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G線上のあなたと私 最終話 3人はそばにいる

ドラマチックエレベーター

思い出のビルのエレベーターであんなドラマチックなシーンを見れるなんて!「私はバイオリンが好きだから弾いてるの、違う⁉︎」と以前理人が言った台詞を返した也映子を「俺、あなたのためなら何とかするから、全部」と抱きしめる理人。エレベーター内で理人側の表情が写る時に也映子がバイオリンを背負っていることに気づいた。理人は也映子もバイオリンも抱きしめているんだ。2つともここで出会った理人の大切なもの。メガネがズレた也映子に「そのままでいいから」と理人が也映子の背に合わせ少し体勢かがめてのキス。也映子の不安が一気に消え去る素晴らしく尊いキスシーンだった…!

そこから也映子が理人の袖を引っ張り向かい合い “お互いの表情で全てわかる” からの自然なキスでエレベーターのドアが閉まるという粋さ!1階に着いたチャイムで慌てて離れる時の理人の表情も含め全てが素晴らしくマジで30回位見てます。ときめきという名の霞を食べて暮らしている私にとっては最高の場面だった…!

私達が二度と会えなくなっても

也映子に「私達が二度と会えなくなっても大丈夫。さみしいなんて思わないで」と話す幸恵の言葉。この作品と別れなくてはいけない私達に言っているようにも聞こえた。接点のない3人がバイオリンを通じて人間愛を深め、緩く繋がる優しい世界からその先へ勇気を出して踏み出した。その姿をあーだこーだ言いながら感情移入して見守っていた私達。日々迷い続けていた3人は自分の大切な場所を見つけた。その姿を10話分丁寧に見せてくれたことに対する感謝と、3人に来週から会えないことが現実として迫ってきた。実はこの作品で涙したことはない私でしたが、この場面はとめどなく涙が流れました。

変わる関係性と積み上げてきたもの

呼び方が変わっただけでなく、随分柔らかい雰囲気で普通の友人として話す眞於さんと也映子ちゃん。関係性は関わり方で変わっていくという当たり前のことを自然に見せてくれている。そして庄野さん。1話目から3人と眞於を見守り続けてくれた影の立役者!お名前「眞盛」だったのね。眞於の眞と一緒じゃん!

眞於が弾くG線上のアリアをショッピングモールで聞いていた3人が、眞於の幸福を祝い演奏する。勇者・バイオリン三銃士。初めての発表会は「星に願いを」、2回目の発表会は幸恵が欠席、3コンでは眞於が不在だった。そしてバイオリンを通じて出会った4人が一堂に会する場のG線上のアリア。積み上げてきたものが結実する場面でした。

私は第1話の感想で「この作品は他愛のない瞬間の積み重ねが裏テーマだと思っている」と書きました。練習を繰り返して弾けなかった曲が弾けるようになる。一緒に過ごすことで相手に想いを寄せていく。相手の気持ちがわからなくても、わかるように話を聞く。こんな他愛のない瞬間の積み重ねがきっと人との関係や自分の幸せに繋がる。この積み重ねを見続けて、どの登場人物も愛しくて堪らなくなってしまった。来週から会えなくなるのが本当にさみしい。

私達のそばに3人がいる

最後は非常にこの作品らしかった。“好きだから続いている” 2人のさらにその先も想像させてくれた。他愛のないやり取りと也映子の「おいっ‼︎」といツッコミ。第5話の感想でも書いたけれど、多分どこの街でもこんなやり取りが行われている。「広い世界の中ではささやかな存在だけど、かけがえのない時間を過ごしている人」が沢山いる。つまり、理人と也映子と幸恵は私達のそばにいる。そう感じさせてくれたから、さみしいけどさみしくない。

終わりに

大好きな原作がドラマになり、震えるほどの仕上がりに感激して感想を書き続けること10回。幸せな3カ月だった…!原作はもちろんそのまま好きだけど、設定を細かく変更して、より私達の感受性が突き動かされたのはやはり脚本と演出、そして俳優さん達の素晴らしさなのでしょう。恋愛だけではない「人間愛」という概念をベースに、どこにでもいる人達の愛おしさを丁寧に丁寧に描いていた作品でした。私の中で理人と也映子と幸恵は本当に存在しています。

10回分の感想、合計18,000字分の愛を込めて。

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