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『思考の整理学』(新版)


【はじめに】

『思考の整理学』(新版)が発売された。
これまでに、幾度か読み返しているが、新版で、追加された「東大特別講義 新しい頭の使い方を読んでみる。
pp.231〜249.

新版『思考の整理学』
外山滋比古 著
ちくま文庫 (2024.02.10.)

『思考の整理学』を読んだ皆さんへ伝えたいこと。で始まる。

【知識と記憶】

明治時代から日本人が "勉強" として努力してきたものは、多くが外国を真似るだけの受身型の勉強であった。
ただ本を読んで、それを頭に詰め込み、混ぜ合わせ、あたかも自分の考えのように見せかける。p.232
学校でも「忘れてはいけません」「覚えなさい」と指導され、人間の価値は記憶力の優秀さで評価されて来た。p.233

【コンピュータの出現】

『思考の整理学』が出版された1980年代は、コンピュータが出現し30年ぐらい経った頃であった。
その処理能力は、人間より合理的で速く、正確な事が実証された。
だから、人間はコンピュータを、自分達が作った道具にもかかわらず敵対視した。p.234

【忘れると云う事】

コンピュータは、記憶と再生に関しては人間をはるかに凌駕(りょうが)している。
そして、何よりも重要なのは、記憶した情報を "忘れる" ことが出来ない。
これに対して、人間は自分にとっての無意識な価値観に合わせて "忘れる" と云う能力を持っている。p.235

【知的メタボリック】

知識を「食べ物」だと考えてみると解りやすい。
人間は、食べ物を摂り胃の中で消化し、腸で栄養を摂取し、要らなくなったモノを排出する。
我々は、知識を忘れてはならないと思い込んでいる。
コンピュータが発達した現代に、必要なモノはコンピュータに任せる。

【ポイント】
より早く情報を取り入れ、不要な情報と必要な情報を見極め、新しい発想を促す。pp.238〜240.

【情報社会に溺れない方法】

"モノを考える"
中国の諺に「三上」と言う諺があります。三上とは馬上・枕上・厠上(便所)のことです。
物事を考える時に、ぼんやりした頭で天井を眺めている時がベストだと云う事。
この "ふっと"したことから突然に出てくること。
これが忘却の中から上手く生まれたクリエイティブな思考です。と書かれています。pp.240〜241.

【学びの新陳代謝】

"学び" と云うものが知識の詰込み教育から始まり、文字と云う情報や知識が入る事により、新陳代謝が停止してしまう。
p.243

【若いあなたに伝えたいこと】

自分の知性と理性をうまく結び付け、"新しい文化" をつくってもらいたい。
p.247
知性や理性の他にも自分なりの特性を入れても良いでしょう。
このことが「独創性と発信力」に繋がる。
p.248

【読書百遍】『思考の整理学』

『思考の整理学』特別サイト

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