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生存記録その2~終わり無き逃避行~

1993年夏、某日。
ゾンビひしめく街の空き家で目を覚ました僕は、息を潜めてトイレに隠れていたが、餓死する前に脱出を試みることにした。
朝になり外が明るくなってきたので、そっとトイレの窓を開けて外に降り立つ。
それだけで向かいの家の前で徘徊していたゾンビ数体が僕を見つけ追いかけてきた。
逃げなければ!でもどこへ???

そうだ、確か近所に知人のponさんが住んでた家があるはず。もしかしたらまだ生きてるかもしれない。僕は助けを求めて知人の家を目指し、次から次へ追いかけてくるゾンビを振り払いながら走った。

息切れしそうになりながら走り続けると、地図にマークした知人の家が見えてきた。

遅かった。既に知人の姿はなく、家は窓ガラスが割られ、玄関のにはゾンビの群れ。ここも安全ではなさそうだ。
僕は家に入るのを諦め、とにかくゾンビがいなさそうな郊外へ郊外へと走った。ponさんは無事だろうか。どうか生き延びてくれ。

メチャクチャゾンビが多い。いくら逃げても、逃げた先でまた次のゾンビの集団に絡まれる、ゾンビの無限リレー。なるべくゾンビに姿を見られないよう、町外れの鬱蒼とした森に入り、樹木に隠れながら終わりのない逃避行を続けた。
走り疲れた…お腹すいた。僕は木の下にしゃがみこんで、何か食べる物が落ちてないか探した。ここノックス郡ではよく見る、自生してるベリーが実っていた。毒があるかもしれないけど、空腹に耐えかねベリーの実を口に放り込んだ。ダメだ。毒はなさそうだけど全くお腹が膨れない。

民家がなくなるとさすがにゾンビの数も減ってきて、僕は森から恐る恐る道路に出た。日が落ち、夜になり、朝になっても道路伝いに歩き続ける。逃げた先に食べ物のある建物があるこを祈りつつ。その間にも数体のゾンビが僕を見つけて追いかけてくる。ダメもとで手持ちの青いボールペンをゾンビめがけて振り下ろすと、バキッと音をたててボールペンは折れた。これで僕に武器は無くなった。逃げるしかない。歩きすぎて足が棒のようだ。お腹すいた…。

ゾンビを振り切って丸1日以上歩き続けてると、道路の向こうにぽつぽつと家が見えてきた。そうだ。リバーサイドは街の東側が高級住宅街になってたんだ。そこそこの中流家庭から高給取りまで、裕福な人達が住むエリア。僕は地図を開き、自分がどこにいるかを確認した。

こんなところまで歩いてきたのか!
この距離を徒歩で逃げてきた自分を褒めつつ、この間に一度も安全な場所が見つけられず、食べ物にもありつけなかったことに絶望した。

住宅街の一番端にある民家の裏手に回る。
庭には元住人と思しき女性のゾンビが一体だけいた。こちらに背を向けてるので見つかってはいない。
僕は忍び足で後ろから近づき、ゾンビを突き飛ばして倒した。倒れたゾンビの上に乗り、無我夢中でゾンビの頭をスニーカーで踏みつける。
嫌な音をたててゾンビの頭は砕け、それっきり動かなくなった。倒したのか…。まだ心臓がバクバクいってる。
そうだ、とにかく食べ物を…!僕は鍵のかかっていない窓を見つけ、窓を開けて民家に侵入した。生きてるうちにこんな形で建造物侵入をする羽目になるとは、夢にも思わなかっ
た。
部屋の中は電気がついており、そこにも住人と思われるゾンビが立っていた。慌てて窓から外に出ると、ゾンビも自分を追いかけズルリと窓から這い出てきた。
地面にボトリと落ちたゾンビの上にすかさず乗り、頭を踏みつける。武器がないから今の僕にできるのはこれしかない。またしても嫌な音を立ててゾンビの頭は砕けた。
僕は主のいなくなった民家に再び入り、冷蔵庫を明けた。
冷凍庫には新鮮な肉やシーフード。冷蔵庫にはライムやズッキーニといった野菜。
冷凍庫の食材を解凍してる余裕はなく、僕は夢中で冷蔵庫の冷えた野菜を貪った。うまい…!調味料もなにもなく、ただの生野菜や果物なのに、なんでこんなに美味いんだ。
野菜を食べ終え一息つくと、すぐにシンクの水道をひねり、洗剤の空きボトルに水を入れる。歩きすぎて喉がカラカラになり飲み干してしまった空きボトルに、冷たい水が満たされていく。ようやく一息つくことができる。

そのとき、別の部屋のドアをドンドンと叩く音がした。
扉の向こうにまだゾンビがいたのだ。
ここも安全な家ではないことに絶望しつつ、僕は猛烈な睡魔に襲われていた。空き家で目が覚めてから、飲まず食わず、寝ずに足が棒になるまで歩き続けてきたのだ。
もういいや…眠ってしまおう…。ドアもすぐには破られないだろうし。僕は半分投げやりになりながら、床にうずくまって意識を手放した。

※この日記はフィクションです。ゾンビ映画のモブになれるサバイバルゲーム「ProjectZomboid」は、Steamで絶賛アーリーアクセス中だよ!
今回も画像少なくて文章ばっかでゴメンね!

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