都市の「隙間」を考える
都市の「隙間」とは?
不動産市場や都市計画の及ばない空間
『都市の「隙間」から "まち" をつくろう』
大谷悠 著
学芸出版社 (2020.11.10)
【学芸出版社公式サイト】
http://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-book/9784761527471/
隙間から "まち" をつくる
「Social Inclusion を実践する」
Social Inclusion:社会的包摂
その意味は「全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う」
Social Inclusion を実践するコミュニティ・スペース
空き家・空き地を「問題解決」で語る限界
① 遊休不動産の価値を高めて、再び市場に流通させる
② 公益的な施設として整備する
③ 文化財として保存する
④ 撤去する
出来ない
① 不動産的価値を上げられない
② 整備出来ない
③ 保存出来ない
④ 撤去出来ない
鷹の視点 アリの視点
▶ 鷹の視点
エリア全体を、まんべんなく見回し、予測と計画を立て、未来にたいしての最適解を見つけ出す。
▶ アリの視点
鷹の視点からは、見えない さまざまなモノに気づく。
pp.33〜40
「家守の家」
所有者から依頼を受けた「家守」が、そこを利用したい人を募集し、所有者と利用者を仲介する。
概ね5年間程度を期限とした暫定利用契約を結ぶ。
契約では、現状復帰義務が課せられない。pp.57〜58.
建物の維持管理と固定資産税と云う負の資産を抱えた状態の所有者にとっても、利用者にとっても Win-Win の関係を つくり出す。 p.88
所有者 ↔ 家守 ↔ 利用者
ハウスプロジェクト
1) 物件の改修・維持管理・家賃に関する諸々が、その物件に携わる人々で行われる。
2) 物件の所有権と利用権が分離している。
3) 物件を不動産的な営利や投棄目的に用いない。
pp.90〜91.
シンジケートも可能
シンジケート:特定のビジネスを取り引きし、共通の利益を追求または促進するために形成された個人、企業、企業、またはエンティティの自己組織化グループ。p.91
通常の不動産市場で取引されない「隙間」で何が始まったか。
1) 子供の創造性を引き出す「絵本工房」
2) 24時間365日立ち入り自由な「中庭」
3) 空き地に生まれた「都市農園」
4) 廃工場を活用した「文化施設」
5) 生活とモノづくりの「コロニー」
pp.93〜154.
まちを「つくりつづける」
1) 黎明期:暇(何かしたい)
2) 転換期:ネタ
3) 発展期:トラブル回避
4) 再転換期:メンバーの交代と新しい体制
pp.155〜218.
「隙間」を読み解く3つのポイント
1) 住民と行政が顔を つき合わせる契機になる
2) 素人が "まち" を つくることを後押しする
3) 多様性と偶然性に満ちたリアルな関わり合いのステージとなる
pp.219〜234.
【参考】
「ドイツのNPO組織」
ドイツでNPOに相当する民間非営利団体としては、社団(登録社団e.V.、登録協会とも訳される)、財団(Stiftung)、公益有限会社、信託などがあります。
民間非営利団体は歴史的には古くから存在していましたが、公益的な活動は 特に70年代以降に発展し、制度の枠組も整備されました。
活動領域は福祉、文化、環境、途上国援助などにわたりますが、特に 福祉分野での存在感が強いと言われています。
【Wikipedia】https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BB%E9%8C%B2%E7%A4%BE%E5%9B%A3
2020.1117.