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生存記録その6~終活の始まり~

1993年10月2日。
ゾンビパンデミックの中で、安定した暮らしを求めて隣町・ウエストポイントへの旅に出た僕は、道を阻む規制線に立ち往生してるうちにゾンビに襲われ怪我をし、泣く泣く出身地のリバーサイドへと引き返すのだった。

セーフハウスに帰り、地図を眺めながら「しおやきさんは街の南側から入る別ルートでリバーサイドに来てくれたみたいだし、今度はこのルートで行ってみよう」と、一晩休んで仕切り直すことにした。

翌朝。食事もしっかりとってゆっくり休んだはずなのに、気分が悪い。怪我はもう治りかけで痛みもなくなったのに、原因不明のストレスに苛まされ、常にビクビク緊張し手汗をかいている。
そしてちょっとその辺の木を切ったりしただけで暑い。夏も終わり、気温は10度近くまで下がってるのに。

僕は3ヶ月前、まだリバーサイドが平和だった頃、テレビでノックス事件を報じるアナウンサーの言葉を思い出した。

「感染の初期症状は、まず気分が悪くなり、吐き気等を訴えるようになります。風邪を引いたときのような体温の上昇が見られ、原因不明の緊張状態に陥り精神的にも不安定になります。このような症状が現れた方は、すぐにお近くの病院の受診を…」

…思い当たる節が多すぎる。つまり感染したのだ。ちょっとひっかかれただけで。

僕は絶望する一方で、少し安堵した。この、いつ明けるかわからない夜のような人生にゴールがあり、それが間もなく訪れるであろうことに。
今まで見てきたゾンビを思い出しながら、死後ああなるのは嫌だなと思いつつ、決まってしまったものはもう仕方ないと開き直った。
残された時間はあまりない。僕はリバーサイド行きを諦め、自分の生存を目指すためではなく、次にこの街を訪れた誰かがより安全に生きられるよう、街の発展に注力することにした。

ゾンビ化が進む中で、僕の終活が始まった。

※この物語はフィクションです。
筆者のゲームプレイをドキュメンタリー風に綴った日記になります。
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