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同人誌を電子書籍化する3つのメリット

今回は、同人誌で二次創作ではないオリジナル漫画を描いていて、「同人誌の電子書籍化って、ぶっちゃけどうなの?」という関心のある方へ向けた記事です。

すでに同人誌の電子書籍化をやられている方にはご存知のことが多いかもしれませんが、そうした方でも何かしら発見があればと可能な限り網羅的かつエビデンスを交え、道標の一つとなるような記事を書ければと思います。

はじめに

■同人誌とは

本文に入る前に、大事な点なので、この記事での「同人誌」の定義を明確にします。

同人誌の本来の意味を調べると「主義・志などを同じくする人たちが、自分たちの作品の発表の場として共同で編集発行する雑誌」(『大辞林 第三版』)とあります。
そうしたところから、関連産業の隆盛や同人誌に関わる一人ひとりの熱量の高さが合わさり拡大・発展を続けてきた、独自の文化を持つのが現在の同人誌業界です。
今回の記事ではあくまでその一部についてのみ触れていく形となります。
「同人誌」という広い括りのなかに、二次創作ではない、オリジナル漫画の同人誌(以降、この記事では「オリジナル同人誌」と言います)があり、その作品を活かすひとつのオプションとしてデジタル配信サービスは存在します。

■「ナンバーナイン」と同人誌

僕が携わっている、株式会社ナンバーナインのデジタル配信サービス(以降、「ナンバーナイン」)では、2018年7月のサービス開始以降、初期の段階から同人誌のデジタル配信には着手していました。

▼サービス開始時のプレスリリース:

当時はまだまだ手探りの段階で、配信先ストア数も約100と現在より少ない状況でしたが(2021年10月現在、約150ストアへの配信が可能)、そこから継続してオリジナル同人誌の配信を続け、大きな売上を記録する作品も多数配信させていただくことが出来ました。

メリット① 収益の増加

以下の画像は、ナンバーナインが配信させていただいたオリジナル同人誌のうち、比較的売上が上位の作品の、配信開始日から翌々月末まで(60〜90日間ほど)の還元額を簡単にまとめたものです。

スクリーンショット 2021-10-19 20.48.27

※あえて偏りがないようにすべて違った作家さんから作品を選び、ジャンルも男性(青年)向け・少女漫画・4コマ漫画・百合作品から偏らずにピックアップいたしました。
※つまり売上ベスト5ではありません(売上ベスト5以外から選んだ作品のほうが多いです)。

また、最も利用者数の多い電子書籍ストアである、Kindleの売れ筋ランキング(総合)では、これまで2作品のオリジナル同人誌の電子書籍が1位を取得したことがあります(2021年10月時点)。
※全社・全ジャンルの漫画を対象にした売上ランキングです。

こうした事実から電子書籍ストアでは同人誌作品も商業出版された漫画と分け隔てなく多くのユーザーに楽しんでもらえる土壌があるものと考えられます。

こうした動きは、例えばYouTubeでは個人が動画コンテンツを作成して人気YouTuberが次々と誕生していたり、音楽の世界では2020年に、TuneCore Japanを通して各楽曲配信ストアへ配信された瑛人さんの「香水」がヒットしてご本人が第71回NHK紅白歌合戦にまで出場するなど、ITがクリエイターの活躍できる場を広げていった中で、必然的に生じた動きの一つともいえると思います。

メリット② 新規読者の増加

メリット①に挙げた売上規模の背景には、やはり同人誌即売会や通販などで同人誌を購入する層以外の読者さんの存在が挙げられます。

普段、同人誌を買う習慣がない読者層、電子書籍ストアで作品を見て興味を持ってくれた新規の読者さんなど、従来の紙中心の同人誌文化ではリーチし得なかった読者層にリーチできるのは電子書籍の強みです。

