【Study_note】小泉八雲と妖怪
小泉八雲の超自然的世界への関心は、いつ頃からだったろうか。
両親と離れ大叔母に育てられた孤独な少年は、乳母キャサリンが語る 妖精や怪談の話に耳を傾ける事が好きでした。
この語り部 キャサリンを介した超自然の物語との出会いが、後の小泉八雲の関心を大きく左右する。
このことは、次の『東大講義録』などに見ることが出来ます。
『小泉八雲東大講義録』
ラフカディオ・ハーン 著
池田雅之 編訳
角川ソフィア文庫 (2019.08.25)
【ブックレビュー】
約120年前に 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が東京帝国大学(現 東京大学)で、英語で行った講義のうち16篇を訳出したものです。
pp.79〜148.は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の再話文学の素地や方法論、さらには、その楽屋裏のエピソードまでが伝わってくる。
(解説:語り部の語りなす文学談議より)
ここでみなさんに「霊的(ghostly)」と云う言葉について語っておきたいと思う。
この言葉は、おそらく想像以上に意味深長な言葉なのである。
古代英語には「霊の(spiritual)」「超自然的(super natural)」に該当するコトバが無かった。
この二つの言葉の起源は、ラテン語なのです。
今日の「神の(divain)」「聖なる(horiy)」「奇跡的な(mirakyuras)」と称される言葉は、全て 古代アングロ・サクソン人にとっては「霊的(ghostly)」の一言で説明されるものでした。
今日(こんにち)奉じている「神」の概念は、幽霊の存在を信じた原初的信仰から発展してきたものだろう。
pp.80〜85.
霊的なものの存在を信じられない場合は、夢を利用する。
幽霊の存在を信じようと信じまいと、怪奇文学の芸術的要素は、ことごとく夢の中に存在する。
詩人・物語作家・伝道者たちまでが、超自然の恐怖と謎を扱い、はかり知れない文学的効果をあげてきた。
超自然を主題にして成功している作品は、どれも物語の中の出来事が 必ずや夢の現象と一致していることに気づく。
霊的なもの、あり得ないものを手掛けて成功している例は、必ずと言って良いほど、どこまでも夢の経験の真実性とがっちしている。
pp.86〜89.
1) 夢の始まり:一種の概念が兆しはじめる
2) この世のものとは思えない体験
3) 苦闘と恐怖
↓
4) 恐怖の極点
ポイント:恐怖の夢と文学における想像力
pp.89〜95.
【 企画展/好評開催中!!】
https://www.hearn-museum-matsue.jp/index.html
2020.09.04