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住む場所に囚われない暮らし。

2017年に『マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた』という本を読み、仕事や生活のために「固定された」場所で暮らすことに窮屈さを感じるようになった。

固定されずに、住む場所に囚われない暮らしへの憧れを漠然と抱いていた。

今、僕はフルリモートワークの会社で働いている。やろうと思えば、旅をしながら生きることは可能だ。

だが現実は、妻の職場や息子の保育園のことを考えると、「固定された」場所に留まる以外の選択肢はない。アフターコロナの世界でも、せいぜい短期間のワーケーションが試せる程度だろう。

別のオプション(公共サービスのサブスクリプションやワークプレイスシェアみたいなものとか)の到来を待つしかない。

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news zeroでホテル暮らしの女性が特集されていた。

番組では、生計を立てる上での合理性がフィーチャーされていたように思う。

「敷金礼金などの初期費用を鑑みると、ロングステイ前提の宿泊プランの方が安いんです」

住民票など、行政面のアレコレなどを検討する必要はあれど、コストメリットから「固定されない」生き方を志向するのは合理的とも言える。

だけど僕は、(少なくとも)番組に出演した女性は経済的なメリットのみを考えて、 #ホテル暮らし を選択しているとは思えなかった。

モチベーションには、内発的動機と外発的動機の2種類があると言われている。

金銭や食べ物、名誉などに左右される外発的動機に対して、内発的動機は「楽しそう」という印象や、「自分で計画している」という直感・感覚によって、言動が決定される。

彼女は、番組が認識するよりもずっと、後者(内発的動機)によって動いているのではないだろうか。

賃貸よりも安いから。

それはもちろん魅力的なことだけど、それだけで行動するわけではない。そのインサイトを見誤って、価格勝負のサービス設計をしたら痛い目に遭うだろう。

・馴染みのない土地に行ってみたい
・ホテルで非日常の体験を味わいたい
・「物を持たない」シンプルな暮らしに憧れている
・掃除や料理が致命的に苦手だ(なのでルームサービスや朝食付きの環境がありがたい)
・話のネタが欲しい
・リモートワークに適した「静かな」空間がほしい

上記は思いつくレベルの需要だが、仮に掃除や料理への需要が高ければ、サブスク的なサービス かつ 低価格に抑えられればスケールする規模の事業を作れるかもしれない。

そして。住む場所に囚われない暮らしは、場所やコストだけでかく、生き方そのもののテーマだから、需要の在り処は別のところにあるかもしれない。

志向する人たちのインサイトを丁寧に覗いてみると、全く別のサービスが発生し得るだろう。「どんな生き方を望みますか?」という問いと共にそんな提案ができるなら、それはめちゃくちゃ楽しい仕事になりそうだ。

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