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コロナ禍だからこそ考えたい、自らのミッションについて

「自分の人生をかけて取り組む課題は何か?」。なかなか即答するのは難しい問いですよね。

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韓国で食料品の早朝宅配サービスを手掛けるカーリー社。韓国内の都市でも美味しいものが自宅で食べられるように、新鮮な野菜、魚介類、調理が簡単な半調理品・簡便食品を宅配する事業を行なっている。日本でいうAmazon Freshやコープデリのようなサービスだ。

カーリー社のユニークな点は「夜11時までに注文すれば翌朝7時まで届けることができる」という利便性だ。テクノロジーの力を取り入れつつ、商品点数を絞ることで配達までのスピードを高めている。

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創業者のキム・スラさんは、10代の頃から「自分の人生をかけて取り組む課題は何か?」を考え続けていた。ゴールドマン・サックスで働き詰めの生活を送っていた中でもその答えは見つからなかったと言う。

結婚を機に13年ぶりに韓国へ戻り、日常生活を送る中で自らのミッションを見出し、今の事業を展開するようになった。

在学中の2000年代前半、シリコンバレー中心に革新的な企業が勃興する。「彼らが世界を変える速度の方が国際機関より圧倒的に速い」と痛感。「最も革新的で、最もハードに鍛えられる場所」を求めて"最強の投資銀行"ゴールドマン・サックスの門戸をたたいた。
昼も夜もない働きづめの毎日。課題解決のスキルは身についたものの、肝心の「人生をかける課題」は見当たらなかった。結婚を機に13年ぶりに韓国へ戻り、投資ファンドの米ベインキャピタルの韓国法人で働き始めた。母国で生活する中で素朴な疑問が浮かんできた。
「幼い時、祖母の菜園で食べた野菜は格別においしかった。韓国は豊かになったはずなのに、なぜあの味を都市では食べられないままなのか」
(日本経済新聞「韓国の家庭に「本物のおいしさ」届ける〜カーリー創業者 キム・スラ〜」より引用、太字は私)

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マザーハウス代表取締役副社長の山崎大祐さんは、自身のYouTubeチャンネル「情熱と思考をアップデートする「山崎大祐 マザーハウスカレッジ」」の中で、2020年は「価値観の変革元年」と総括している。

コロナ禍で生まれた「新しい生活様式」のもと、山崎さんは「自由」「時間軸」「お金」「距離」「リスク」「幸せ」について、改めて考えるきっかけを得たと話している。

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個人の生き方・考え方というのは、漠然と頭の中に漂っているものだ。普段意識する / しないに関わらず、僕らは自らの思考回路や枠組みに沿って行動している。

と言いながら、自分の思考回路や枠組みが「本当に機能しているのか?」を検証することは難しい。身の回りで起きている物事でさえ、自らのフィルターでキャッチアップし都合良く解釈しがちだ。

3.11や東日本大震災など、強烈な外部要因があることで、多くの人は「当たり前」を見直さざるを得なくなる。2020年のコロナ禍は、そういった出来事とも双璧をなすほどに大きな変化の年だった。(と僕は考えているのだけど、まさに只中にいるので俯瞰して捉えるにはもう少し時間はかかるだろう)

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ちなみに。結局のところ、自分のミッションを見出せないと何が困るのだろうか。

例えば前述したカーリー社の場合。売上のみを向上させたいと願うならば、商品のラインナップを充実させれば良い。あるいは美味しさよりも手軽さを重視する顧客を取り込みたいなら「栄養価は低いが低価格」の商品でプロモーションした方が良い。

だがそれをしないのは(少なくとも現時点でその道を選んでいないのは)、キム・スラさんの達成したいミッションが「美味しいものを届けたい」ということに尽きるからだ。幼少期の原体験をもとに、サービスを作り上げているのは彼女の意思。類似サービスはこの先出てくるかもしれないが、完全にコモディティ化することはなさそうだ。

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僕はこの記事を読んで、ミッションなり大義なり、自分が「頑張れる」ファクターを見つけることの重要性を再認識した。

厄介なことに、自分のミッションを見出すのは簡単なことではない。ミッションを見つけたと思い込んでも何かをきっかけに心が折れてしまうこともあるだろう。

キム・スラさんのように、考えて考えて考え抜く。そして何かひょんなことがきっかけにミッションが天啓のように導かれるようなことがあるのかもしれない。

僕は、イマイチ、自分のミッションを見つけられていない。なので偉そうなことは言えないのだが、彼女の生き方にヒントをもらったような気がするのだ。

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