見出し画像

麻雀AIの真似をすれば、強くなれるのか?

○結論から言うと、強くはなれる

「麻雀AIの真似をしていれば、強くなれるのか?」
これは、非常におもしろいテーマだと思う。

端的に結論だけ言えば、「麻雀AIの真似をすれば、強くなれる」。
ただしこれは、Lv.10〜20の人がLv.90を目指す時の話だ。
Lv.90から先に進もうと思ったら、また別のアプローチが必要かもしれない。

○なぜ真似をすれば「強くなる」のか

強くなるとは、何かを学ぶことだ。
"学ぶ"="真似ぶ"。学ぶとは、強い人の真似をすることから始まる。

芸術・スポーツ・学問など、麻雀に限らず、何かを学ぶ上では、真似をすることが上達の近道だ。
まずは基本の型を真似、次にそれを敢えて破り、最後に自分の型を作り上げて行く。この段階を、茶道や武道では"守破離"と言う。

AIを使った学習は、この"守"の段階において、これ以上ない効果を発揮する。
人間と違って、ミスや気まぐれで打牌が変わらないからだ。AIはミスをしない。だからこそ、真似しやすい。
人間の意思決定は、AIに比べてあまりにも脆弱だ。

AIによる学習法がこれほどまでに成果を上げたのは、人間がこれまで、誰をどう真似ればいいか分からなかったからだ。

麻雀AI『NAGA』という牌譜添削サービスが普及したおかげで、真似しやすいモデルが共通認識として生まれた。
真似しやすいからこそ、皆がNAGAを利用した。アマチュアも、プロもだ。

この相乗効果で、「AIは強い」という認識が広がっていった。
麻雀の強者たちが信用するほどの"強さ"を、NAGAは持っていたのだ。それに、十分過ぎるほどの実績もあった。

今はまだ、AI強者(AIによる学習で強くなった人)がAI弱者を狩る時代と言えるかもしれない。
一部のLv.90がLv.10やLv.20を倒すことで、"勝ち"を積み上げているのだ。

しかし、これからさらに時代は進む。
誰もが、AI強者になれてしまう時代が、もうそこまで来ているのだ。
Lv.90とLv.90が戦っては、大きな差はつきにくい。

5〜10年後に求められるのは、AI強者の中でどう抜き出るかだ。

AIの真似で強くなることは、ある一定の水準まで効率よく進むことでしかない。

○歌の上手さと、ボーカロイド

初期のボーカロイドの歌を聞いたことはあるだろうか?
ボーカロイドは合成音声を使って、歌声を表現してくれる。当然ミスはしないし、声も綺麗だ。

しかし、「歌が上手いか?」と言われると、そうとは言い切れない。
音程を外さないことも、声が綺麗なことも、歌の"上手さ"の一部でしかないからだ。

カラオケで100点を取れる人は、世界で一番歌が上手いのだろうか?ボーカロイドは、人間よりも歌が上手いのだろうか?

麻雀AIの"強さ"を絶対視している人は、一度こういう視点で考えてみるといいだろう。
"強さ"にも、いろいろな要素があるとすぐ気づけるはずだ。

NAGAの"強さ"は、麻雀の"強さ"の一部でしかない。ミスをしないし、打牌にも納得感がある。だが、麻雀の"強さ"は、それだけでは決して無いのだ。

Mリーグで言えば、沢崎誠プロや近藤誠一プロ、醍醐大プロなどは、AIの"強さ"では説明できない圧倒的な強者だと言える。

トッププロの中には、理解されにくい"強さ"を持つ人がいる。だからこそ彼らは、活躍し続けているのだ。
そう考えれば、NAGAの"強さ"はずっとシンプルでわかりやすい。

わかりやすさが、「NAGAは"強い"」という大衆の認識を生んだ。そして、その"強さ"と"わかりやすさ"が認知されればされるほど、「AIこそが、麻雀における唯一絶対の"強さ"だ」という誤解が生まれるようになってしまったのだ。


○horiwo128の"強さ"と"戦略"について

僕が雀魂の段位戦でやったことを一言で言えばこうなる。

麻雀AI強者を狩るための戦略を立てて、実行した。

これが、鈴木たろうプロを尊敬してやまない理由にも繋がる。

「麻雀は自由だ」

AIを使った学習ばかりしている人は、むしろ狙いやすい絶好のターゲットだ。

麻雀という情報がカギを握るゲームで、相手は自分の戦略を堂々とバラしてくれているのだ。
そこにわざわざ、同じ戦略で挑む必要は全く無い。

皆がLv.90なら、自分はLv.95を目指しただけだ。このLv.90→Lv.95は、たろうプロの思考を学ぶことと、麻雀AI『Suphx』『LuckyJ』の研究が大きかった。

このあたりの話は別の記事にまとめているので、興味があればそちらを読んでみてほしい。


5年後、10年後に、僕は勝ち続けていられるだろうか?

それは、麻雀を学ぶ気持ちを忘れていないか、いかに自分の"無知さ"を自覚できているかに、かかっているだろう。

謙虚な気持ちを、忘れたくない。


ではまた。

読んでくれて、ありがとう。

2024年1月2日 horiwo128


追記

いろいろな考え方があると思いますが、これはあくまで僕個人の考えです。
AIの真似をする人も、真似をしない人も、批判するつもりはありません。

ただ、僕の追い求める"強さ"は、どうやらAIを真似るだけでは届かなさそうだという話です。
これを読んでくれた人が、麻雀の"強さ"を考える上での、何かの手がかりになれば嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?