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株式会社スマートドライブ(2022年12月15日)|事業計画及び成長可能性に関する事項の雑感

グロース市場に上場している企業の「事業計画及び成長可能性に関する事項」をチェックしています。(過去アーカイブはこちら

今回、読んだ資料は、株式会社スマートドライブです。昨日のスカイマーク株式会社に引き続き、上場日に「事業計画及び成長可能性に関する事項」の資料を読み解いてみたいと思います。

株式会社スマートドライブ(2022年12月15日)

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僕は運転がとても苦手です。

車体をこすったり、少し大きめの物損事故をしてしまったり。「運転したくない」ほどではありませんが、ある程度の緊張感を保ちながら運転するので、結構疲れてしまいます。

こういった苦手意識の有無は別にして、実際に車の運転というのは、ハンドル操作をひとたび誤れば悲惨な事故を引き起こしてしまうものです。

個人使用であれば「気を付けるしかない」または「車の保有をやめよう」という判断もできるのですが、車ありきのビジネスはそうはいきません。運送会社や営業会社にとって、ひとりの従業員のミスが会社の存続を揺るがす可能性があるわけです。

そういったミスを少しでも予防するために、自動車を運転している従業員の運転状況を可能な限り把握することは重要です。

運転が危ういと感じれば運転業務を停止させることもできるし、適切な医療機関へと案内することもできるからです。(業務上とはいえ、主観的な感覚だけで従業員を病院へと案内するのはコンプライアンス違反に抵触します。なので客観的なデータで「〜〜なミスが出ている。少し健康状態に問題があるのでは?」と判断できるようになるわけです)

そういった観点から、スマートドライブのように、アナログだった運転に関する諸情報を中央管理するようなニーズは大きい。実際のところ、創業から10年足らずで上場するに至っています。世の中に眠る需要を掘り起こしたといえます。

また運転状況を把握できるので、業務効率に支障がないか(ありていな言い方をするとサボっていないか)なども可視化されます。例えば採用時に運転のテストを導入すれば「急発進などが多く、運転効率に問題がありそう」といった選考基準としても活用できるかなと感じます。

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ここまで書くと、従業員向けのメリットがないようですが、さすがスマートドライブ、従業員側のメリットも作っています。

ひとつは運転日誌作成業務の効率化です。

これにより直行直帰が可能になり、ドライバーが運転業務に集中できる(しっかり休める)ことができるようになったそうです。運転日誌を手書きで書かせると、内容の不備だったり、可読性に問題があったり、情報のキャッチアップに遅れが発生したり、業務上の支障が多発します。

それだけではないですが、会社、従業員側それぞれの観点からメリットを提供する。従来困っていた点をDXによって解決する、まさにテクノロジーの進化であり、スマートドライブがひとつの形を示したといえるでしょう。

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スマートドライブの成長への道筋は、かなり明確です。

市場規模として、国内FO(フリートオペレーター)向けを6,000億円、国内AO(アセットオーナー)向けを6,000億円、海外市場(東南アジア)向けを8,000億円と見込んでいます。欧米よりも、東南アジアを視野に入れている辺り、現実的というか、カオティックな交通事情に一石を投じることで鉱脈を得られるという目論見を感じました。(P36には、既にマレーシアに現地法人を立ち上げており、「交通渋滞や交通事故が社会問題化している」点に触れています)

スマートドライブは赤字上場ですが、その辺りの言及も丁寧に記されています。P41には「大掛かりな広告宣伝や人員増を必要としないアセットオーナー向け売上の計上やリカーリング売上の安定的な成長により、多額の広告宣伝費や人件費等の諸経費の大幅増加を伴わずに売上が増加傾向にあるため、その結果として、営業損益は改善傾向にあり、販管費比率も減少傾向」ということで、今後も契約者数が伸び、損益分岐点を超えていく状態が見通せることを示唆していました。

2023年度は86百万円の営業赤字ですが、売上は40%増を見込んでいます。

この辺があまり強気に感じないところに、スマートドライブの強さがあるような気がしました。(あくまで感覚ですが)

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ひとつ気になるところとしては、資料の中に、経営陣の情報が全く掲載されていないことです。

企業情報をみると、代表の北川烈さんは東京大学大学院で在学中にSmartDriveを創業、1989年生まれの30代の起業家としてグロース市場における上場を果たしました。

1980年代生まれの僕にとっても「希望」の存在ですし、10年足らずで上場を果たした経営チームも優秀に違いありません。であれば、「こんなチームで経営しています」ということをもっとPRしても良いのではないかと思います。

どんな業態であっても、成長ドライブを担うのは「ひと」です。スマートドライブが今後、どういったチームで未知のマーケットを開拓していくのか。ぜひ今後は「ひと」の側面もPRしていってほしいと思いました。

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こちらに過去調査した企業のアーカイブをまとめています。

よければ、ぜひ覗いてみてください。

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