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影響の輪と関心の輪

スティーヴン・R・コヴィーさんのベストセラー『7つの習慣』に、「影響の輪と関心の輪」という表現がある。

ざっくりいうと、あらゆる事柄において「実質的にコントロールできるものと、コントロールできないものがある」という教えだ。

実質的にコントロールできるもの、つまり影響の輪の中でしっかりと成果を出していくことが大切である。実質的にコントロールできないもの、つまり関心の輪の中でうじうじと悩んでいても仕方ないじゃないか。社会人一年目のときに本書を読み、「ああ、おれはもっと影響の輪を広げていく努力が必要だな」と思ったものだった。

だが、最近は本当にそういったロジックで物事を捉えていいのか?と思うようになってきた。

例えば「影響の輪と関心の輪」にとらわれ過ぎていると、政治的関心を持てなくなるのではないだろうか。

税金がいくら高くなっても、政治家の裏金問題が跋扈しても、「おれは政治のことに影響力を行使することはできない。少なくとも今はね」なんて思っていたら、政治参加なんていつまで経ってもできない。(そしてそういった状態を現・与党の政治家は望んでいるなんて噂もある)

アメリカで始まった人種差別抗議運動「ブラック・ライブズ・マター」は、もちろん著名人も声はあげていたけれど、市井の人たちが連帯して行動に移したことがきっかけである。ハッシュタグアクティビズムには賛否もあるが、2010年代以前では叶わなかった連帯の仕方が、SNSを通じて可能になったのは確かである。

「おれなんて、影響力を行使できるはずがない」

と諦めていた人たちが、SNSで勇気を出して声をあげてみたら、思わぬムーブメントを巻き起こしたなんてことも多い。そういった意味でいうと、「影響の輪と関心の輪」で無関心を決め込むというのは、やや無責任なスタンスに思えてしまうのである。

しばらく『7つの習慣』を読んでいないので、僕自身、誤読している可能性は大いにある。

実際のところ、努力によって影響の輪を広げていくのは大原則だ。

だが同時に、社会に向けて一石を投じるようなアクションに──たとえそれが骨折り損のくたびれもうけだったとしても──挑める人でありたい。

ということで、ひとつまた個人的に読み直したい本ができた。本を読もう、まちに出るために。

#スティーヴン・R・コヴィー
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