夫はゲーム関連から入っているのでギャグ漫画家と思っている。
シリアスなシーンを描くにはゆるすぎる表情に、これまじめなシーンなんだろうかと戸惑うこともあるが、これが押切蓮介。
意識しているかは分からないが、ホラーをやり過ぎるとギャグになってきて、ホラーとギャグは紙一重と思う漫画家である。
漫画『サユリ』を買って読んだのはもう何年も前で、ジェットコースター的に次々と家族がいなくなる展開に恐怖を覚え、おばあちゃんの覚醒には爆笑した記憶がある。
細かいあらすじを忘れたまま今回の映画を観た感想。前半は王道ホラーでちゃんと怖かった!正体の分からないものになす術がない絶望感。後半はあれ?笑ってちょっとホロっともする、長男の成長物語だった。
観終わって、生きてる人を刺すのはどうかと思うって話しながら帰ってきたが、コミックを読み返したら、刺してた、ばぁちゃん。原作通りだった。
自分の家族を守るためには、相手が幽霊でも人間でも関係ないんだろうね。

noteではホラー寄りの記事が多くなりそうなので、私のホラー漫画遍歴を綴ってみたいと思います。
小さいころ行っていた近所の床屋の本棚に楳図かずおの短編があり、待ってる間に読んでいてそこから楳図かずおに興味を持ち『漂流教室』や『洗礼』の長編をレンタルして読んだ。この2作品は子どもが主人公ではあるものの、重い作品で印象的なシーンが頭から離れず子どもが読む漫画ではなかったと今は思う。
それが影響してホラー好きになったわけではないと思う。(そうでありたかったが)絵本を読んだりTVアニメを見るにしても、小さい頃から暗いのが好きだったような気もするし。
もう少し大きくなると、御茶漬海苔の『惨劇館』がクラスで流行り同級生から借りて読んだ。当時スタイリッシュな世界観に惹かれ、自分でも欲しかった…他には犬木加奈子の『たたりちゃん』とかも流行ってたかなぁ、そのあたりから、ホラー漫画雑誌なるものを買うようになった。
様々なホラー作家の短編が載った分厚い漫画雑誌で月刊や季刊で出ていた。
その中でコミックを買うくらい好きだったのは、川口まどかとか関よしみとか…
関よしみの作品は霊とかではなく極限の状況に置かれた人間の狂気を描いたものが多く、主人公はだいたい優等生的ないい子だが、追い詰められていく。
例えば、町で開催される賞金が出るクイズ大会に、大好きな彼とペアで気軽に参加したら、一人で育ててくれた母とその彼のどちらかの命を選ばなくていけなくなり、賞金で母を楽にしてあげたいと思って参加したのに母を亡くすことになったり…
寝むると必ず人が死ぬ予知夢を見て現実になるので、寝れずにおかしくなっていく…とか。当時こんな後味の悪い漫画を好んでいたとは周りには言えず、本棚の奥にしまっていた。友だちも私の精神を心配してたし(笑)大丈夫です、私はまともな人間です!
大人になってからは漫画を読むことは減ったが、水木しげるの漫画や楳図かずおのイラストが好きで、展示会や関連イベントに行って、グッズを買ったりTシャツを着てホラーを楽しんでいる。
そして最近、会社の同僚の子と伊藤潤二の話になり
、有名漫画家だけどちゃんと読んだことないって言ったら好きな作品だという『死びとの恋わずらい』を貸してくれた。
伊藤潤二は、綺麗な絵で私は好きだろうけどストーリーがエキセントリックで現実味がないイメージがあり、今までそこまで読んでみようと思ってなかった。
ちゃんと読んでみた『死びとの恋わずらい』。
霧の深いある町で、四ツ辻に立って通りすがりの人に占ってもらう辻占が流行し、謎の美少年に会った少女たちが自殺するという事件が多発。過去に辻占に応えたことによりその女性が自殺してしまうというトラウマを抱えた主人公は、辻占をしている人に対し前向きな言葉を返す行動で、謎の美少年に対抗する。
架空の設定をリアリティのあるストーリーに展開したところがおもしろくて引き込まれた。

行き過ぎた恋心。この顔に声出して笑った

伊藤潤二といえば『富江』か『うずまき』だろうか?
他にも読んでみたいと『富江』も貸してもらった。
あらすじ(ネタバレあり):美しい少女富江が何者かに殺されバラバラで発見されるという事件が発生。同級生の死に悲しみにくれる教室に、富江が登校してくる…

死んだはずなのに…

実は、校外実習の際に富江が転落し死んでしまいそれを隠蔽しようと体をクラス人数分に切り刻み、それぞれ持ち帰り各自捨てていたのだった。
それが、富江 THE ビギニング
その後は富江の魅力に取り憑かれた男たちのオムニバス作品で、時も地域も違うが富江が現れると男たちは魅了されさらには殺してバラバラにしたい衝動にかられるという。
発端の富江の事故は多少自業自得とはいえかわいそうだったが、バラバラにされ、それらがまた富江に成長しウイルスのようにどんどん増殖していく。それを目的としているかのように男たちを虜にしていくんだけど、一人ひとりは殺されたいわけではないし、同じ町に3人の富江(の分身)がいたときは、他の存在が気にくわず命令に従う男たちを使って自分以外の富江を抹殺しようとするから不思議。
とにかく富江が美しくかわいくて何度も見たい!

発するワードがおだやかでないのだが。

先日さらに『うずまき』を借りたので楽しみ。こちらの記事はいつかまた。

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