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どこかにいる「意外な読者」について想いを馳せる 【漫画制作】

こんにちは、幌です。
いつもこんなところまで来てくださり
ありがとうございます。

前回の記事は
「気付かれない」状態に慣れすぎていたせいで
結構のびのびと書いたところ、
思ったよりは読まれてしまい
やや恐ろしくもなりました。

とはいえ、
それこそが自分の望んでいたことなわけだから、
つくづく我儘なものですね。

使える武器を全て使って
良くも悪くも「見られている場」に
自分を連れていくことが、
モノを作って世に提供するための
スタート地点なのだと言い聞かせ
今日もこの場に立ってみます。

気を抜くとすぐに自意識過剰になってしまうため、
「誰も私に興味など無い」という大前提を
忘れずに日々を過ごしていきたいものです。

自分も含めて多くの漫画家が

「外側でごちゃごちゃ言わずに
漫画だけ描いてるのがカッコいい」

もしくは

「読者が漫画を読む時のノイズにならないように
作者の自我を出したくない」

という理想があるような気がしますが
(そんなことないですか?)
これだけ情報が溢れている現代では
「見つけてもらうこと」すら難しいから、
漫画の外側での発信というのは自分にとって
「理想との折り合いをつけること」
の一つになりました。

noteって本来はそんな「諦めの境地」で
始めるようなものではない気がしますが、
私のnoteは
「ため息を吐きながら生まれてきた赤ちゃん」
みたいなものだと思って
かわいがってもらえたらいいなと願っています。
でも、そんな赤ちゃん誰からも愛されない気がする。

「理想との折り合いをつける」と述べましたが、
漫画以外でも発信をしている作家の方々を
カッコ悪いなどとは思っていません。
自分も他の漫画家さんの文章を興味深く読んでます。
いつも書いてくださりありがとうございます。
自分でもやってみてよくわかったんですが、
ある程度の長さの文章を書くのって
難しいし疲れますよね。

黒子としての役割を逸脱しすぎない程度の
絶妙なラインを探りつつ書いていくつもりです。

そして、前回の記事で紹介した
「1秒でつかむ」と「こどもどろぼう」が
たくさんの方に読まれることを期待しています。

(他者の利益を願うことにより
好感度を上げようとする見え透いた作戦)

今回のnoteは

「自分の漫画が響く人は
想定外の場所に隠れている可能性があるから
その場所を探してみようと思った」

というような話と

「1が1に見えてしまうことに対して
今後どう向き合うべきかなんとなくわかった」

というような話の二本立てです。 

(1が1に見えるってどういうことだ?と思った方は
お手数ですが前回のnoteをご覧ください)

では行ってみましょう。

【想定していなかった読者像について考える】

たろちんさんのnoteに
私のnoteと漫画の話題が出ています。
ありがとうございます!

前回
「自分の友達にはいなさそうな人が
同人誌を買ってくれると結構嬉しい」

ということを書きましたが、
同じことがネットの海で起きたなあと思いました。

たろちんさんといえば「ゲーム実況」
というイメージがあり、
自分の漫画とリンクする部分は無いだろうと
大変勝手ながら思い込んでいたのです。


拙作「針と羊の舟」では

「羊毛フェルトのような繰り返しの単純作業で
『無』に至る瞑想状態には
ある程度心を安らげる効果があるよね」

みたいなことを描いているのですが、
たろちんさんの場合は
ストリートファイター6をプレイしている時に
似た境地に至るとのこと。

なるほど…!
「日常のよしなしごとを忘れるために、
(本当にそれ自体が楽しいかどうかは
よくわからなくても)
目の前にあることをとりあえずやる」
っていう事象って、まだまだ自分の見逃している
色々な場所に潜んでいるのだと気付かされました。

自分の漫画の持っている要素を一つずつ分解し、
それぞれの要素に共感してくれる読者とは
どんな人なのか、他に何が好きでどこに集まるのか、
どんな生活をしているのか…を想像していくと、
効果的にその人たちのところに
届けることが出来るのかもしれない。

例えば、「針と羊の舟」の想定読者を
一番簡単に「手芸が趣味の人」と考えるならば、
多分Xよりインスタを見てる人が多いだろうし、
もう少し視野を広げて

「繰り返しの単純作業をしながら精神を落ち着けたり
一人で何かを深く考えたりするような人」

と捉えるならば、noteとかのまとまった文章を
読める場所にいる人も多いのかもしれない。

そんな風にPRする場所を探していくことにも
効果があるのかな〜…と、今更ながら思いました。

「ジャパネットたかた」で
本来はビジネスマン向けの商品である
ボイスレコーダーを売る時に、
容量や軽さなどの性能を謳うのではなく
「お買い物のメモ代わりに使えますよ〜」などと
シニア向けにセールスポイントを絞って紹介したら
バカ売れした、的な…

この辺りのことは今後実際に色々試してみて
検証していこうと思います。


【1の向こう側を妄想で補う】

たろちんさんのnoteに

「資本主義の世界にいる以上
数字を意識しながらも1人1人の顔を想像して
コメントの1つ1つに感謝をして
多くの声なき声に耳を傾けるという
祈りに近い行為を通して頑張る」

と書かれていて、
そうか…
こういう世界で長いキャリアを持つ方が辿り着いた
答えがここなのか、確かにその通りだよなあ…と
しみじみしながら心の中の壁に
その言葉を貼り付けて、
反芻しながらカレーを食べました。

同人活動で掛けていた
「1人1人の顔と熱量が見えるメガネ」というのは
資本主義の世界に飛び込んで
その恩恵に与ろうとする時に、
こちらが手放さなければならない
対価のようなものかもしれない。

しかし注意深く考えると、
自分こそが「1」を「ただの1」だと
「思ってしまってる」だけの話で、
その向こうに血の通った
それぞれ違う人間がいることを想像する
努力を続けていけばいいのだろうと思います。
職業柄、妄想をする能力だけは高いわけですし。

実際、コミティアで「単行本買いました」と
声をかけてもらった時や
羊毛フェルト作家の畑牧子さんが
インスタライブで漫画を紹介してくれているのを
見つけた時など、
1の向こう側には本当に人がいることを
実感した出来事も何度かあったので、
このあたりの経験をスルメのごとく
噛み締めながらやっていこうと思います。


今の自分の実力では
多分100人中99人はnoteだけ読んで終わりだと
思うけど、一瞬でもそれだけの数の人の
記憶に滑り込むことができたこと、
そしてその中で1人「ついでに漫画も読んでみるか」
と思ってもらえるのであればやはり意味があるし、
そしてその「1」は実はただの「1」ではなく
やっぱりまた「5」や「10」の熱量を
持っている可能性がある。

そういうわけで
その100人中の1人になるかも知れない
あなたに向けて今日もリンクを貼っておきましょう。

針と羊の舟 1巻のKindle版が
今だとスタバで一休みするよりも安く読めます。
最終3巻は8/20発売です。

【最後に】

抽象的で意識高そうな記事を2回も続けてしまい
これは読む方も結構疲れるだろうと思ったので、
次回はペイントツールの設定がどうかとか、
作画修正の時に自分の過去の絵に
素面で向き合えないから酒でも飲めたら良いが、
酒を飲んでも楽しい気分にも
フワッとした気分にもならない体質なので、
結局マジックのペン先の匂いを嗅いで
気を紛らわしている、みたいな、
具体的でサクッと楽しめる、
それこそおつまみのような話でも
書こうと思います。

<おわり>

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