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【通読】2冊の『夜と霧』

『夜と霧』
『夜と霧』は、第二次世界大戦中 ナチスの強制収容所に収容された 作者 ヴィクトリー•E•フランクル (精神科医) が自ら味わった過酷な経験を綴った内容の本です。

この2冊は、同じタイトルですが
内容的には視点が違います。
理解を深めるために、2冊読まれることを
お薦めします。

みすず書房の新刊『夜と霧』では、精神科医として収容所に収監されたフランクル氏自身が、収容所生活の中で人々の精神状態がどのように変化していったかについて書かれた作品です。

『NHK 100分 de 名著』はフランクルの『夜と霧』を題材に、心理カウンセラーの諸富祥彦さんが「生きる意味」・「自分の人生における使命」について書かれています。
霜山徳爾 訳 みすず書房の本がベースに なっています。

『夜と霧』新版
ヴィクトリー•E•フランクル 著
池田香代子 訳
みすず書房 (2002.11.05.)第1刷

タイトル『夜と霧』の由来

アドルフ•ヒトラーの特別命令に由来しているそうです。
1941年 非ドイツ国民で、党と国家に対して反逆の疑いのある者は、実際には反逆の疑いが無くても、家族まるごと捕縛して収容所に拘禁する。

心理学者 強制収容所を体験する

この本を読むにあたり、先ず理解しなくてはならないのが「カポー」についてです。
【カポー】
囚われの身のユダヤ人の囚人の中から、残虐行為をすることを好む者を選びだし、囚人を監督させるのです。
これを「カポー」といいます。
カポーは同じユダヤ人を残虐に扱い、死に追いやったりすることもありました。

119104 (著者フランクルの収容者番号)

第一次世界大戦「鉄条網」

【鉄条網 (てつじょうもう)】
敵の前進を妨げるためなどに、とげのついた鉄条(=有刺鉄線)を幾重にも張りめぐらした柵。(さく)

第二次世界大戦「神経戦」

第一段階 収容

アウシュビッツ駅
最初の選別
消毒
最初の反応
古参の被収容者の教え p.30
「髭を剃れ」「真っ直ぐ立ってピシっと歩け」
※ 身体が ひ弱ではなく、労働力になる。

第二段階 収容所生活

感動の消滅 愚弄 (ぐろう) 飢え 非情
収容所での関心「政治と宗教」
つぎに「降霊術」
「もはや何も残されていなくても」
壕の中の瞑想
時に芸術や自然に接することが強烈な経験となった。p.64
灰色の朝
収容所のユーモア pp.71〜75.
何かを回避すると云う幸運 pp.77〜80.
孤独への渇望
運命の戯れ 遺言の暗記 脱走計画
いらだち
精神の自由
運命は賜物
生きる意味を問う

第三段階 収容所から開放されて

収容所を開放された被収容者の心理
pp.147〜157.

NHK100分de名著ブックス
『夜と霧』

NHK100分de名著ブックス
『夜と霧』
解説 諸富祥彦
2013.08.25. 第1刷

作者フランクルがこの本で、最も伝えたかったこと。

強制収容所での生活と云うジャーナリスティックな事ではなく、人間以下の扱いを受け、明日の命の保証もない捕虜達の心の中に「それでもなお、何ものにも冒されない、崇高を持った精神が息づいていた。」
「自分も飢えているのに、別の飢えた人に自分のパンを与えた人がいた。」
「夕日の美しさに感動する心を忘れない人がいた。」
「人間の精神への絶対的な信頼の眼差し。」が貫かれています。
『NHK 100分 de 名著 ブックス』より
pp.15〜16.

「自己実現」し、自分の幸福を追い求めるのではなく、人生からの呼びかけに応えていく「活きる意味と使命中心の生き方」へ転換する。
そうすれば、自ずと「幸福」も「自己実現」も生じてくる。

『NHK 100分 de 名著 ブックス』より
p.73
霜山徳爾 訳 みすず書房の本がベースに なっています。

『夜と霧』新版と旧版の違い

『夜と霧』ドイツ強制収容所の体験記録

映画『夜と霧』とホロコースト

【シェア】『夜と霧 新版』

2023.05.04.
2024.06.15. 追記

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