太陽なのは誰? ワンダー君は太陽
派手な展開はないけれど、静かに淡々と進む中で登場人物達それぞれの誠実さや思いが浮き彫りになっていく作品。
正直なところ、鑑賞前は「障がいを持つ子が学校へ行き、色々なことをクリアしていくお涙頂戴もの」という先入観を持っていましたよ。
確かにベースはそうなのだけど、オギーの周囲の人に順番に焦点を当てていく構成が、主観と客観の視点交換となり「誰もが主役の人生を歩んでいる」という当たり前のことを、ゆっくり、じんわり染み込ませられました。
特に、オギーの姉ヴィラのパート。障がいのある子供のきょうだいへのケアの重要性は以前からよく言われてますよね。親の負担を増やさないように、物分かりの良い子供でいることで、孤独や寂しさを募らせてしまう “きょうだい”の姿が、とても丁寧に描かれていました。
学校や社会の中で、いとも、簡単にドミノ倒しになってしまいそうや人間関係。この作品では、そんな人間関係を登場人物達の良心で支えあっていました。現実には、そんな良心を持った人ばかりはいないから、作品を白々しく感じる人もいるだろうなぁ。
そして、「君は太陽」という副題の「君」について。鑑賞前はオギーを指していると思っていたけど、鑑賞後は登場人物のみならず、観ている私達も「君」なんだよ!と言われているような気持ちに不思議となってしまう。
厳しい道は続くだろうけど、周りをよく見ながら、とにかく歩みを止めずに行ってみようか、と押しつけではなく感じさせてくれた作品でした。
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