また、多くの電子書籍ストアでは、ユーザーごとに購入や閲覧の履歴からおすすめ作品を紹介するレコメンド機能があるため、自分の作品を好んでくれそうな読者層に作品を自動で紹介してくれるほか、ナンバーナインが定期的に行っているキャンペーンやプロモーションも、ストアで割引表示がされたり特設ページに表示されたりすることで認知されやすさが上がるチャンスとして機能しています。

勿論、ランキングで上位に入った場合にも、その事により注目度がさらに上がり売上が伸びやすくなるような仕組みが電子書籍ストアにはあります。

▼ナンバーナインが行ったプロモーションの一例(TikTokアカウント):

メリット③ 読者層の視覚化

「ナンバーナイン」には、web上で売上が確認できるシステムがあるのですが、そこではストアごとに発生した、作家さんへの還元額を見ることが出来ます。
電子書籍の版元によっては、ストアごとの還元額までは著者に開示されないことが少なくないのですが、「ナンバーナイン」ではそこに注力をして初期からストアごとの還元額を開示しています。

▼ストアごとの還元額確認画面のサンプル:

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この機能の最大の魅力は、電子書籍ストアではストアごとにメインターゲットとなるユーザー層が異なるため、どのストアでどのくらい作品が読まれているかが、そのままどういった層に作品が多く読まれているかの指標になる点にあります。

例えば、純粋な国内ユーザー数だけでいえば最大手ストアはAmazonのKindleとなりますが、10代や学生の読者さんにはスマホ決済が容易にできる”スマホアプリ主体のストア”がよく使われる傾向があったり、ストアごとにユーザーの男女比率が大きく異なっていたり、特定のジャンルで強みを発揮するストアがあったりするなど、それぞれ異なったユーザーを抱えている現状があります。
※ストアごとの特徴については、そのストアの売上ランキングのページを見ると一定の傾向が分かりますが、ご質問等ありましたらお気軽にお尋ねください。

▼ストアごとに特色があることの一例が分かる記事:

終わりに

以上が、同人誌を電子書籍配信する、3つのおもなメリットです。

勿論、先述の通りオリジナル同人誌の電子書籍化配信は、あくまで一つのオプションであり、やらない選択もあって然るべきですが、メリットを知っておくことは損にはならないと考えています。

また、同人誌(紙)の在庫との兼ね合いなどで配信開始時期を指定されたい場合や、配信先ストアに制限をされたい場合など、可能な限りご要望にお応えすることもできますし、必ずしもゼロイチの議論として捉えずに、長い同人文化に時代の流れとともに誕生した、有効なオプションの一つとして認識していただければ幸いです。

告知!

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現在、ナンバーナインでは同人誌印刷所の株式会社大陽出版さんと期間限定の協業キャンペーンをやっています。

下記の特設サイトから、デジタル配信を依頼しますと、大陽出版さんでご注文時に使えるポイント最大10,000円分などの豪華特典がもらえるキャンペーンです。
すでに「ナンバーナイン」をご利用中の方も、お申込みできます!

大陽出版さんは、1981年創立の歴史ある同人誌印刷所で、じつは僕が高校生の頃に友人と一緒に初めて同人誌を作った際にもお世話になった印刷所でもあります。

その会社さんと、時を経て一緒にお仕事ができていることは個人的に非常に感慨深いのですが、当時から一貫して非常に丁寧な対応と高品質の印刷をしてくださる、心からおすすめできる同人誌印刷所ですので、ぜひ今回のキャンペーンにご興味のある方はご利用いただけますと幸いです。

※今回は、試験的に始めてみたこともあり、本キャンペーンにお申し込みしてみて使いづらかった点・分かりづらかった点などもしありましたらぜひ率直な意見を教えてください。
2回め以降のキャンペーンを行うか(どういう形になるか含め)はまだ未定ですが、大陽出版さんとも共有の上で今後の業務に活かしてまいります。


それでは、また!

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電子書籍を「もっと届ける」3つの方法

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文責:堀口(ナンバーナイン デジタル企画編集部チーフ)


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デジタル配信サービス「ナンバーナイン」はこちらから:

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